地域づくりへの取り組み特集 vol.1 2018.10.9. | 地域発コア情報 - ROI News Japan -

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ダサかっこいいイベント-はんこ日本一!六郷の里秋まつり



六郷の里秋まつり活性化プロジェクトについて

 ROI インタビュー

 

 

 第1回は、山梨県の市川三郷町で11月4日に開催予定となってる「はんこ日本一六郷の里秋まつり」について、旧六郷町役場出身で現在は市川三郷町役場の財政課長の保坂秀樹さんとの対談記事です。
 私(ROI)が、6年前に「入浴タイムズ」というWEBサイトの取材陣のひとりであった時、保坂さんは、この町にある町営温泉の支配人であったという縁もあり、今回の取材に応じていただくこととなりました。
 現在、保坂さんは職場での部署こそ大きく変わりましたが、「はんこ日本一 六郷の里 秋まつり活性化プロジェクト」の本部長を務められているということから、取り組みの経過や意義等についてインタビューしてみした。

 

 

 

はんこ日本一!六郷の里秋まつり・つむぎの湯15周年記念コラボレーション

 

【 ROI 】 まず、このプロジェクトを立ち上げた経緯などを教えていただけますか?

【 保坂 】 正直、最初は、あまり自発的なものではなかったです。たしか8月7日の(神明の)花火大会が終わった頃だったと記憶していますが、うちの町長より、夏祭りの次は秋祭り…「六郷の里秋まつり」を、旧六郷出身や六郷地区在住の職員も協力して盛り上げてくれないか?といった相談があったことから、プロジェクトがスタートしました。

【 ROI 】 なるほど、神明の花火は今年で30回ということもあり、大盛況でしたからね…。

【 保坂 】 そうなんですよね。「神明の花火」の次の時期に開催される町の大イベントなので、私たちとしても、最初は、何をしてよいやら…(笑)

【 ROI 】 「神明の花火」の後ということもあり、かなりのプレッシャーが、あるのではないでしょうか?

【 保坂 】 いや、私はもともと、プレッシャーやストレスが無いタイプなので、いったい何をしてよいかピンとこなかかっただけです。…というのは、担当している課もありますし、しっかりした。実行委員会も立ち上がっていますから。

【 ROI 】 では、結局のところ何をするプロジェクトになったんですか?

【 保坂 】 結論としましては、「縁の下の力持ち」という、立ち位置ですね。担当課や実行委員会への意見やアイデアを出したり、手が足りなければ協力、応援したり…。さしあたり、サポーターか、地域のボランティアみたいな形で考えることとしました。

【 ROI 】 祭りまでに、何か準備とかされているのですか?

【 保坂 】 たまたま、商工観光課の中に、私と同じく旧六郷町出身の係長がおりまして、彼が実行部隊の長となり、職員から出た意見やアイデアの取りまとめ、さらに実施に向けて、精力的に取り組んでくれています。彼が一番苦労しているのでは…と感じています。


山梨県市川三郷町【 ROI 】 では、プロジェクトの本部長という肩書きの保坂さんの役割は、プロジェクトメンバーの方々の総指揮官といったところですか?

【 保坂 】 う~ん。実は、私としてはそれが嫌だったのですよね。課長クラスの中でも年が上の方だったので、プロジェクト本部長に、祭り上げられた…というだけですよ(笑)。御存知のとおり、私としては、名ばかりの長となり、机上だけでアレコレ言うのは、まったく性に合わないのです。
それに、小さい組織の中では、おまかせタイプの本部長は、不要だとさえ思っていますから…。頭でっかちの組織やプロジェクトって、とかく、ありがちですよね?これを打破したいな~と考えています。

【 ROI 】 では、自らも何かアイデアを持って取り組んでいると言うことですか?

【 保坂 】 いや、いや、私は、もともとアイデアに乏しい者です。そもそもアイデアより実施を重視したいタイプですから…。素晴らしいアイデアがいくつあっても、実行できなければ、無駄な空想・妄想だと考えています。

【 ROI 】 現実的な考え方なんですね。なんか、イマイチよく理解できないのですが?本部長として、何をされているのですか?

