マインドフルネスにはデメリットも? グーグルも実践するやり方や効果 瞑想との違いは?

はじめに

マインドフルネスの写真

今回は、グーグルも実践する「マインドフルネス」の簡単なやり方、簡単な実践方法を紹介していきます。「マインドフルネス」と一言で言っても種類がたくさんあるので、言葉を整理しながら、「いったいマインドフルネスとは何なの?」「瞑想との違いは?」という疑問も解決していきたいと思います。一方で、「マインドフルネス」にも副作用やデメリットもあるようです。正しく、理解して無理なく実践するためにはどうすれば良いのか考えていきます。

 

参考文献

マインドフルネスの参考文献

 

 

 

 

なぜ心が疲れてしまうのか

失った感覚

私たちは物心付いたころから他人と比較して、競争を勝ち抜こうと努力して生きています。受験、就職、昇進レースと他人と競い合いながら、自分の価値を高めようと必死に前に進んでいます。競争を勝ち抜くために、相手を出し抜くことも慣れっこになってしまっています。自分という存在が他人ありきで成り立っている社会を生きています。自分の存在を肌で感じることができない社会に生きているようです。

 

自分の存在を肌で感じることが疎かになっていると、得体の知れない何かに恐怖を感じるようになります。将来の漠然とした不安や、選択肢を選ぶプレッシャー、人間関係のストレスなど、いくらでも膨れ上がっていきます。私たちの最大の敵はその得たいの知れない靄で、その敵とどう格闘するかが人生では大切なようです。

 

私たちの先祖は何が一番の恐怖だったでしょうか?おそらく飢餓や他の動物からの攻撃など、身体に関わることでした。今の私たちの一番の恐怖は一体なんでしょうか?それは実態のない悩みや不安のはずです。

 

過去に生きた人は他の動物から自分を守るため、目で確認して、匂いをかんで、音を聞いて感覚を研ぎ澄まし危険を察知していました。危険がせまってくれば、必死に走って逃げたはずです。生きることは自分の感覚を研ぎ澄ますということでした。失われた感覚や基本的な感覚を取り戻せばどうなるでしょうか。得体の知れない靄なんて忘れることができるかもしれません。

 

自動操縦で今を生きていない

人間は一連の動作を反復していると、複雑な行動でも簡単に実行できるようになります。最初は難しく感じたことも、一連の動作にしてしまうと無意識に行動できるようになります。一方で、その自動操縦の状態では心あらずになってしまいます。私達はどんなに素晴らしい体験やかけがえのない時間を過ごしても、心が定まらずにただ時間を無駄にしてしまいがちです。後から思い出そうとしても、何も残らない状態です。

 

過去と未来ばかり考えている

私達は過去の過ちや失敗を責めて、負のループに陥ってしまいます。なぜあの時あんなことをしてしまったのか?もしこうしておけば、今はこうなっていたはずだ。自分の行いを際限なくせめてしまいます。一方で、将来の不安はどんどん膨らんで現在の思考を妨げ、ネガティブな未来予想は今の感覚をにぶらせ、様々なだめシュミレーションをしてしまいます。もし、こうしたらこうなってしまう。これもだめ。あれもだめ、過去の負のイメージが現在を通りこして、未来へ突き抜けてしまいます。

 

マインドフルネスとは

今の感覚を取りもして、自動操縦モードから抜け出し、今を生きること。

今この瞬間に確かに自分は生きていると感じる体験をすること。

 

「あっ、自動操縦していた自分に気づいた!」

「あっ、勝手に頭が考えている!」

「あっ、五感がするどくなった!」

 

それ以上でも、それ以下でもありません。

 

 

マインドフルネスの起源

マインドフルネスの起源を知るためには、仏教の瞑想の一種である安那般那念までさかのぼる必要があります。安那般那念はパーリー語(主に仏教の経典で使われる言語)でānāpāna-sati(アーナーパーナ・サティ)と呼ばれています。マインドフルネスの起源は、パーリー仏典経蔵中部118「入出息念経」が基とされているようです。

 

Breathing in long, he discerns, 'I am breathing in long'; or breathing out long, he discerns, 'I am breathing out long.' Or breathing in short, he discerns, 'I am breathing in short'; or breathing out short, he discerns, 'I am breathing out short.' He trains himself, 'I will breathe in sensitive to the entire body.' He trains himself, 'I will breathe out sensitive to the entire body.' He trains himself, 'I will breathe in calming bodily fabrication.' He trains himself, 'I will breathe out calming bodily fabrication.'

