トレーニング

【姿勢の種類】筋トレの前にまず正しい姿勢を理解してないと危険だよという話

ウエイトトレーニングに代表される筋トレにとって正しい姿勢でいることは、正しいフォームの習得にとって大切です。

間違った姿勢でのウエイトトレーニング(筋トレ)は様々な原因が影響して、身体に有害な負荷ばかり掛かってきます。

またウエイトトレーニング(筋トレ)を安全に行おうとして正しい姿勢を維持しようにも、うまくできなかったり、そもそも正しい姿勢自体が良くわからなかったりします。

この記事では、そんなヒトの正しい姿勢と健康を害する間違った姿勢を紹介します。

姿勢を理解することで……

危険な筋トレ

健康的で安全な筋トレ

へと変化させることができ、慢性的な痛みの原因、自分の弱点、修正方法なども併せて理解できるようになります。

目次

正しい姿勢とは

姿勢は、

  • 体位
  • 構え

の総称です。

体位には、

  • 立位(立っている状態)
  • 座位(座っている状態)
  • 臥位(寝ている状態)

があり、

構えは、関節や骨の位置を指します。(例:骨盤の前傾)

正しい姿勢とは、どんな体位であっても構えが安定している姿勢です。

いいかえれば、身体にかかる負担が少ない最も理想的なポジションともいえます。

  1. バランスが安定
  2. 日常動作やスポーツ動作が行いやすい
  3. エネルギー効率が良い
  4. 有害な負荷が掛からない

正しい姿勢をキープするだけでこのような恩恵があります。

立位の正しい姿勢

正しい姿勢

出典:ケンダル 筋:機能とテスト‐姿勢と痛み‐ 著者 ケンダル/マクレアリー/プロバンス 監訳 栢森良二 西村書店

簡単に覚えてもらいたいのは、重心線の位置です。

左の図は両足の中心から頭に向かって線が左右均等の位置にあり、右の図は耳→肩→腰→股関節→膝→足首上に線がきます。

少し専門的に説明すると……

側面から見た場合、

  • 頸椎過剰な丸まりや反りがなく、ゆるやかな前弯。
  • 腰部壁を背にしたとき、腰部と壁の隙間に手のひらが入るくらいの正常な弯曲。
  • 骨盤上前腸骨棘という骨盤前方の出っ張りと恥骨結節という骨盤下部中央の出っ張りが同一垂直面上。
  • 下肢股関節の屈伸が0度で、腸骨稜の頂点と大転子を結ぶ線が大腿骨の長軸と同一線上、その線が膝関節前方を抜けて、脛骨長軸と一致。

後面から見た場合は、

  • 脊柱並びが垂直。
  • 肩甲骨第2~7肋骨上に位置し、胸郭という肋骨のかごに対して平坦に位置し、過度な前傾や後傾はない。また肩甲骨の内側縁が脊柱の棘突起と平行であり、左右の肩甲骨の内側縁同士も平行に位置する。両肩峰を結ぶ水平線は第1胸椎棘突起の下を通る。
  • 骨盤左右の腸骨稜が水平。
  • かかと踵骨というかかとの骨が脛骨に対して3.5°外に反る。

が正しい立位姿勢の大まかな条件になります。

座位の正しい姿勢

理想的な座位姿勢

出典:正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書 竹井仁著 ナツメ社

正しい座位姿勢での条件は、

  • 頭・顎前方に移動していない。
  • 背中猫背で丸まっていない。
  • 反りすぎたり丸まりすぎたりしていない。

になります。

間違った姿勢(不良姿勢)とは

姿勢で定義した体位や構えが崩れた状態です。

体位や構えが崩れる原因は、

  1. 日常生活のクセ
  2. 無意識に行う動かしやすい方向への動作反復
  3. 同じ姿勢を取り続ける筋の持続性収縮
  4. ケガによる皮膚、結合組織、筋・筋膜、関節の障害