【 保坂 】 なんというか、走りながら考えていると言えば、すこし解りやすくなると思いますが、今も、行動しながら、考えてます。悪く言えば、「思いつき」「出たとこ勝負」派なんです。

【 ROI 】 意外ですね…で、具体的には何をされているのですか?

【 保坂 】 いろいろ考えていても、時間・労力・お金の無駄、計画倒れに終わることって多いじゃないですか。あせっているわけではないのですが、本部長という肩書きを利用して、ダイレクトに効果がありそうな「チラシ配り」をしています。
100枚配れば1人くらいは、来てくれますからね。
これって、意外にも、私たちの盲点なんですよね。会議に何時間も費やすことを考えれば、チラシが何枚配ることができるか?を考えてもらえば、どちらが有効策かわかりますよね。


【 ROI 】 理解はできますが、なんか、つかみどころが無い取材になってしまいました…。「本部長のチラシ配り」だけでは記事になりません。どう、まとめてよいやら…。


【 保坂 】 う~ん。チラシの話を出したので、このことを話しますが、チラシ配りは、ダイレクトかつシンプルな集客手段です。ところが、つむぎの湯のパンフ配布の経験上、単なる集客手段だけにとどまらない、大きな価値ある行動だと、自分でもわかったのです。ただし、チラシの配達者だけになっては絶対にダメ。(配るだけなら、郵送か宅配した方がずっと経費も安い。)
例えば、他町・他県の「道の駅」などへチラシを置いてもらうためには、まず、そこの所長(道の駅なら駅長)さん、受付担当者さん、レジの方など、店舗で働いている方に、こちらの趣旨を話すことから、スタートします。自分の置いてもらいたチラシのネタはもちろん、置いてもらう地域の事など、いろいろな話ができるはずです。何か共通点がある話題になれば、話もはずむはず・・・。会話の中で、いろいろな情報が飛び込んでくるんですよ。

【 ROI 】 そこで得られる情報って、どんなことですか?何か、ありましたら、教えていただけませんか?


神明の花火【 保坂 】 う~ん…これは、言ってもよいものか、ちょっとタメらう点でもありますが、事実ですので、一例として出しますね。
近県の長野、静岡、東京、埼玉あたりの施設回りをすると、私は、まず「山梨の市川三郷町から来たものです。」といった言葉から切り出すわけです。当然、「市川三郷町」では県外の方には、場所すら、わからない。そこで、定番ですが、まず「神明の花火」の開催地であることを話すんですよ。
ところが、施設の担当者からの反応が、イマイチ鈍いんです。これには、いつも驚かされます。「神明?花火?…すみません。ちょっとピンとこなくて…」このような反応は、聞くたびに、ある種のショックを受けますよ。
特に、今年は「神明の花火」がテレビ放送で「全国花火師が選ぶナンバー1」となったこともあったり、毎年20万人を超える来場者があることからも、知名度は、もっともっとあると考えるのが私たちにとっては普通です。花火で沸き立っている町にいることが、逆に客観的に見れないのかな~という思いもありました。簡単に言うと「井の中の蛙」であることを痛感させられるわけです。
これとまったく逆で、「中部横断自動車道路の六郷インターが出来て…」といった話をしたところ、「あ、そこまで行きましたよ!六郷…そうそうハンコで有名な。」という言葉が返ってきたことは、驚きでした。しかし、そこで町の存在を認知していただき、会話はさらに盛り上がり、チラシ置くことを拒むような施設は、めったにありません。もちろん、置いていただく施設側のチラシやパンフレットを私たちの施設へ置き、お互い様のPR条件を成立させることは、言うまでもないことです。
温泉勤務の時などは、このパターンで、相手方の店舗や施設の担当者が、かなりゴヒイキしてくれ、つむぎの湯をお客に紹介していただけました。実際に遠方から来館されたケースも多々あり、嬉しい限りでしたよ。

