ブラジルでの念願の初ハンググライダーでは、リオデジャネイロのビーチを上空から堪能しながら颯爽とイパネマビーチにランディング。一方、メキシコでのパラグライダーでは上昇気流に煽られ、揺れまくりで船酔いならぬ、パラシュート酔いで空中ゲロ寸前。

子供の頃から空を飛ぶことに漠然とした憧れがあり、高所はあまり得意とは言えないながら、これまで幾度と無く大空のアドヴェンチャーにトライしてきた。ジェットコースター類はあまり好きではなく、落ちる瞬間は超苦手。全くもって矛盾の固まりであるが、好奇心は未だに旺盛。身の程知らずで、一生に一度で良いからスカイダイビングをしてみたいなぁ、と考えていたところ、家内が
50歳の誕生日プレゼントでその夢を叶えてくれた。


その昔の南米アドヴェンチャーのお話はこちら(インカトレイル):

http://nick-d.blog.jp/archives/13524786.html


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出発地点となる飛行場は、カリフォルニアのセントラルヴァレーと呼ばれる中部の平野にある小さな町タフト。とある9月の週末、事前予約をした上で昼前に空港到着した。チェックインを済ますと、先ずは
10分程度のビデオ鑑賞から始まった。ビデオの内容はというと、スカイダイビング協会のお偉いさんと思われる、長い顎を蓄えた怖い顔のオジサンが参加者を脅かすというもの。「スカイダイビングは危険なスポーツであり全て自己責任。死に至る事もありますが、当方は一切責任は負いません」と、これより直接的なメッセージは無いというくらい明確な注意喚起である。
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この髭面がプリントされたティーシャツも販売されている

ビデオを見終わったら、「はい、ここにサインして」と自己責任の承諾サイン。危険が伴うことは百も承知。家を出発してから、かなり緊張はしていたものの、ここまで脅かされると、流石に命の心配もせざるを得ず恐怖に拍車が掛かかる。
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同乗した人達。後ろではしゃいでいるのはインストラクター
 

サインが終わると、控え室に行き、簡単なブリーフィング。ジャンプをする時には頭は出来るだけ後ろに逸らす。手は良しと言われるまで胸のストラップを掴んでいる。着地の時は足を上げる。全て単純明快なインストラクションだ。その横では、パラシュートを折り畳む人達。どう見てもアルバイトの学生。タンデムをするスカイダイビングのプロは、多い日には一日に十回以上もダイブする。ダイブから戻ると、次のお客へのインストラクションなどかなり忙しく過し、使ったパラシュートを自ら折り畳む時間は無い。拠って、その作業はアルバイト学生が行う。
 

事実の程は定かではないが、パラシュートの収納は思いの他デリケートで、紐が絡んでいたり、折り方が悪いと上手く開かないとか。ところが、この学生たち、傍で見ていると、仲間と無駄話をしなが折り畳み、バックパックみたいな物に適当に詰め込んで・・・という事を繰り返している。人命に関わる大事な仕事をしているという緊張感は全く感じられない。
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機内はかなり狭い。プロペラ音と凄い勢いで入ってく風が緊張感を高める

先ほどから、髭のお偉いさんに脅かされるは、アルバイトの学生達の仕事は当てにならないはで、恐怖心は増すばかり。万が一パラシュートが開かなかったら・・・家族を残して先立つ訳にはいかないし・・・そうは言っても、ここまで来てやめるという選択肢はない。考えているうちに呼び出しがかかり、こちらの希望とは裏腹に出発準備完了。飛行機が近づいてくる。プロペラの音が思いのほか大きい。

 

飛行機に乗り込むや否や、動き出したかと思うと直ぐに離陸した。小さいだけに加速も離陸もあっという間だ。一気に高度を上げ、下界は遥か彼方。そろそろかなぁと思いきや、更に高度は上り続ける。タンデムの相方は気を紛らわそうと、ビデオを片手に色々と話しかけてくるも、緊張で口の中はカラカラで上手くしゃべれない。
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飛び出す寸前の一組前のペアー。ヘルメット、パラシュート持参でソロでダイブする熟練者

そうこうしている間に1万3千フィートに到達。殆ど何の前触れもなく最初のペアーがハッチから姿を消して、順番が廻ってきてしまうと、後ろから押され成す術も無くハッチへと。最後に、もう一回くらい覚悟の程を聞いてくれるかと思いきや、いきなり「オーマイガ~!」

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ダイブした瞬間。飛行機の窓から下を覗いている様なイケていない写真

