After Findhorn ① Between Scotland and Japan【8.2020】
テーマ Theme:ライフ Life

クルーニーでは、毎朝カモメの声に起こされたけれど、日本ではセミの鳴き声で起こされる。
聞こえる音、
肌が感じる空気の質(あちらは心地よい、こちらは重い)、空の色が、全然違う。

ああ、日本に戻ってきてしまったんだ、と思う。
これからはこの祖国で生きて行かなければならない。
そう、
ねばならない、今のところ。

DSCN1983

コロナ禍での帰国 ~海外~ 
Return Home in the Covid-19  ~overseas~

8月8日、元々小さなインヴァネス空港は、いつもに増してガラガラだった。
ほとんど待つことなくKLM航空でチェックイン。欧米人がこんなにちゃんとマスクしてるなんて驚きだ~!

さて、アムステルダムでたった1時間の乗り継ぎ、間に合うかしらと気を揉んでいたのだが、なんとインバネスを約1時間遅れ(!)で出発。荷物の積込み後にセキュリティで引っ掛かり搭乗拒否された発熱乗客の荷物を探しているという理由。ああ、コロナ禍での渡航の困難さを実感…

「きゃー、これで乗り継ぎアウト、間に合うわけないじゃん!!」との落胆通り、機内でCAさんが「残念ながら乗り継ぎには間に合いません」と知らせてくれた。

マジかーと思いつつも、空席なくてアムスで一泊とか?ラッキー、なんていう私の邪な妄想はすぐに打ち砕かれた。
笑顔のCAさんが ❝ I have a good news.❞ と再びやって来て、呆気なく乗り継ぎ可能に。機長さん、随分飛ばしたわね…?
IMG_20200808_232448
IMG_20200808_143301
左:軽食はこんなビニール袋に詰めて空いた席かテーブルに置かれる。機内でも可能な限りSocial distanceを取ろうとしているようだ。機内食さえ若干簡素化されている?(KLM)


さて、アムステルダム空港。
ゲートクローズの14:20に間に合ってしまった。とにかく走れとCAさんに言われた通り、競歩状態で急ぐこと10分、gate F6に到着。カートに乗せてもらえると思ってたんだけど、甘かったわ😅

汗だくでたどり着くと乗客はすでに全員搭乗済み、係員がガランとした受付で私を待ち構えていた。飛行機に乗り込むと、笑顔で出迎えたCAさんに " well done " と言われてしまった…

しかし、オランダ人男性は世界一平均身長が高いといわれる通りスラッとしていて、しかもハンサム💗 客室乗務員なので清潔感もあり、目がハート状態💕に…。ああ、ミーハーな私…


コロナ禍での帰国 ~日本~ 
Return Home in the Covid-19  ~Japan~

さて、日付変わって8月9日午前8:30、成田空港着陸後10分程で機外へ。
入国管理ゲートまで、少しずつ進みながら各箇所に並べられたパイプ椅子に座っては待ち、を数回繰り返す。申請用紙のチェックやPCRの唾液検査をゆっくり通過して、検査結果待ちの場所に到着したのが10:10。

普段なら空港建物内に入った途端、様々な地域から飛んできた人々の流れに飲み込まれるのに、周囲には私の乗ってきた便の乗客のみ。ほんと、発着している飛行機の数が圧倒的に少ないのだわ。

事前にネットで得た、検査結果待ちに5,6時間はかかるという情報とはまた変わっていて、早ければ1時間で結果が出るとのことで、税関前でパイプ椅子に座っての待機。ああ、待機中ホテルで休めると思ってたのに~😣
そして当然、預け荷物はアムスで乗り継ぎに間に合わなかったので、明日の到着予定と告げられる。体は間に合ったけど、荷物はやっぱり置いてけぼりね

軒並み飛行機がキャンセルになっていたからか、人は少なく空港内はがらんとしていた。
電光掲示板には軒並みフライトキャンセルの表示が。ほとんど中国からの飛行機しか飛んでないんじゃ…?