【 ROI 】 それにしても、花火よりハンコという点?意外ですね…。私も、今や、花火の方が、はるかに有名かと思っていました。やはり、まだ神明の花火が30年という浅い歴史…。一方、六郷のハンコの100年…という歴史の差ですかね。
以前、保坂さんから聞いたことですが、つい近年まで、行商に歩いて「ハンコの六郷」という知名度アップさせた先人が多かったこと、ハンコは、日常的に皆が使用している身近なものだということの差かもしれませんね。

【 保坂 】 私も「神明の花火」というものが町をPRするシンボルとなっている以上、これを悪く言うつもりはありません。むしろ、もっともっと、PRして全国区にしなければ…という思いでもあります。ただ、最近、低迷しているハンコや和紙など、すでに知名度が高い物を活用しない手はないな~とも考えています。

【 ROI 】 チラシ配りの成果としては、そういうことなんですね。それで、何か今回の「秋まつり」に活かせそうなネタが見つかりましたか?

【 保坂 】 もちろん、秋まつりのタイトルにもなっている「はんこ日本一」、「六郷インター」、そして、ちょっと付加的ですが「つむぎの湯」という3本の矢?がキーポイントと考えるようになりました。

【 ROI 】 なんとなくですが、保坂さんのイメージするところが少し見えてきましたよ。その先のイメージがあれば、語っていただけませんか?

【 保坂 】 私の考え方は、状況によってすぐ変わるので、あまり期待しないでくださいね。なにせ、「出たとこ勝負」ですから(笑)。
この祭りは、特に、ハンコをメインテーマとしたもので、商工振興や観光の祭りだと、自分なりに捉えています。今から話すことが、追い風になるか向かい風になるか、わかりませんが、ROIさんは、政府が進めている「デジタルガバメント計画」って、御存知ですか?

【 ROI 】 電子自治体というか、行政手続きの効率化を図るための電子化を推進する計画ですよね。

【 保坂 】 そうですね。ハンコ業界にとっては、普通に考えただけで大きな「脅威」となる計画なのです。まさにハンコ不要だよ…ですからね。これに対し、町としても、町長・町会議員をはじめ、商工会・印商業組合の方々による「印判の役割を考えてほしい」との要望活動を行っています。今年の7月も、関係者で国へ要望書を出してきたばかりです。

【 ROI 】 ええ、この要望については、私も新聞等で読みました。たしかに印章業で生計を立てている方にとっては、デジタルガバメントは、脅威ですよね。しかし、世の中の流れが、電子化の方向へ動いている中、仕方ない気がしてなりませんが…。

【 保坂 】 いや、私は単純にそうは考えておりません。印章・印鑑は、すでに日本文化なのです。「はんこ」だけでなく「はんこを押す」という行為そのものが日本文化なんです。そこらへんを強調できれば…と思っております。
けして、便利や効率化を否定しているわけではなく、文化と日本古来の生活習慣を絶やすことが、必ずしもベストではないことを国の方や一般国民にも解ってほしいのです。
ノンストップ行政を目指し、各種手続きがスムーズになることは、大いに結構なことだと思います。本人確認とは別に、その最初の書類くらいは、日本文化を残すという意味で、決意や意思決定としてハンコを押す…。これは儀式的かもしれませんが、残してほしい点であります。
ヘ理屈のようになりますが、日本にある全ての文化や慣習は、効率性や利便性など考えられていません。合理的に考える方にとっては、無駄だらけなのです。なので、神社・仏閣の存在と参拝、各地の祭りや伝統芸能…すべてはハンコ文化となんら変わりないレベルでの非効率なものだと考えることも出来ますよね。私は、その無駄な部分にこそ、「日本らしさ」が残されているとも考えています。
なんでもかんでも、合理化することだけでなく、西洋との違いを残す意味で、非合理的な要素を残すことも必要なことだと思うのですが…。

【 ROI 】 さすが、はんこの町に生まれ育った方ですね。もちろん賛否両論あると思いますが、なにか、納得させられてしまいました。ようやく、今回の「六郷の里秋まつり」の頭に「はんこ日本一」がついている意味もわかりましたよ。

【 保坂 】 ありがとうございます。しかし、電子化の推進による影響は、これに留まりません。次は、わが町でも盛んな「書道」という日本文化にも影響してきます。これは、デジタルガバメントに限らず、パソコンやスマホなど電子機器の発達全てに言えることですが、私たちは、文字を書く必要性すら、無くなっています。