長く息を吸っているときには「私は長く息を吸っている」とはっきり知り(pajānāti)、長く息を吐いているときには「私は長く息を吐いている」とはっきり知る。短く息を吸っているときには「私は短く息を吸っている」とはっきり知り、短く息を吐いているときには「私は短く息を吐いている」とはっきり知る。「私は全身の感覚を把握しながら(paṭisaṃvedī)息を吸おう」と訓練する(sikkhati)。「私は全身の感覚を把握しながら息を吐こう」と訓練する。

 引用:フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

これが呼吸による気づきであり、繰り返し訓練することよって大きな利益を得ることができると記されています。仏教ではこれらの実践を総称して正念(samma sati)と呼びます。この、「念」にあたるパーリー語のsatiは元々「追想、記憶、回顧、回想」などを意味する多義語であったようです。これを1881年にイギリスの仏教学者リース・ディブィッズがこれをマインドフルネスと訳しました。ここで、東洋の概念に西洋の概念が混ざる形で、マインドフルネスが誕生しました。

 

その後、ジョン・カバットジンが、西洋科学を取り入れる形でマインドフルネス瞑想を発案。その後、「いまーここ」での気づき、を強調する定義が徐々に与えられ、マインドフルネスという言葉が定着されるようになった。

 

www.youtube.com

 

マインドフルネスの起源は、呼吸の観察から始まりました。人間が無意識にしている呼吸を意識的に見つめることが、最初の実践です。呼吸が私たち人間にとって必要不可欠なものですが、普段は意識を向けることはありませんでした。その気づきから、マインドフルネスがはじまりました。人間にとって最も大切な呼吸の大切さに気づくことになりました。

 

 

瞑想と「マインドフルネス」の違い

瞑想と「マインドフルネス」の違はどこにあるのでしょうか?マインドフルネスの起源に瞑想があることは分かりましたが、具体的にどう違うのでしょうか?まずは、こちらを見てみましょう。

 

ameisou.com

 

瞑想は一般的に指導者必要、マインドフルネスはマニュアル化されている。瞑想には仏教色が強いが、マインドフルネスは仏教色が排除されているようです。

 

achievement-hrs.co.jp

 

マインドフルネスの実践の現場では、「瞑想は」マインドフルネスに至るまでの手段と位置づけられているようです。いま、ここにいる気づきのために、「瞑想」を通して現在に集中させます。

 

www.perpetuaneo.com

 

瞑想=「集中」

マインドフルネスは=「気づき」

ただ、領域が重なっているので、明確に分けることは難しいようです。 

出典:www.perpetuaneo.com

 

こちら「瞑想」と「マインドフルネス」の中間に、「Attending」という概念が置かれています。意識がどこに向けられているかが分かります。瞑想によって集中することで、体の細部の感覚にattend(注意)することができるようになります。そうすることで、open monitoringを実現することができます。

 

出典:https://imgur.com/gallery/ZmMcbYU

 

 

pediaa.com

 

下表では、「マインドフルネス」と「瞑想」の観点・結果の捉え方・領域の違いを整理しています。大きなポイントは、マインドフルネスには必ず、「present」(現在)というキーワードが使われていることでしょう。現在にいる気づきこそが、マインドフルネスの最大の特徴と言えるでしょう。

 

 

出典:pediaa.com

 

 

マインドフルネスの理論の枠組み

二つのパラダイム

マインドフルネスには二つの理論が存在します。一つは、仏教色が強いピュア・マインドフルネスで、さきほど解説した念の考え方を大事にした理論です。もう一つは、マインドフルネスを治療に応用した臨床マインドフルネスです。

 

仏教パラダイム(ピュア・マインドフルネス)

八正道の正念の流れを汲む仏教的なスタイル

無常、苦、無我の体験知

臨床パラダイム(臨床マインドフルネス)

マインドフルネススキル訓練の治療的応用

①「新世代」認知行動療法(MBSR、MBCT、DBT、ACT)

② 一般セラピーへの応用

マインドフルネスに基づいた介入(MBI)

出典:「進化するマインドフルネス」 

   P27  図1 マインドフルネスのパラダイム

 

ピュアマインドフルネス

心は私たち人間がつくる実態ないもので、常に移り変わります。身体も同様に、不変ではありません。心も身体も共に移り変わり、共に悩みの種となっています。実態がなく、常に変化するので捉えどころがなく厄介です。ですが、その事実をしっかりと受け止めてしまえば、心は執着から自由になります。

 

身体の移り変わりの延長に老いや病の苦しみがります。これらを不可避であると理解することによって、人生の束縛から解放されます。これがピュア・マインドフルネスの根幹にある考え方です。

 

心にも応用することができます。それを可能にしてくれるのが、仏教の「無常」「苦」「無常」という概念です。

 

無常(心は確実なものではない。身体も同じである。共に移り変わり)

苦(共に悩みの種となり)

無我(常に実態はない)