インバネス~アムステルダム間は、social distance は?ってくらい満席コミコミだったのに、アムステルダム~東京間は私のエリア(トイレエリアと次のトイレエリアの間)には、10人いるかいないか…ってほどガラガラだった。席選び放題で嬉しいけど、航空会社大丈夫か、マジで樂

約1時間でコロナ検査結果判明。もちろん陰性(ホッ)。
入管、税関を通り無事arrivalゲートへ辿り着いたのだが、今回初めて検疫で引っ掛かった。
検査犬が私の手荷物の中に不審物を嗅ぎつけたらしい。およよ?
カウンターへ連行され、検査官の前でスーツケースを開ける。なんと、ワンちゃんは手土産のショートブレッドに反応したのだった… (笑)

istockphoto-1217322147-170667a[1]

これから14日間自己隔離のため公共交通機関を使えず長野の実家へ戻れないので、受入れを表明してくれた千葉県に住む友人Mちゃん宅にお世話になる。
到着ロビーにて、Mちゃんへ連絡したのが11:15。どこもかしこも、とても成田空港とは思えない人の少なさに、非常時であることを実感した帰国だった。

こんな時間に空港から解放されるとは予想していなかったので、少し気が抜ける。
1時頃Mちゃん宅に着き、シャワーを浴びて午後2時~翌朝9時まで断続的に寝た。飛行中は毎回そうなのだが、ひたすら映画を見ていて機内では眠らないため、到着後に爆睡するのだ。


スコットランドと日本の違い 
The difference between Scotland and Japan


しかし、日本暑い。信じられないこの暑さ…。
ここで人間が暮らしてるってことが信じられない。スコットランド、快適すぎ~

時差ボケ状態が続く。8月の日本で2週間の自己隔離、かなりキツイ。
暑すぎて冷房を入れなければ身体が衰弱するし、冷房のせいで頭痛は発生するし、運動はできないし、外を歩けないというのは、今までの環境が環境だけに、かなり苦しい。ああ、緑が恋しい…!!

Mちゃんが体力を心配して、栄養のあるものを食べさせてくれようとするのだけれど、動かないのでお腹が空かない。体なまるよなー、これじゃ。

セミの鳴き声が悲痛すぎる。昨夜は瀕死のセミの声が絶え間なくギイギイ聞こえていて眠りを妨げた。お亡くなりになったらしく今朝からあの私を悩ませた声は聞こえなくなった。
ほかのセミが今朝早くからシーシー鳴いていて、シュワーップシュワーップになったり止んだり、もうすぐ命を終えて逝く者たちの鳴き声が悲痛すぎて何だか気が遠くなる。

昼間はセミたちが一斉に声の限り叫ぶ、ジージーという合唱が止まないので精神的重圧になっている。そして肌荒れがひどい…。住み慣れた日本のはずなのに。
スコットランドがもうめちゃくちゃ恋しい。なんて住みやすい場所だったのだろう!
この暑さは本当に気力を奪うし、体力もバランスも消耗する。
帰りたい、帰りたい、帰りたい

DSCN1970
スコットランドでは森は友達だったけど、ニュース番組を見ていると、この国では自然は脅威でしかないんだと思った。公園に行けば確かに緑に癒されるけど、川や山は災害をもたらすものであるという認識の方が強い。

自然が恋しい、でも親しさは感じられない。
日本人はどこかで道を間違えたのか、それとも土地の違いが自然と親しむイギリス人と、自然を畏怖する日本人とに分けてしまったのか。



左:日本ではこんな看板見たことないしね…。


都内へ移動  Moving to Tokyo

東京は、大学進学で上京してから人生の半分近くを過ごした、私にとって馴染み深い街だ。
Mちゃん宅から都内のAirbnbへ移動する車の後部座席から眺めた東京の街は、懐かしいのだけど、なんだか少し気味が悪かった。