【 ROI 】 おっしゃるとおりかも…。たしかに、私たちは文字を活字として「読む」ことはあっても、手で「書く」ことはなくなりました。

【 保坂 】 これこそ、現代病かもしれませんが、「読めるけど、書けない」は、一般的に、誰しもが感じていることです。「文字を書く」という生活習慣がなくなれば、これも私の町とも大きく関係するわけですが、「書道」という文化の価値が下がってしまいます。文字を書かずにキーボードを叩いたり、声で調べたり…。「書くこと」に価値を見い出せなくなれば、「書道」を学ぼうという人口は必然的に減少していきます。

【 ROI 】 書道は、精神修養の文化、つまり「道」としての「書」という価値しか、なくなりますね。ハンコと同じく、日常生活に根づいていなければ、文化としての価値は薄れてくるのもわかります。

【 保坂 】 電子化の怖さは、ここなんです。算術にも言えることで、極端な話、私など電卓なしでは、1桁の足し算もできなくなっています(笑)。また、すでに漢字は書けません。全て、電子機器がなければ、日常生活ができなくなる日も近いかも・・・。AI(人口知能)など、もっともわかりやすい例となります。

【 ROI 】 なるほど…デジタルガバメントに戻りますが、電子化の推進と併せてマイナンバーカードの普及が進めば、文字を書くことはおろか、「サイン」すら、いらなくなりますね。

【 保坂 】 そうなんですよ。電子機器の進歩は、私たち人間を日に日に退化させる結果となります。字が書けなくても、足し算できなくても生きていけます。最終的には、AIの進化により、人間が人間としての価値さえ失うかも…。だって判断や意思決定すらAI技術は出来るわけですからね。

 

【 ROI 】 SF映画のようですが、近未来には、私たち人類は、ケモノ以下の生き物になる!と言った意味ですか?

 

【 保坂 】 そうかも・・・。ケモノは、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚の5感は人間より優れていますから、字が書けず、計算もできず、さらには判断力も必要の無い私たち人類は、究極的には、ケモノ以下の生命体ですね。

 

【 ROI 】 そういえば、先日のビッグニュースになった、スーパーボランティアのおじいさん。山口県で行方不明になった幼児を30分程度で見つけ出した尾畑さんの功績を思い出しました。警察や消防などが最新機器による捜索をしても見つからなかったのに、動物的な感を備えている尾畑さんは、いとも簡単に見つけ出しましたよね。

 

【 保坂 】 そう、あのニュースには、私も、感動しました。・・・と同時に、ニュース見て、私は、私たちの人間としての本来持っている感覚は、かなり衰えていることを感じました。人間として本来持っている第6感を維持し続けていたなら、スーパーボランティアのおじいさんに限らず、意外にも、幼児発見は、誰もが、出来たのでは・・・と考えたくらいです。

 

【 ROI 】 スーパーボランティアのおじいさんは、日頃のボランティア活動により、人間の持っている感覚を衰えさせない努力がなされていたのですね。携帯電話すら持っていないような人だそうです。


はんこ日本一!六郷の里秋まつり-はんこ神輿【 保坂 】 さて、話は、最初にもどりますが、ROIさんに、今回のイベントの趣旨やテーマは理解していただけたと思うわけですが、私たちが「秋まつり」で、何をしたいか…という実態が、まだまだ見えていませんよね?