などが挙げられます。

このなかでも①②③によって、全身の筋力や柔軟性のインバランス(不均衡)が発生して、少しずつ体位や構えが崩れていきます。

このような状態が常態化すると、

  • 身体がだるくなる
  • 慢性的な痛みを感じる
  • 突発的な怪我(骨折、ギックリ腰、寝違え)が増える

などが頻発するようになります。

症状が出るようになっていたら、まず現状の自分自身の不良姿勢を理解することが、正しい姿勢を取り戻す第一歩になります。

このような状態で筋トレを行えば、正確なフォームは取れません。

意外と不良姿勢のままウエイトトレーニングを行う人は多いです。

ますます身体のバランスを崩したり、ケガをしてしまうこともあります。

必ずトレーニング前に修正を行ってから、ウエイトトレーニングを始めましょう。

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間違った姿勢(不良姿勢)の改善のための基礎的考え方

間違った姿勢(不良姿勢)の改善には、

  1. 硬くなってしまったり短縮してしまっている筋を緩める
  2. ①の拮抗筋や共同筋の筋力を強化する

が一般的です。

硬く短縮した筋を緩める

硬く短縮した筋は、伸びにくくなっていて、短くなった範囲でしか活動できません。

常に負荷が掛かり、大量のエネルギーを使い代謝が促進しすぎて、エネルギーが枯渇しています。

そうすると筋から老廃物や発痛物質が出てきて、感覚神経や自律神経(交感神経)を刺激して、痛みを感じさせたり、さらに筋を緊張させて、血流を阻害します。

悪循環の極みです。

対策としては、血流の改善を行い、柔軟性の回復を促すことです。

  • マッサージ(あん摩、指圧も含む)
  • ストレッチング
  • 温熱療法

が有効です。

特にストレッチングはセルフでも行えるのでおススメです。

ストレッチングにもさまざまな種類がありますが、ここではスタティック(静的)ストレッチングを選択しましょう。

【ストレッチ】種類・定義・柔軟性を高める効果的な方法を解説「ストレッチ(ストレッチング)」についての記事です。 ストレッチといえば「柔軟性向上」のために行います。 ストレングス&コン...

ゆっくりと伸ばすことが大切です。

速い動作で伸ばしてしまうと、伸張反射といって筋肉が反射的に収縮してしまうため、現状よりも短縮してしまいます。

ポイントは、

  1. 最低10~20秒伸ばす
  2. 基本は30~60秒伸ばす
  3. 時間に余裕があれば60秒周期で15秒休憩をはさみ3セット伸ばす

です。

①は即効的に筋肉を伸ばすために必要最低限の時間で、②は伸張反射が起きづらくなり筋がさらに緩む時間、③は関節可動域が最大までに広がり、ストレッチング自体の持続効果も最も高まる時間です。

ストレッチングは一時的に筋を伸ばせても、ある程度の時間が経つと戻ってしまうので、③を定期的に実行することで、筋の柔軟性を維持することができます。

良いコンディションを保つには、③のような念入りなスタティックストレッチングを最低週2回は実施したいところです。

拮抗筋と共同筋の筋力を強化する

筋が短縮して運動制限が起こると、その筋の拮抗筋の長さが必要以上に伸びてしまいます。

拮抗筋とは

主動筋の対になる筋。

例えば、主動筋が上腕二頭筋(通称:力こぶ)であれば、拮抗筋は上腕三頭筋(通称:振袖)。

本来の長さよりも伸びてしまっている筋は、筋力を発揮しづらくなっています。

このような筋には本来の筋力を発揮できるようにトレーニングで再教育していきます。

また、ある動作の際に一つの筋だけでなく、いっしょに働く共同筋という筋があります。

共同筋は絶妙な筋力バランスで動作しますが、共同筋間においても短縮しやすい筋と伸びやすい筋があります。

短縮しやすい筋は前述したとおり、マッサージ、ストレッチング、温熱療法などで緩めますが、伸びてしまった筋には拮抗筋と同じようにトレーニングします。

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姿勢の種類

姿勢の種類には、

  1. 正しい姿勢(前述参照)
  2. 後弯前弯型(kyphosis-lordosis posture)
  3. 後弯平坦型(sway-back posture)
  4. 平背型(flat-back posture)

の代表的4タイプがあります。

これに加えて、腰だけ反っている前弯型、通称【軍隊タイプ】姿勢や左右の骨盤(寛骨)の一方が前傾で他方が後傾になった非対称タイプもあります。

ここでは代表的な4タイプのうちの②③④をみていきましょう。

後弯前弯型(kyphosis-lordosis posture)

後弯前弯型

出典:ケンダル 筋:機能とテスト‐姿勢と痛み‐ 著者 ケンダル/マクレアリー/プロバンス 監訳 栢森良二 西村書店

特徴は、骨盤の前傾です。

前傾とは、骨盤の前方が下がり、後方が上がっている状態です。

前傾すると、重心が前に移動します。

そのままだと前に倒れてしまうので、上半身を後方に丸めてバランスを取ります。

すると腰の反りが強くなり、肩甲骨が外に広がって背中が丸まり、顎が上がってきます。

理想的な姿勢も背骨がS字状に弯曲していますが、この姿勢になるとさらにきついカーブのS字状になります。

ハイヒールを良く履く人妊婦さん太っていてお腹が出ている人は前方に重心が移動しているため、この姿勢になりやすいです。

また、姿勢を良くしようと意識しすぎてもこの姿勢になってしまうので要注意です。

腰痛、肩こり、顎関節の不調、頭痛、腰椎の器質的変性など様々な悪影響を身体に及ぼします。

ストレッチングする筋
  • 首の後ろの筋(頸部伸筋群)
  • 肩こり筋(僧帽筋上部・肩甲挙筋)
  • 腰の筋(腰部脊柱起立筋群)
  • 胸~腋(ワキ)の筋(大胸筋・小胸筋・前鋸筋)
  • ももの前や横の筋(腸腰筋・大腿筋膜張筋・大腿直筋)
強化する筋
  • あごを引く筋(頸部屈筋群)
  • お尻・もも裏の筋(大殿筋・ハムストリングス)
  • 背中の筋(上部脊柱起立筋群・菱形筋・僧帽筋中部)
  • 腹筋群(外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋・腹直筋)

