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新型コロナウイルスの影響ー6ウイルスと戦う免疫細胞 Part1基礎知識 

私たちのいい加減な知識や認識、行動にかかわらず、私たちの体の中の免疫細胞は働き続けてくれています。体の外から入ってくるウイルスや細菌などの外敵から守ってくれています。
今回の新型コロナウイルスによって、この免疫細胞の存在と働きがより具体的に私たちにも分かってきたのではないでしょうか?

前回の「新型コロナウイルスの影響ー5消毒の徹底がもたらすもの」の中で少し触れていますが、今回は詳しくみてみました。

事前知識-どこで生まれてどんな種類があるの?
免疫細胞は骨髄の中の造血幹細胞から生まれるけど、最初は前駆細胞として未熟な細胞として増殖していきます。その過程の中から次第に成熟しながら明確な役割を持った細胞へと進化していきます。これを「分化」と言います。
どんな種類の細胞になるのか?
顆粒球リンパ球(T細胞とB細胞に分化)・単球(マクロファージ・樹状細胞に分化)。 顆粒球はさらに好中球好酸球好塩基球の3つに分類される。 
そしてこれらは白血球の種類とされている。分かりやすいように並べてみました。

造血幹細胞
  ↓  
  骨髄系幹細胞
     (赤血球)
     (血小板)
      好中球
      好酸球
      好塩基球
      単球 → マクロファージ
         → 樹状細胞
  ↓   
  リンパ球系幹細胞
                     リンパ球 
         → 樹状細胞
         → NK(ナチュラルキラー)細胞
         → B細胞(Bリンパ球)
           → メモリーB細胞
           → 形質細胞

胸腺
         T細胞(Tリンパ球)
          → ヘルパーT細胞
          → キラーT細胞
          → 制御性T細胞

・T細胞は胸腺へ移動し、胸腺で厳しい訓練を受けて成長する。すべてが優れた能力を持つ細胞に成長するわけではないらしい。脱落細胞が多いようです。
・単球は組織に入り成熟すると「マクロファージ(貪食)」や「樹状細胞(抗原提示)」に分化する。

免疫細胞は、成長分化して種類が多くなり、それぞれの役割を持ち連携して外敵と戦うようです。

事前知識-どこを移動してどこにいるの?
免疫細胞たちは血液やリンパ液に乗って移動している。体のいたるところにリンパ節があり、ここは免疫細胞が常駐している場所でもある。特に喉頸の下、両脇(わき)、腹部、太ももの付け根、膝などには大きなリンパ節があり、外敵を通さないように見張っているようです。
体の中でも特に腸は食べ物の中に潜む外敵が入り込む重要な場所で、免疫細胞は腸に全身の免疫細胞2兆個のうちの7割がある。ここで外敵と戦う訓練が行われ、いざという時のために控えている。
善玉細菌の餌になるような食生活(水溶性植物繊維)を心がけることで善玉悪玉両方の腸内細菌がバランスを保って活動できる強い腸内環境が強い免疫細胞を育てています。

具体的に免疫細胞の働きを見てみます。
ウイルスが入ってきたところから順番に見ていきます。

ウイルスが細胞に感染する
まず、体内の細胞が反応して、ウイルスを排除するためにインターフェロン(IFN)というたんぱく質を作る。熱が出たりする症状が起こるのは、抗ウイルス作用を発揮しウイルスと戦っているからです。しかし、この段階では直接ウイルスを殺すのでなく、排除しようとしているようです。大きな特徴は細胞同士の情報伝達作用を持つということです。血流に乗って全身にウイルス侵入の情報が伝えられます。

好中球・単球・NK細胞が現場に向かい活躍する
好中球は細菌や真菌類を貪食し殺菌する。単球は組織に入り成熟しマクロファージ(自己増殖できるようになる。)となり侵入細菌・ウイルス・死んだ細胞を捕食し、活性酸素や消化酵素を使って殺す。
これらは貪欲に外敵を食べつくすから食細胞と呼ばれています。

一部のマクロファージは、抗原(外敵の特徴・情報)を細胞表面に出して外敵の存在を他の免疫細胞に伝えることができます。また、他の免疫細胞とともに、TNF-α、インターロイキン、インターフェロンなど免疫細胞を活性化させるサイトカインという物質産生にも関与します。

リンパ球系のNK細胞は、活性化した状態(臨戦態勢が整っている状態)で常にからだの中をパトロールしていて、ウィルスに感染した細胞などを発見すると即座に単独で攻撃します。他の免疫との連携はなく、癌細胞やウイルス感染細胞の細胞膜に穴をあけて破壊します。「生まれつき(Natural)の殺し屋(Killer)」という訳でNK細胞と呼ばれています。
 
新型コロナウイルスに感染しているのに症状が出ないという事態となった。何故か?

新型コロナウイルスの遺伝情報の中にORF3bという遺伝子があり、これがインターフェロンの量を10分の1までに抑え込むことのできる能力を持っているという。この能力も進化して20分の1まで抑え込むことができるものも出現したという。
そのため、インターフェロンの抗ウイルス作用が発揮できず、しかもウイルス侵入の情報を十分に伝えに行くこともできず、ほとんど戦えない状態が続き、ウイルスが増殖して大変なことになっているにもかかわらず症状として現れず、気が付いたら重い症状になっているのだという。

食細胞で防げない場合⇒伝令役の樹状細胞が活躍する
食細胞の攻撃で防げない状況になると、単球から分化した樹状細胞が伝令役として応援を求めに脾臓などのリンパ器官に移動(リンパ液に乗る)し、貪食した新型コロナウイルスの断片(情報)をリンパ球系免疫細胞のヘルパーT細胞に渡します。
 
樹状細胞は情報伝達役とリンパ球系免疫のT細胞やB細胞を活性化する重要な役割を果たしています。外敵の情報を取り込んで、情報を他の免疫に伝えるとともにT細胞やB細胞を活性化させ攻撃につなげていく全体の司令塔的役割を果たしているといえますね。
樹状細胞は皮膚、鼻腔、肺、 胃、腸管に存在し、突起を伸ばして外敵を常に監視しています。

ここまでは自然免疫と言われている免疫細胞たちです。外敵の情報を認識する初期の防衛最前線です。私たちはこれらの自然免疫の初期防衛により気づかぬうちに助けられていることが多くあるはずです。免疫が生まれ育つ場所がバランスよく良い環境であることが重要だし、そもそも外敵だと認識できないような免疫細胞だと防衛の役割なんて果たせないということを痛感します。

しかし、これらの自然免疫の細胞たちでは、血液中の小さな病原体や細胞の中に入り込んでしまった病原体などは撃退できないし、相手を記憶しておくこともできません。

次は情報を受け取った免疫細胞たちの働きを見てみます。自然免疫に対して獲得免疫と呼ばれる免疫たちが必死で最後の防衛と攻撃を行います。


イラストは
acworksさんによるイラストACからのイラスト




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