【 ROI 】 そのとおり!先に言われてしまいましたね(笑)。取材に来た意味は、「催し」そのものです。私にも、保坂さんがやりたいことは、だいぶ見えかけてきたところですが、もうすこし具体的におしえてください。


【 保坂 】 正直、今は、走りながら考えている最中です。現時点では具体的ではありませんが、イベントでの出し物などについては、本部の実行部隊の皆様が頑張ってくれているところです。
ただ、私たちがやるべきことと、やれることは、ハンコを日本文化や日常生活の慣習として残すための「啓蒙」活動だと考えています。
 「ハンコは日本文化」であり、「はんこを押す行為も日本文化」と言う感覚を、ひとりでも多くの方に共有してもらえれば、祭りは成功かと…。そのために、数多くの方々の来場、また来場しなくても知れることが大切なのです。

【 ROI 】 そのために、チラシ配布されているのですね。「たかがチラシ…されどチラシ…」って感覚ですね。よく、わかりました。
そこで、もうひとつ、私が興味持ったこと、聞かせてください。チラシ・ポスターに出ている「印パクト」というロゴマーク?これは、保坂さん自身が、「ダサかっこいいロゴ」と言う表現されていますが、これについての考えを聞かせてください。

はんこ日本一!印パクト-ロゴ

【 保坂 】 これは、チラシとポスターで、「はんこ日本一 六郷の里秋まつり」をアピールし、イメージしやすいロゴを考えてみただけです。その時には、すでに町では、しっかりしたポスターやチラシが仕上がっていました。
町で作ったポスターやチラシが、悪いと言っているわけではありませんので、誤解無く…。むしろ、私のものより、ずっと練られ、プロっぽく仕上がっていますよ。

【 ROI 】 公式のポスターやチラシを使わなくても、良いのですか?

【 保坂 】 全然、問題無いと思います。なにせ、自主的にPRしていることですからね。勝手に宣伝することを拒む人はいないはずです。それと、ガチガチに決まりつつある事業に対し、私たち独自のプロジェクトチームが切り込める活動のひとつが、チラシ配布だと考えました。

【 ROI 】 …で、「ダサかっこいい」イメージを出したかったのは、どういう意図なのですか?

【 保坂 】 私自身、学生時代には、絵画やデザインを学んだ者です。このロゴをデザインする際にも、そういった仕事をしている友人たちに見せたのです。いくつか考えていったデザインの中で、今回の「印パクト」が、最も評判が悪く「ダサい!」「これだけは、やめた方がよい」との酷評をもらいました(笑)。
これ言うと、アマノジャクのようですが、友人たちの「酷評」こそ、逆に、私に自信を与えてくれました。実は、私としても最初からコレで行こう!と9割9分決めていましたからね。変な表現ですが「ダメ出し」という、「お墨付き」を、ほしかったのです。
自分でも、正直これだけ「ダサい」ロゴを世間に出すのが恥ずかしい、と思ったくらいです。しかし、センス悪いデザインは、逆にインパクト十分…イケる!とも考えました。

【 ROI 】 倖田來未さんの「エロかっこいい」的なインパクトですか?

【 保坂 】 というより、DA・PAMPというダンスユニットの「ダサかっこいい」ですよ。

【 ROI 】 DA・PAMPの「ダサかっこいい」は知っていますが、このロゴと、どう関係するのですか?

【 保坂 】 おそらく、DA・PAMPの「ダサかっこいい」の本質的な意味を理解している方は少ないと思います。「ダサかっこいい」は、「エロかっこいい」とは全然、別モノです。
一般的に「ダサい」(実は造語ですが)は、「時代おくれ」とか「古臭い」という意味に使われ、私の中では、さっき、お話ししました歴史ある古来の日本文化をイメージしています。印章の「印」のダサさ(古臭さ)と、「インパクト」という衝撃的に目新しい横文字をアレンジした、融合デザインなのです。
毎年繰り返される「秋まつり」にも、集客には、目新しい何かインパクトがほしいですし、相反するように「印章」という、古くて歴史あるニュアンスも、残したいという願いからです。
ちなみに、DA・PAMPの「ダサかっこいい」も、彼らが、今どきのダンスではなく、ひと昔前の今ではスタれたダンスを、ダサいと酷評されながらも、取り入れてみたことによるインパクトなのです。欧米でのヒットも、古い物への回顧的メッセージがダンスファンの心を揺さ振ったものと理解しています。

【 ROI 】 なるほど、保坂さんの考えや行動が、半ば理解できました。最後に、もうひとつだけ質問してもよいですか?
「中部横断自動車道の六郷インター」は「印パクト」のうち「インパクト」という目新しいものになると思います。しかし、「つむぎの湯」のコラボについては、どう位置づけられているのですか?