狭い場所にこれでもかとニョキニョキ建てられた高層マンションは蜂の巣のようで、人間が蜂とかアリに思えてしまった。この狭い土地に一体どれだけの人間がひしめいているのだろう、と考えたら、そりゃ頭のおかしい人もいて、人を襲ったり良からぬことを考える人間も少なからずいるだろうよ、と思って背筋が凍った。自分もその働きアリの一人としてこのキケンな土地に長い間住んでいたことも、信じられないほどだ。それでもやっぱり私は、今でも東京が好きなのだけれど…。

rainbow-bridge-2086645_640 (1)

東京に入ったら急に空気が淀んで霞がかっているとMちゃんが指摘したように、とても近くに見えるのにスカイツリーはぼんやりとそこに佇んでいて、なんだかスクリーンを通して映画の一場面を見ているような感覚だった。

Mちゃんと旦那さんには本当にお世話になった。滞在から食事から空港と東京への送迎まで、彼らのおもてなしには頭が下がった。日本の「おもてなし文化」はここにちゃんと、生きている!

Mちゃんが一晩冷蔵庫に寝かせた炊き込みご飯を私に持たせてくれたのだが、ラップに包まれて丸いジップロックコンテナに入れられていたので、レンジで温めるのも簡単で、コンテナを洗う必要もなかった。さすが主婦、その辺の気遣いがすごい!

親切にしてくださって、本当にありがとうございました<(_ _)>

見知らぬ人に不親切にしてはいけません。人間のふりをした天使かもしれないから。
~パリの書店、Shakspere and company の梁に、2代目店主が書いた名言~
woman-3303696_640

私は彼らにとって見知らぬ人でも天使でもないけれど、助けを求める人に危険を冒してでも手を差し伸べる勇気と優しさ(今回のコロナ禍を考えたら、キャリアかもしれない人を家に泊めるってなかなかできることじゃないと思う)のある人間に、私もなりたい。損得なんて考える前に行動できる人間でありたい、と思う。

★ ★ ★

東急ストアへ買い物に行った際、「ああ日本だ、日本に帰ってきてしまった…」と思った。
当たり前だけど、どこもかしこも日本人で、ああここはアジアなんだ、と実感。全てがイギリスとは違う。ほんと当たり前だけど。それにやはり戸惑っている、1年3か月ぶりの帰国

野菜や、特に果物がめちゃくちゃ高くて、どこだここは?と浦島太郎状態。日本こんなに物価高かったっけ? キウイなんてLidlで4個75ペンス(約100円)だったのに!


音を楽しむ魔法   Magic to enjoy sounds

一日のうちにたったひとつでも、それがどんなに些細なことでも、何かに感動する、当たり前だと思っていたことに改めて感動することって大事だ。

何がきっかけなのかわからないくらい、ふと感じる。あ、音楽ってすごい、と。
音楽って自然と体を動かし、またそれを楽しんでいる人たちを映像で見るだけでも、楽しさを伝えられるもの、まさに音を楽しむものなんだ、と気付く。

prairie-dog-1470659__340[1]映画「フットルース」のブログ記事を書きながら、サントラやディズニーのファンタジアを聴いて気分が上がった。無意識にリズムに乗って体を揺らしている自分がいる。
折しも田口ランディさんのFBで音楽は「音を楽しむ」ことだっていう文章を見つけて、更に楽しい気持ちになる。

帰国したはいいがほとんど外に出られない、イギリスにも日本にも属さないような、その間の空間に閉じ込められて動けないでいるような不思議な2週を過ごしていて、生産的ではないLazyな自分を責めたくなるけれど、今はそれでいいんだ、と素直に受け入れられるくらい。なんか、いろんなことが一瞬にして同時にわかる感覚

恋が終った頃の記事を読み返して、別れた彼への感謝の気持ちが浮かんできた。
戻りたい、「今の私」で彼と数日過ごしてみたい、と思ったり。この先どうやって生きて行けばいいか不安で仕方ないから、心が逃避しているんだろうか?

