リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

乗りかかったポニョ

2020-02-23 05:42:01 | オヤジの日記

先週の日曜日、東京は雨だった。

私の心にも雨は降った。

 

先週の続き。

「タピオカ」の踊りの講習をアホのイナバくんに頼んで・・・違いました「パプリカ」でした。

パプリカの動画は、イナバくんにメールで送ってもらったので、一応観た(イナバくんとイナバくんのガキ二人が、ニコニコしながら踊った動画だ)。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・(へー、イナバくんのガキ二人がダンスがうまいのはわかったけど)。

 

友人の極道コピーライターのススキダの得意先が、今年創立40周年を迎えるというので、3月はじめに面倒くさいパーティを開く予定だという。

そこで、若手社員がまるで幼稚園のお遊戯のように、パプリカを踊りたいと言い出したのだ。

無邪気ですね。

ダンスといえば、私の中では、アホのイナバくんしか思い浮かばなかった。

イナバくんに聞いて、インストラクターをお願いしたら即座に「いいですよ」と返事が来た。

しかし、アホだぞ、彼が飼われているボルゾイ犬さえ認めるアホだぞ。心配になった私は、ついていくことにしたったった。

 

東急東横線代官山駅から徒歩7分で目的地に着いた。

ススキダは、エスティマで既に来ていた。イナバくんもメルセデスで来ていた。

俺、昼メシ食ってねえぞ、なんか食わせろや、と言ったら、イナバくんが、カロリーメイトをくれた。

ありがとね。

カロリーメイトを食いながら会社のエレベーターに乗って、最上階に着陸した。

そこに、社員食堂があった。

社員食堂では、関係者の方々が、すでに待っておられた。

若い9人の面倒くさい人たちが、私服姿で待っておられた。

「やる気まんまん」には見えないですけどね。

テキトーに挨拶を交わした。

 

イナバくんは、「どうも」と言いながら、いきなり9人に小さなゼッケンを配った。

「ボク、人の名前を覚えられないので、番号で覚えます。肩にゼッケンを付けてください」

みなさん、安全ピンで肩にゼッケンを付けた。イナバくんの奥さんが、ゼッケンを作ってくれたらしい。

そして、イナバくんもゼッケンを付けた。イナバくんのだけは、でかい。10番のゼッケンだ。胸につけて誇らしげだ。

「エースナンバー!」叫んだ。

イナバくんは、サッカーが三度のサッカーよりも好きなのだ。色々なメディアで、サッカーを観まくって暮らしていた。

しかしね、イナバくん。インストラクターに、ゼッケンはいらないんじゃないかね。

 

イナバくんが言った。

「パプリカ、やります」

それは、合ってると思うけど、たとえば「今日は、みなさんと一緒に、楽しくパプリカを歌って踊りましょう。ボクも楽しみにしています。わからないところは聞いてください」程度のことは、言った方がいいんじゃないかな。

心配になった私はイナバくんに、beat  it やってみたら、とアドバイスした。

すると、イナバくんは、マイケル・ジャクソンの名曲 beat it を踊り始めた。腰と足、手の動きが調和したMJらしい軽快なダンスだ。

だが、コピーするのは絶対にむずかしいと思う。

イナバくんは、簡単にダンスをこなしていた。

社員さんたちの目からは、釘がたくさん出て、イナバくんのダンスに釘付けになった。

そして、終わったら、大拍手。

 

つかみは、オッケー。

 

イナバくんとは、事前に打ち合わせをしていた。

最初の1時間は、踊る人のスキルを確かめよう。そして、20分の休憩をはさんで、1時間のダンスレッスン。さらに20分の休憩をはさんで、ダンスの仕上げにかかる。

一人ひとりに踊ってもらうと、みなさんスキルがそれなりに高いのは、わかった。

ほぼ20代の男女。女性6人男性3人だ。今時の若い人は、ダンスが身についているんですかい?

私らデスコ世代は、単純な動きしかできない。しかし、今の若い人は適応力があるから、色々な動きについていける。タイムズ ゴー オン。

イナバくんが、手を叩いて言った。「いやー、みなさん、お上手お上手。オロドキました」驚きました、だね。

休憩。

でっかいクーラーボックスの中に、お茶やらスポーツドリンクが入っていて、自由に飲めるようになっていた。

そのクーラーボックスの横に小さな発砲スチロールのクーラーボックスがあった。ふたに私の名前が貼ってあった。

開けると一番搾りの350缶が4本入っていた。

これは?