【 保坂 】 予想していた回答とは、ちょっと違うかもしれません。私が、以前勤務していた職場だから…と、言いたいところですが、それだけではないのです。

【 ROI 】 「印パクト」と関係あるのですか?

【 保坂 】 そうです。大いにあります。つむぎの湯は、温泉施設でありながら「印章」と大きく関わった施設なんです。祭りの際のシャトルバスの発着所だけではないです。
ホームページを見ていただければ、わかりますが、つむぎの湯は、平成21年には「六郷印商業連合組合」との協定により、その分店とも言うべき、組合の注文販売の直営窓口店となりました。オープンからある印章資料の展示コーナーだけでなく、「六郷印商業連合組合」直属の一流彫刻師が刻む印章を、県内外から来館される方に販売できる唯一の公的施設でありアンテナショップの役割を担っているのです。
六郷印商業連合組合事務局の受付時間外となる夜間や、土日祝日でも、「つむぎの湯」なら注文が可能ですよ。

 

 

はんこ日本一!六郷の里秋まつり-模擬店【 ROI 】 なるほど、聞くまでは、つむぎの湯は、祭りのコンセプトとは、全然関係ない・・・と思っていました。
この温泉施設も印章業の振興に大きく貢献していたのですね。六郷という地域が、地場産業の振興に、一丸となっていることが、よくわかりました。
また、いろいろと聞かせてくださいね。
それでは、11月4日の秋まつりの成功を期待しております。ご協力ありがとうございました。

【 保坂 】こちらこそ、ありがとうございました。

 

 

 


           ------- 取材をとおしたROIの考察 -------

 とても、つかみどころが無い取材になりましたが、今回、取材に応じていただいた「はんこ日本一 六郷の里 秋まつり活性化プロジェクト」の保坂さんの言葉から、組織やコミュニティー、地域の問題点、事業に取り組むスタンスなど、参考となる意見を聞かせていただきました。
 とかく、私たちは綿密な計画に基づいて仕事したり、事業を成功させようと1から10まで計画づけをします。もちろん、保坂さんも、それを否定しているわけではありませんが、あえて「行き当たりばったり」とか「思いつき」という言葉で警鐘を鳴らしているような気がしました。
 チラシ配りの例も出されましたが、計画された行動だけではなく、まず行動するからこそ、計画がより実現性を高めることを強調されるような気がします。
 あと、「印パクト」のロゴの入った自作ポスターについても、つむぎの湯に張ってある実物を見て感じたこともあります。さぞ立派なものであるかと思いきや、その作りはポスターというよりA3のコピー用紙を2枚張り合わせてA2サイズにしたペラペラの紙でした。
 本人いわく、「ポスターこそ、1~2か月で剥がして捨てられる運命のもの、立派な厚紙で印刷するほど無駄。周知さえできれば十分」とのこと、また「他の施設に張ってあった、同様な形にて手作りされ、薄紙ポスターでボロボロになっているのを見て、プロが作った綺麗な物より、逆に目にとまり、興味が湧いてきた。」とも言っていました。
はんこ日本一!六郷の里秋祭り-篆刻体験

 私たちは、知識・経験・知恵を活かして、行動を行うというスタンスが一般的ですが、何か、行動が先にあってもよいのではないか?行動することにより、知識や経験が自分の物となり、その後に知恵を活かした工夫をするというパターン。これを、逆転の発想だの、新鮮なアイデアだと思う私たちの方が、戦後の教育やマニュアル化された社会行動に洗脳されてしまっているのかもしれません。(ここまでは、突っ込んで見解を聞いてみませんでしたが、もしかすると洗脳も「日本文化」に集約されるのかもしれませんが…。)
 今回の取材は、後になって考えて見ますと、考えてしまう点が数多くあるはずです。しかし、これを考えることによって、自分の行動にブレーキがかかるという、奇妙なパラドックスも発生することとなります。
 さて、私も一旦、思考を止め、次の取材へ…。次の取材の間には、見えなかったものが、見えてくるかも…。これが、保坂さんの本旨かもしれません。