1985年に発表された8thアルバム
全米アルバムチャート2位、500万枚を超えるセールスを記録した
アメリカン・ロックのボスことブルース・スプリングスティーンによく似た系のシンガーだが、彼も
結構苦労人で名前を4つぐらい改名し、この名前が" 3人目 "である
この前の名前、ジョン・クーガーでアルバム" アメリカン・フール "を大ヒットさせ、収録曲" ジャック&
ダイアン "で初の全米No.1に輝いたのだった
これでゲンを担いでおけば良かったのだが、メレンキャンプをつけて、ついにこのアルバムで5曲もの
ヒットを飛ばし、本人最大のヒット・アルバムとなった
ブルースのマネごとといえばそうかもしれないが、こうやってヒット曲が売れるということは、その
存在を世間に認められた証拠でもあるので文句はないだろう
§ Recorded Music §
1 Rain on the Scarecrow - スケアクロウ
2 Grandma's Theme - 祖母のテーマ
3 Small Town - スモール・タウン
4 Minutes to Memories - ミニッツ・トゥ・メモリーズ
5 Lonely Ol' Night - ロンリー・オル・ナイト
6 The Face of the Nation - フェイス・オブ・ザ・ネイション
7 Justice and Independence ’85 - 正義と独立 '85
8 Betweeen a Laugh and a Tear - ラーフ・アンド・ティア
9 Rumbleseat - ランブルシート
10 You've Got to Stand for Something - スタンダード・フォー・サムシン
11 R.O.C.K. in the U.S.A. ( A Salute to 60's Rock ) - ロック・イン・ザ・U.S.A.
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" アメリカン・フール "大ヒット後も、次作" 悪魔か天使か "では、変わらぬロック魂にとどまらず
自らのアイデンティティを確かめるかのように、芸名のクーガーに本名のメレンキャンプをプラスした
ことからも分かる通り、より等身大の素の自分をさらけ出して勝負していたが、今作はその路線をさらに
推し進めたかのようなアルバムである
ジャケット写真にも顕著だが、アメリカの片田舎のブルー・カラーといった市井の人々が、日々の生活で
感じる痛み、孤独、苛立ち、挫折、希望、愛といった普遍的な感情を巧みにすくい上げ、過不足のない
演奏で紡いだかのようなシンプルにして奥の深いアルバムである
それにしてもメレンキャンプ・バンドの上手さといったら、ある意味スカスカなんだがギターもベースも
ドラムさえも、一音一音、意味のある音だけが鳴らされている感じで、特に名手ケニー・アーノルフの
ドラムはまさに絶品である
1980年代は、特にドラムの音処理なんかに変なエコーがかかっているものが流行りだったため、独特の
パシャパシャ感があったが、このアルバムのドラムは抜けが良く、かつ切れ味が鋭くて、この音の
録り方がこのアルバムを古臭く感じさせない要因のひとつではないかと思う
" ロック・イン・ザ・U.S.A. "には、まさにアメリカでロックしているアーティストとしての矜持が表れて
いるし、シングルとしてかなりヒットした
本作のリリースされた当時( 1985年 )のアメリカの景気はかなり悪く、このヒット曲もそういう世相の
中で自分たちの誇りを取り戻そうという意味があったわけだが、" スケアクロウ "の嘆きや、" スモール・
タウン "の詞の内容にも、今立っているところに根を張って生きることの誇りが反映されている
バンド・エイドの流れで、アメリカの農家を救おうということでファーム・エイドなどをやって、彼が
積極的に出ていたのを思い出す