目をそらしちゃいけないもう一つの現実「中学受験の失敗学ー志望校全滅には理由があるー」

中学受験では、圧倒的に不合格者数の方が多いと思います。
でも、そうした話はあまりされません。

合格体験談もいいのですが、不合格にまつわる話も聞きたいもの。
中学受験は成績だけでなく精神面でも大きく影響されます。

「人の振り見て我が振り直せ」ではないですが、やはり「もしも」の身の振り方・気持ちの持ち方なども知っておきたい。

それにぴったりなのが、この「中学受験の失敗学ー志望校全滅には理由があるー」。

中学受験の失敗学 志望校全滅には理由がある (光文社新書) [ 瀬川松子 ]

価格:814円
(2019/11/26 12:16時点)

実際にあった例を挙げて、あえて中学受験のネガティブな面を強調しています。

 

出版は2008年!

著者は、四谷大塚系列の塾講師歴のある家庭教師
今から11年前に刊行されたものになりますが、他ではなかなか読めない中学受験の“闇”の部分がみてるとして、長い間生き残っているのかもしれません。

「中学受験の失敗学ー志望校全滅には理由があるー」には志望校全滅を避ける為のアドバイスが書かれており、学力アップや難関校合格アドバイスはなし。

第一志望に受かるのはたった2~3割と言われているなかで、底辺から浮上して希望通りの学校に入るミラクルケースは、実際には一部の奇跡でしかないと。
ミラクルを起こす理由などについても記しています。

もともとこの本を執筆した理由は、「ここの塾にお願いすれば…」と思わせる効果を受験産業全体で大きく活用している姿勢に対して疑問を投げかけています。




誰もがなりやすい…ツカレ親

本書ではツカレ親について大きく取り上げています。

ツカレ親とは、中学受験に憑りつかれ、暴走の末に疲れ果ててしまう親の事。
志望校全滅の元凶になりうる問題と指摘しています。

序にかえて-情報の偏りが「ツカレ親」を生む-

・報じられない惨敗ケース
・理想論は「インテリ家庭」にしか通用しない
・デキの悪い子向けの情報がない
・惨敗ケースに学ぶ失敗学

第一章:止まれないツカレ親の暴走-驚愕エピソード集-

業界裏話も含む、エピソード9。

指定日までの偏差値アップや自習時間ゼロの塾丸投げ、裏口入学志願者、格差恐怖症、努力信仰、過労の子どもの頭は飽和状態、盗聴など…「おおっ…」と思うエピソードが盛りだくさん。

持ち偏差値より上の学校を滑り止めにするお母さんに対しては、「そんなにミラクル起らないでしょ…」とかなりびっくりしました。

また、ある保護者による教科教師へのクレーム対応にあたった室長。
保護者との会話と、その後の塾講師との会話が…。
まぁ、わかる気もするんですけどね(汗)。

第二章:ツカレ親を分析する

・ツカレ親とは
・中学受験の目的がおかしい
・学力をめぐる誤解
・完全不合格学習マニア
・間違いだらけの志望校設定
・受験産業のカモとしてのツカレ親

果たして自分はツカレ親なのかどうか?
16項目のツカレ親度チェックで確認することができます。

半分以上チェックがついてしまうと要注意なんだとか!?
わたくし、5つ当てはまりました。

しかし…

「受験産業のカモとしてのツカレ親」で紹介されていた、月の支払い金額にはびっくりしました。

集団塾・個別塾・家庭教師と…あらんかぎりの組み合わせで、毎月30万越え!
うちには無理ですね~(汗)。

第三章:対策編-志望校全滅を避けるために-

・あなたにその覚悟があるのか
・志望校は、あきらめとともに選ぶ
・いかに悪あがきするか
・受験産業の食い物にされないために

志望校全滅を避けるためのアドバイスがたっぷり。
連続受験への温情措置や、過去問題チェック、そして試験日程の組合せなど…目から鱗な話にはハッとさせられました。

 

また、這いあがり実例はとても参考になりました!

「小6・11月で偏差値42、偏差値49に合格」
「小6・11月で偏差値38、偏差値47に合格」

当時の学力の理解度と、入試本番までどんな事に注意して勉強したのかが紹介されています。
そのピンポイントな勉強方法は参考になりました。

その名の通りの這い上り例!
多くが偏差値がそこそこに高い子(偏差値60越えの難関校狙いとか)の話ばかりが紹介されているなか、こうした例も聞きたかったの!

 

他にも、絶対にやめさせるべきダメな勉強法、受験産業に食い物にされない方法なども。

ぼったくり撃退法は参考になりました(笑)。

 

ポジティブな情報が多い中で、ここまでネガティブな情報を記載した本はなかなかありません。

でも、読んで損はないです。
私自身、見直すよいきっかけになりました。

 

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