ひとりで閉じこもっていると、肯定的ではない感情に支配されがちだ。ゼロに戻って未来は真っ白、自分の思うままに描いていけるとか、強がりを言っても、正直怖い。
だって確実な収入、
という道を失ったのだから。異国の地で頑張って頑張って、自力で切り開いて得た収入を、手放さざるを得なかった。
lockdown-5041623__340[1]

そしてこれからまたゼロから始めなければならない。確かに私には勇気があり、私は強い女なのかもしれない。こういったリセット状態を数年に一度ずつ、自ら作り出しているのだから。
変化を嫌う日本人には、
私のしていることは、ある意味勇気のいることなのだ、きっと。

心に浮かぶことごとを退けることに意味はない。まずは受け入れる方が大事。それがフィンドホーンで学んだこと。だとしたら、ファンデーションに対する憤りも、「私は怒っている」と受け止めることから始めよう。ファンデーションを恨むべきじゃない、と判断する前に。

今年はやたらインターバルが与えられる年だなぁ。
コロナ前とコロナ時代の間にネパール旅が与えられ、イギリスと日本の間に2週間のIsolationという「どこにも属さないような時間」が与えられた。

ゆっくりと新しい人生を受け入れていく、引き寄せていく、創りあげていく、感じ。
ワクワクしていいんだよね、不安になったり心配するよりも。


自己隔離期間、明ける!  The end of Self Isolation

帰国から2週間が経った。移動はしたもののほとんどどこにも出かけていなかったので、時間の感覚が狂っていて、実際よりも長い時間が経ったように感じる。

晴れて堂々と外に出られる!外だ、外~
マスクは鬱陶しいけど、少なくとも行きたい場所へ私を運んでくれる公共交通機関を利用できるのは、ありがたい。

IMG_20200826_113024
IMG_20200826_115538
上:光が丘公園も人影はまばら。
左:閉園の決定で人が詰めかけ、入り口に長蛇の列ができていた、としまえん。

やっと念願の喜多方ラーメンを食べた。なのに、気持ち悪くなって少し残した。なんてこと。脂っぽすぎるものを食べ慣れていないからか。本当に野菜中心のヘルシーな食生活してたんだなぁ。
気をつけないと。自分できちんと栄養を考えた食事を作るよう頑張ろう。
野菜、野菜~~~

東京の公園にある森は、私にはにせものに思える。
森は、静寂の中で深い癒しを与えてくれたのに、日本の森では夏、セミの声が世界を支配する。ミーン、ミーンなんてもんじゃない。あれは、ジジジだ。息継ぎなしのジジジが、永遠に続く。まるでバグパイプの終わりなき演奏を聴いているかのように、静かに発狂していく感じ。
IMG_20200826_121535
光が丘公園

地下鉄もまた異常な世界。窓を開けているから、鉄の車輪が線路をこする音が、頭の中まで侵入してくる。ヴォルデモートの声が頭の中からきこえたら、こんなふうに違いないと思うような身も凍る金属音が、見えない鎖で私の頭を締め付ける…。

日本の夏は、殺人的、狂人的。
太陽光がアスファルトに跳ね返って人間の体を刺す。
熱波、ドドーン。地下鉄の騒音、ドドーン!蝉の叫び、ド、ドーン!! 

映画はやめて光が丘公園を歩きに行ったはいいが、刺激過多と炎天下で爆死、意識朦朧状態でアパートに戻り、冷たいお茶とアイスクリームで九死に一生を得る(大袈裟💦)。

ふるさと日本の夏は、予想通り強烈だった。
心底、夏の日本にいるのはご免だ。来年は、絶対に海外逃亡を図ってやる。きーっ!!

でもそれは多分、私が異国暮らしから戻ったばかりだからだろう。
これから、日本の良さを発見していくのが、実は楽しみ❤

IMG_20200803_142315
スコットランドの森



★【Findhornを離れて②】はこちらへ。