これらを見抜くことによって心は執着から自由になる

 

ピュア・マインドフルネスは、私たちの生活が「無常」「苦」「無我」であるということに気づかせてくれる実践です。ここで注意したいのは、ピュア・マインドフルネスの考え方には、人を健康にさせたり常に心を安定させる意図はないことです。

 

ピュアマインドフルネスの考えかた=

常に上手くいく×

上手く行こうがいくまいか気にならなくなる◎

 

臨床マインドフルネス

臨床マインドフルネスとは、マインドフルネスを精神修行としてではなく、治療の一環として行うこと。臨床マインドフルネスは、「マインドフルネス」を「手段」として、利用するものです。

 

痛みやストレスは、マインドフルネスによって解消されるものとして認識されます。こちらがいわゆる、西洋科学に要請によって発達していく概念と言えるかもしれません。

 

「することモード」と「あることモード」

二つのパラダイムを解説する前に、脳の働きについて考えていきます。突然ですが、私たちの脳は普段「することモード」で動いています。これはどういうことかと言うと、例えば、私たちが苦痛を感じるとき、そこには感情と身体感覚だけではなく、意識的な心も関わっています。例えば、「痛い!」と感じた時、そのまま放置はしません。なりたい状態(健康で、痛みがない)を認識(イメージ)します。これを目指す行動が「することモード」(Doing mode: 問題を解決することや仕事をこなすことに優れた心の動き)となります。

 

することモードにもメリットとデメリットがあります。メリットは、合理的・批判的思考で問題を解決することができます。デメリットは、物事を俯瞰、メタ認知ができなくなります。私達は「することモード」に頼りすぎると、自分に気づきの力があることを忘れがちになってしまいます。はたまた、問題がむずかしすぎると思考がパンクしてしまいます。

 

慢性的な苦痛を抱えているとき、「することモード」を永遠に続けてしまうとどうなるでしょう。なぜこんなに痛いんだ?なぜ治癒できないんだ?慢性的なストレスで、痛みのレンズが歪んでしまいます。感傷的な迷路に迷いこんでしまいます。

 

ここで 「あることモード」の出番です。「あることモード」によって、痛みや苦しみと距離を置くことができます。苦痛のことを考えすぎる癖を断ち切る。思考が歪んだレンズのようにするのを防ぎ、痛みの悪化につながる悪循環を止められるようにります。

 

 

することモード あることモード
自動操縦 意識的な選択
分析モード 感じる
回避 接近
闘う 受け入れる
思考は動かぬ事実 思考は心の出来事

 出典:「からだの痛みを和らげる マインドフルネス」より表を作成

 

 お気づきかもしれませんが、臨床マインドフルネスは「することモード」にかなり近づいてしまいます。人間の「あることモード」を取り戻すために生み出された、マインドフルネスですが、矛盾に陥ってしまいます。

 

 

マインドフルネスのデメリットや副作用は?

www.excite.co.jp

 

マインドフルネスの立場が怪しくなってきましたが、さらに悪影響をおよぼすという記事もあります。それも科学者が提唱しています。

 

◎創造力を高める効果はほぼ無い

◎記憶力の悪化

◎精神病の発症

◎瞑想により魔境に堕ちることも

 

 こちらが記事元のブログです↓↓

www.pickthebrain.com

 

人間の「あることモード」を取り戻すために生み出された、マインドフルネスですが、矛盾に陥っている状況で、さらには多くのデメリットも指摘されています。果たして、マインドフルネスの立場はどうなってしまうのでしょうか?次に、マインドフルネスが社会でどのように応用されているか実例を紹介していきます。

 

 

社会の中でどのように応用されることが可能か?

ハートフルなコミュニティを築く(教育)

nomind-nolife.com

 

マインドフルネスの実践

Awareness(気付き)

Being(存在すること)

Clarity(明瞭さ)

Providing Integrative education.(統合教育)

Making safe space to be vulnerable and shore.(安全地帯の提供)

Connecting students to each other and to professor.(生徒と教師の結びつき)

 

マインドフルネス認知療法(医療)

oncolo.jp

 

マインドフルネス認知療法(MBCT)とは瞑想、ヨガ、グループディスカッション、教訓的な指導を通じて日々の生活にもっと注意を払うよう被験者に対し教育する認知行動療法です。今回の研究では、がん患者に対するマインドフルネス認知療法(MBCT)は心理的苦痛を統計学有意に減少したと報告されています。

 

メタ認知・研修(ビジネス)

workit.vaio.com

 

Google→呼吸に集中する瞑想、ジャーナリング

メルカリ→マインドフルネスによる業務効率アップ

ヤフー→メタ認知、ストレス低減

Apple→30分瞑想

Sansan→今に集中するトレーニン

 