後弯平坦型(sway-back posture)

後弯平坦型

出典:ケンダル 筋:機能とテスト‐姿勢と痛み‐ 著者 ケンダル/マクレアリー/プロバンス 監訳 栢森良二 西村書店

特徴は、骨盤の後傾です。

先程とは真逆です。

重心を後ろに置き、お腹を突き出して何かにもたれかかったような姿勢です。

そのままだと後ろに倒れるので、背中を丸め、顎を突き出しバランスを取ります。

椅子やソファーなどに浅く腰掛け腰を丸めて座っている人は特にこの姿勢になりやすいです。

弛緩姿勢(しかんしせい)とも呼ばれ、筋での支えは必要なく、骨同士の接近で支えています。

要するに、身体的にはだらけている状態です。

swayback

この画像のような姿勢です。

自前(筋力発揮)で姿勢を支えるのではなく、関節周りの軟部組織(関節包・靭帯)や関節そのものに支えてもらっている状態です。

腰痛、膝痛、肩こり、胃腸の不調、お尻や胸が垂れ下がるなどのありがたくない症状に見舞われます。

ストレッチングする筋
  • 首の後ろの筋(頸部伸筋群)
  • 肩こり筋(僧帽筋上部・肩甲挙筋)
  • 胸の筋(大胸筋・小胸筋)
  • ももの後ろの筋(ハムストリングス)
強化する筋
  • あごを引く筋(頸部屈筋群)
  • 股関節を屈曲する筋(腸腰筋)
  • ももの前の筋(大腿直筋)
  • 背中の筋(上部脊柱起立筋群・菱形筋・僧帽筋中部)
  • 体幹をひねる筋(外腹斜筋)

平背型(flat-back posture)

後弯平坦型

出典:ケンダル 筋:機能とテスト‐姿勢と痛み‐ 著者 ケンダル/マクレアリー/プロバンス 監訳 栢森良二 西村書店

特徴は、腰椎の平坦化です。

前述したとおり、背骨にはS字状のカーブがありますが、この姿勢では、背骨全体がフラットになっています。

S字状のカーブがないと、衝撃吸収作用が低下し、ケガをしやすくなります。

特に腰椎の椎間板には大きな負担になります。

腰椎椎間板ヘルニアを患う人はこの姿勢タイプが多いです。

腰部椎間板ヘルニア
腰の椎間板ヘルニアをわかりやすく解説(原因+治療法など)「椎間板ヘルニア」についての記事です。 MRGにおいても施術やトレーニングでの相談で多い疾患です。 椎間板は、背骨を構成する...

また骨盤の後傾もみられます。

デスクワーカーやマッサージ師など長時間前かがみになる人に多く、スポーツを激しく行う人もこの姿勢になりやすいです。

腰痛、肩こり、顎関節の不調、頭痛、腰椎の器質的変性が症状ですが、特に腰痛が顕著です。

ストレッチングする筋
  • 首の後ろの筋(頸部伸筋群)
  • 肩こり筋(僧帽筋上部・肩甲挙筋)
  • 胸の筋(大胸筋・小胸筋)
  • ももの後ろの筋(ハムストリングス)
  • 腹筋群
強化する筋
  • あごを引く筋(頸部屈筋群)
  • 股関節を屈曲する筋(腸腰筋)
  • ももの前の筋(大腿直筋)
  • 背中の筋(上部脊柱起立筋群・菱形筋・僧帽筋中部)
  • 体幹をひねる筋(外腹斜筋)

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さいごに

この記事をまとめると……

  • 正しい姿勢とは、どんな体位であっても構えが安定している姿勢。
  • 不良姿勢とは、全身の筋力や柔軟性のインバランス(不均衡)が発生して、少しずつ体位や構えが崩れた状態。
  • 不良姿勢を正すには、がんばりすぎている筋を伸ばし、さぼっている筋をきたえる。
  • 姿勢には大きく分けて4タイプある。

となります。

まず自分がどの姿勢に近いかを把握して、本番の筋トレ(ウエイトトレーニング)前に正しい姿勢に近づけておくことが重要です。

また日頃からメンテナンスする上でも姿勢を熟知しておきましょう。

理想的なアライメントで筋トレ(ウエイトトレーニング)を行うと、有害な負荷を除外しながら的確な刺激が入り、ますます健康体になっていきます。

この記事では姿勢全般についてお伝えしました。

姿勢タイプごとの具体的なコンディショニング法についてはまた別の機会にお伝えします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ABOUT ME
パーソナルトレーナー
相馬達也
「ウエイトトレーニングと鍼灸マッサージで日本を元気に!」を天に与えられた使命として日々試行錯誤しているパーソナルトレーナーです。1児の父でもあります。身体のことならお任せください。
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