一旦、空中に身を投げ出すと、落ちているという感覚は全く無い。正に飛んでいる感覚だ。恐れていたジェットコースターの急な下りの嫌な浮遊感もない。言葉に言い表せない高揚感。アドレナリン出まくり状態。気持ちは最高潮で大声で訳の分からぬ事を叫び続ける。顔面に吹き付ける風は物凄い勢いで口をこじ開け、喉の奥までカラカラに乾かす。あっという間に一分程度が過ぎ、パラシュートが開いた。そこからは、高揚感に包まれたままフワフワと空中散歩をし無事着地。おそらく生涯で最も密度の濃い数分があっという間に終了した。
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フリーフォールの最中。正に飛んでいる感覚
 

かつて中世のヨーロッパで首吊り遊びをする特殊な集団がいたという話を聞いたことがある。仲間同士で集まり、交代で首を吊り、死に至る寸前で助け出すというもの。死に瀕するギリギリの瞬間に、究極の快感を得られるという。普通の状態で高所から落ちれば、間違いなく死に至る。思うにスカイダイビングも、ある意味、首吊り遊びに近い物ではないかと。暫くこの興奮の余韻は続きそうだ。
 

この後、いつもの私の悪い癖が出ることになる。自分が楽しいと思うと、つい他の人にも勧めたくなる。最初の犠牲者は娘と家内。娘の方は、幸いというか、18歳になったら是非やってみたいと、自ら言っていたので渡りに船(カリフォルニアでは18歳が最低年齢)。その娘に付き合って、怖がり屋の家内も、13,000フィートの上空から飛び降りる羽目に。

場所選びは、上空からの景色も考慮に入れ慎重に行い、海の見えるサンタバーバラ近郊を選んだ。

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大喜びの娘。カリフォルニアの青い空に黄色い飛行機の機体が映える
 

その後も、日本から遊びに来た友人をそそのかしたり、ロスの知人に無理強いしたり。そんなこんなで、自分も含めて、これまで初スカイダイビングに幾度と無く立ち会ってきた。そこで、一生に一度はトライしてみたいと思っている方に、素人から見た、初めてのスカイダイビングを楽しむために抑えておきたい幾つかのポイントをアドバイスしよう。

 

ワンポイントアドバイス

1.あまり考えずに、やってみる

はるか上空を飛ぶ飛行機から飛び降りるというのは、考えるとかなり怖いことだが、いざやってみると極めて楽しい。フリーフォール中は言葉で上手く言い表せない不思議な感覚。考えている程に怖いものではないというのが正直な感想。私がこれまでに背中を押して挑戦した人達も、皆一様に大喜び。今のところ、後悔した人や、もう二度としたくないと言った人はゼロ(だと思う)。一見かなり危ないスポーツのように見えるが、米国パラシュート協会の統計によると、死亡事故の確率は0.0007%。自動車事故による死亡の確立がが0.0167%との事なので、かなり低いことが分かる。ついては、一生に一度はやってみたいけど怖いなぁ・・・と迷っているのであれば、あまり考えずに、申し込んでみることを勧めます。後悔しませんよ。っていうか、後悔しても後の祭り。
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怖がり屋で当初かなり迷っていた家内も、思い切って挑戦して大満足

2.思い出に残る一枚を

一生に一度の機会になるかもしれないので、思い出に残るいい写真を撮りたいもの。写真のアングルや顔の表情は運にも拠るが、今時はビデオ撮影なので、かなりの確立でそれなりの映像が撮れるはず。そこで是非、お勧めしたいのは、申し込み前に使われている飛行機の色を確認すること。背景は真っ青な空。青に映える黄色などの機体を選ぶと写真が物凄く映るはず。
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3.8千フィートより1万3千フィート

多くのケースではダイブする高度を選べる。8千フィートから始まり、1万3千フィート、1万8千フィートと上っていく。8千フィートからのダイブだと、パラシュートが開くまでのフリーフォール時間は約20秒程度。一方、1万3千フィートからだと1分近くとなる。飛行機に乗ってしまえば、怖いのはどちらも大差なし。
折角するのであれば、少しでも長く楽しめる1万3千フィートがお勧め。さらに、高度を上げて1万8千となると、ボンベからの酸素供給を受けながら飛行機に乗る事になるので、かなりの覚悟がいる。

ということで、レッツ・トライ! 


カリフォルニアは楽しいことには事欠きません。例えばこんなものも。

楽しいロサンゼルスマラソン: 

http://nick-d.blog.jp/archives/12036812.html


ヨセミテ国立公園のハーフドーム、許可証無しで登頂:
http://nick-d.blog.jp/archives/12438660.html

By Nick D