上記の企業でマインドフルネスが導入され、ストレス軽減・業務効率が上がったなどの成果が出ているようです。

 

 

実践「マインドフルネス入門」

ここからは、私が実践したマインドフルネスを紹介していきます。マインドフルネスは、一見して実践するのが難しいと思うかもしれません。ですが、まずはこれまでに「やっていること」をもとに視点を変えてみる。簡単に実践できるものを紹介していきます。

 

言葉を意識

言葉を意識することで、自分がいかに相手に不快を与えているか知ることができます。言葉は私たち昔からずっと使っている伝達のための道具です。その道具が当たり前になると、体の一部のようになって、自然に操れるようになります。一方で無意識のうちに、乱暴に使ってしまいがちです。

 

つなぎ言葉は、私たちが普段つかいがちの言葉です。「えっと」「あのー」などの言葉です。まずは、自分のつなぎ言葉に意識して、どの言葉を使っているのか観察してみましゅう。次に、なぜそのような言葉を使ってしまうのか考えて見ましょう。たとえば、不安からくるのか、あるいは恐怖からくるのか。自分のつなぎ言葉を意識すると、回りのつなぎ言葉が気になってきます。あるいは、つなぎ言葉がないスピーチがどれだけ分かりやすいのか気づきます。

 

五感を意識

身の回りの音に耳を澄ましてみましょう。一日に何度か、していることをやめてあらゆる音に耳を澄ましてみましょう。体内から聞こえる音、部屋の音、機械の音、通りの音、自然の音。耳に手を当てて、すべての音を吸収するように集中してみましょう。音に意識すると、全ての音に特徴があることに気づきます。小さい音と聞き分けるために、意識を集中しなくてはなりません。音をもっと聞くためには、神経を研ぎ澄ます必要があります。

 

今度は、自分が犬になったように「クンクン」と匂いをかいでみましょう。もし、匂いを感じることができない場合は匂いを創作してみましょう。料理にスパイスを入れたり、アロマキャンドルをつかったり。匂いのマインドフルネスを実践していると、周囲にたくさんの匂いが存在していることに気づきます。それらが自分の感情と密接に結びついていることも同時に感じることができます。それらは人によって感じ方も違うようで、女性は男性よりも匂いに敏感ですし、西洋人が日本にやってきた時、毎日石鹸で洗う日本人を「バタ臭い」と表現したそうです。

 

匂いは、感情や行動に強い影響を与えるそうです。例えば、母親が使っていた香水を嗅いだときに、幸せな温かい気持ちになることもあるでしょう。あるいは、心理学者はそれを逆手にとって、「脱条件付け」をするために、いやな匂いをつかって中毒患者救うこともあるようです。瞑想でもお香を炊いて実践するのが一般的に知られています。香が瞑想で使われる理由は、香りと静かな集中が結びつくからです。

 

五感を研ぎ澄ますと、今この時を味わえる瞬間が増えていきます。色褪せてきた人生にもう一度色付けしていく感覚です。全身がいろんなものとを繋がれたような安心感を味わうことができます。

 

感謝することを見つける

「何かがないことのありがたさ」は実際に何かが起きたときに知らされることが殆どです。病気や災害、紛争など、そられのないことのありがたさは普段感じることはできないでしょう。積極的に感謝することを見つける必要があります。五感をフル活用して、味噌汁の温かさ、草木の芳醇な匂い、波の音、タオルの柔らかさなどいくらでも挙げることができるはずです。

 

私たち人間は悪いところのあら捜しが得意なようです。ポジティブな情報は意識しないと脳に保存されません。危険を避けるために、ネガティブな情報が大切だと脳が判断し、それらがどんどん蓄積されていきます。自身の悲観的に陥りやすい傾向に気づき、感謝することを積極的に見つけることが大切です。

 

 

まとめ

マインドフルネスとは、あるがままの自分を生きるための心と身体の対話と言えるかもしれません。心が疲れてしまう「する人」(human doding)という生き方を一度見直し、過去と未来を忘れて、現在に生きること。五感をフル活用して、勇気をもって「ある人」(human being)として生きてみる。苦痛を受け入れることで、「今確かに生きている」という充足感を味わうことができるかもしれません。

 

マインドフルネスという自分のモードを切り替えることとができるスイッチを獲得したと考えたらどうでしょうか。必要以上にスイッチを切り替えてもだめですし、肝心な時に切り替えられないのも失格です。

 

毎日いつでもスイッチを切り替えることができるように定期的に切り替える訓練が必要です。いつでも切り替えることができれば、安心できます。「一人の人間として呼吸をして、匂いを嗅ぎ分けて、音に敏感になって、今この瞬間を生きたい」そう思った時に、スイッチを切り替えて見ましょう。