経口血糖降下薬 DPP-4阻害薬

インクレチン(GLP-1,GIP)は、分解酵素であるDPP-4により、体内では半減期2~3分という短い時間で分解されます。インクレチンは膵β細胞からのインスリン分泌を増強する作用を持ちますが、血糖値が下がるとインクレチンを介したインスリンの分泌が停止するため、単剤では低血糖が極めて起きにくいとされています。
→血糖値が高い時のみ作用するため



シタグリプチン(グラクティブ、ジャヌビア)
シタグリプチンは、DPP-4 酵素を阻害し、インクレチンのDPP-4による分解を抑制する。活性型インクレチン濃度を上昇させることにより、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用並びにグルカゴン濃度低下作用を増強し血糖コントロールを改善する。


ビルダグリプチン(エクア)
単独での血糖低下作用は現在のDPP-4阻害薬で最も強いとされていますが、併用の保険適応は現在SU薬のみです


アログリプチン(ネシーナ)
チアゾリジン系薬剤、SU薬、α-GIまたはBG薬の併用承認を相次いで取得
本剤は主として腎臓から未変化体として排泄されるため、低用量は腎機能障害患者用で、「中等度腎機能障害患者」(30≦Ccr<50mL/min)は12.5mg、「高度腎機能障害患者/末期腎不全患者」(Ccr<30mL/min)では6.25mgが推奨されています。


リナグリプチン(トラゼンタ)
胆汁排泄型のDPP-4阻害薬であることが最大の特徴で、腎排泄率は約5%のみです。肝臓でも代謝をほとんど受けず、腎機能および肝機能障害者においても血中濃度が上昇しないため、用量を調節する必要がなく、透析患者でも服薬できる特徴的な薬剤です。強く長くDPP-4活性を阻害する薬剤ですが、現在は他の血糖降下薬が併用できないので認可を待っている状況です。


テネリグリプチン(テネリア)
テネリグリプチンの血漿中半減期は20mg錠単回投与で24.2時間です。1日1回20mg投与で効果不十分の場合には40mgまで増量できます。薬物動態では肝臓、腎臓の2ルートで消失することが特徴です。現在のところ、併用可能薬は、SU薬とチアゾリジン系薬剤の二種類のみです。


アナグリプチン(スイニー)
尿中73.2%、糞中25.0%の排泄割合と報告されています。
他の血糖降下薬と併用できるかは選択の大きなポイントとなりますが、
①α-GI ②BG③SU薬 ④チアゾリジン系薬剤と、広く併用が認められています
またLDL-C低下作用とTG低下作用も認められています。


サキサグリプチン(オングリザ)


トレラグリプチン(ザファテック)


オマリグリプチン(マリゼブ)