住宅ローン 内縁の夫婦が二人で住宅ローンを組める?

「夫婦ペアローン」とか「親子ペアローン・リレーローン」という商品がある通り、夫婦や親子で住宅ローンを組む人は珍しくありません。でも、先日あったお問い合わせは「内縁の妻と住宅ローンを組めますか?」というものでした。果たしてこのケース、住宅ローンを組めるのでしょうか? ほかにも以前、産休中の妻や婚約者だったり、兄弟で住宅ローンを組みたいというご相談をお受けしたこともあります。これらの中で、住宅ローンを組めるケース、組めないケースがあります。いったいどういうケースなら住宅ローンが組めるのか、その線引きは何なのでしょうか?

 

 


◆目次◆

1.住宅ローンと年収の関係

2.親子で住宅ローンを組む場合

3.産休・育休中の妻と一緒に住宅ローンを組む場合

4.入籍前の夫婦で住宅ローンを組む場合

5.内縁の夫婦が住宅ローンを組む場合

6.兄弟で住宅ローンを組む場合

7.まとめ


 


1.住宅ローンと年収の関係


銀行が住宅ローンの審査をする時にはいくつかの視点がありますが、いちばんウエイトが大きのが所得(年収)です。もう少し具体的に書くと、所得に対する借入額(年収に対する年間の返済額の割合=返済比率)と、その年収が継続的に見込めるかという点になります。夫婦や親子で住宅ローンを借りる一番の理由は、一人だけでは借入希望額に対して年収が不足しているので、年収を二人で合算するという点です。これで返済比率が30%とか35%(時には40%)に納まれば、一つハードルをクリアできました。ただ、次に出てくるのが、その年収がずっと続くかという問題です。

 


2.親子で住宅ローンを組む場合


まずは、親子で住宅ローンを組む場合です。一般的に親の方が先にリタイアします。それも年齢的にわずか数年で退職することもあり得ますから、その後年金を受け取れても収入はガタっと下がります。そういった事態を織り込んで、親子のペアローンの場合、親の年齢に合わせて返済期間が短くなるのが一般的(リレーローンの場合は、最長の35年が可能)。親子で住宅ローンを組むことはできますが、ペアローンとリレーローンのどちらにするかは、親子の状況を踏まえて検討する必要があります。

 

というように、親子でローンを組む場合は親のリタイアによる収入減を銀行がどう見るかという話になりますが、逆に産休・育休中の夫婦のように、将来収入が上がるという場合はどうでしょうか?

 


3.産休・育休中の妻と一緒に住宅ローンを組む場合


この場合、銀行によって判断が分かれます。将来の妻の収入アップ(復職)をどう見るかによるのですが、一番厳しい場合は、産休・育休中だと一切住宅ローンの申込み(審査)を受け付けてくれない銀行もありますが、復職を前提に住宅ローンの審査をしてくれる銀行もあります。その場合は、住宅ローンの実行時点で復職していることが条件になることがあります。中には、会社に産休・育休の規定があったり、公務員や上場企業といった一般的に福利厚生などが整っている勤務先であれば、復職前でも住宅ローンを実行してくれる銀行もあります。

 

ということで、産休・育休中の妻と住宅ローンを組む場合は、状況によって銀行を選ぶ必要があります。では、入籍前の夫婦(正確には夫婦ではありませんが)の場合はどうでしょうか?

 


4.入籍前の夫婦で住宅ローンを組む場合


婚約し、入籍に合わせて家を買おうというケースも珍しくありません。この場合、入籍することが前提で住宅ローンの審査を受けることができます。ただ、入籍が選定条件ですから、一般的に住宅ローン実行時には入籍を済ませているか、住宅ローン実行後速やかに入籍をすることが求められます。婚約しているだけでは法的に夫婦ではなく、それこそ入居前に婚約解消されてしまう可能性があるからです。原則として夫婦や親子ではない赤の他人同士では、住宅ローンを一緒に組むことはできません。

 

このように、銀行は継続的に収入があるという点だけでなく、「継続的に一緒に居住するか」という点もチェックします。では、冒頭にあった入籍はしていない「内縁」の夫婦の場合はどうなるでしょうか?

 


5.内縁の夫婦が住宅ローンを組む場合


何年も一緒に暮らすなど実質的な夫婦が住宅ローンを組むのなら、これからもずっと一緒に暮らし続けるのだから、住宅ローンを組めるのでは?と思うかもしれませんが、銀行はどのようには見てくれません。籍を入れた夫婦ならお互いに法的責任も生まれるので、ちょっとのことでは別居する可能性は低いですが、入籍という縛りが無い内縁の夫婦だと、簡単に別居できると銀行は考えます。そのため、内縁の夫婦では住宅ローンを借りることはできません。もし二人で住宅ローンを借りようと思うのなら、籍を入れましょう。

 

では、最後に、バリバリ仕事をしていて収入もあり、血のつながりもある兄弟の場合はどうでしょうか。

 


6.兄弟で住宅ローンを組む場合


兄弟で住宅ローンを借りようという場合、血のつながりもあるうえ、まだ若くて働く意志さえあれば今後とも継続的な収入の見込みはありますので、問題なく住宅ローンを借りられるように思います。でも、残念ながら銀行は「継続的に居住するか」という点でNGを出します。夫婦であれば離婚でもしない限り二人ともずっと住み続けますが、兄弟の場合、どれだけ仲が良かったとしても、ずっと一緒に住み続けるとは限りません。特に兄弟が独身の場合、いくら仲が良くてもそれぞれが結婚して配偶者を持つと、兄弟間の関係も変わってきて、どちらかが家を出て行ってしまうこともあり得ます。少なくとも銀行は経験的(統計的)にそのように判断し、兄弟で住宅ローンを組むことは認めないのが一般的です。

 


7.まとめ


・・・と、ご覧いただきましたが、二人で住宅ローンを借りる場合の扱いをまとめると、一般的に以下のようになります。

 

◆親子で住宅ローンを組む場合 →可能

◆産休・育休中の妻と一緒に住宅ローンを組む場合 →可能

◆入籍前の夫婦で住宅ローンを組む場合 →可能

◆内縁の夫婦が住宅ローンを組む場合 →不可

◆兄弟で住宅ローンを組む場合 →不可

 

ただ、銀行によって住宅ローンの扱いは変わりますし、住宅ローンを組む二人の関係性以外にさまざまな要因がありますので、実際に住宅ローンを借りようという時には、銀行としっかり打合せをしてみて下さい。

 

また、内縁の夫婦や兄弟で家を買おうという時には、二人で住宅ローンを組むことはできませんが、予算を下げたり自己資金を出すなどにより、一人で住宅ローンを組めるようにすれば、内縁の配偶者や兄弟と同居しても問題ありません。諦めずに銀行やファイナンシャルプランナーなどの専門家と打合せすることをお勧めします。

 

 

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