ススキダが、今回の責任者に掛け合って酒の接待をお願いしたのだという。

「彼は、ダンスの先生の師匠ですから、これくらいは、していただかないと」

気が利くな、ススキダ。ありがたく、いただきました。

 

次の1時間は、パプリカの振り付けに費やした。

私にはまったくわからなかったが、イナバくんがいたるところにアレンジを施して、オリジナルとは少々違うダンスになったみたいだ。ジャンプを何回か取り入れたそうだ。

でも、みんな上手いね。戸惑わずに、ちゃんとついていっているもんね。イナバくんも最初は満足そうだった。

しかし、第2クールの1時間が終わるころ、イナバくんが首を傾げた。「うーん」。普通の人の3倍くらい大きく首を曲げた。痛くないのか。

社員食堂の隅っこに座っていた、すみっコぐらしのススキダと私の前に来たイナバくんは、「いい感じなんですけど、何かが足りないんですよね。パーティ感がトモシイんですよ」おそらく「乏しい」だと思う。

 

いや、俺には完璧に見えたけど。もう練習なんかいらないんじゃないかね。

「いやいやいやいやー」

そんなに嫌なのかい。

「だって、普通すぎるでしょう。これじゃあ、ただ踊りましたってだけですよ。コンタクトがないです」インパクトだね。

頭を抱えるアホ。

私には、どうでもいいので、2本目の一番搾りをありがたくいたいただいた。

そのとき、何かをひらめいて突然頭を上げたアホが、ポテチもないことを言い出したのだ。ポテチ食いたいな。湖池屋ののり塩ね。

「Mさん、阿波踊り、得意でしたよね」

得意じゃねえよ。

「踊ってみてください」

チミは、何を言っているんだ。パパパプリカはどこいった。いつからここは徳島になった。

「Mさんにできないことはないとボクは思っています。やれます、やれます、絶対にやれます。はい、立ち上がってー」

すごい熱量で語られた。まるで催眠術だ。

踊っちまった。

ススキダの得意先の社員は、突然白髪オヤジが阿波踊りをし始めたのを見て、数秒固まっていた。

どうでもよくなった私は、ススキダを巻き込んだ。おまえが持ってきた仕事だ。責任を持て。

ススキダは、最初腰が引けていたが、意を決して踊り始めると極道らしい凄みが出て滑稽になった。イナバくんが、手を叩いて喜んでくれた。

そして、イナバくんも参入してきた。これこそ本当の踊る阿呆だ。

最後に、イナバくんが我々に振り付けをした。両足を開いて止まり、両手をつけて、両手を頭の上に突き上げるのだ。

イナバくん曰く「東京タワーのポーズです」。

そのあと、音楽が鳴って、みんながパプリカを踊り始めた。我々は、すみっこに退場だ。

 

終わって、イナバくんが言った。「完璧、カンペッキ、最高。これで出来上がりです」

社員一同、大拍手。ハイファイブ。

いや、待ってね、パプリカと阿波踊り、何のつながりがあるの。納得いかないんですけど。

すると、イナバくんが、また訳のわからないことを言った。

「いいじゃないですか、乗りかかったポニョですから」(何のこっちゃ)

しかし、社員一同にはドカンと受けた。

アホとレベルが一緒なのか。

 

結局、3月初めに催されるススキダの得意先の40周年パーティーで、イナバくんとススキダ、私の3人で阿波踊りを踊ったあと、社員9人のパプリカが披露されることになった。

何で? 阿波踊りは、アワっぽい顔をした他の社員が踊るのがスジでは?

帰り道、イナバくんのメルセデスで送ってもらいながら、私は当然の疑問をアホにぶつけた。

オレ、完全な部外者なのに、何で、阿波踊り、東京タワーなのよ。

 

「いいじゃないですか、Mさん、乗りかかったポニョですから」

 

 

オレは、ポニョにも船にも乗りたくないわ。

 

 

 

船といえば、新型コロナウイルス。

なまえが付いているようだが、忘れた。なまえなんか得意げに付けている場合じゃないよね。

我が家では、マスクは常備物なので、足りないということはない。

プッシュ式のアルコール消毒液も何年も前から常用しているからストックはある。

ただ携帯除菌ティッシュは、完全に店頭から消えているので、これだけは困る。なので、通販で度数50のウォッカを手に入れて、消毒液代わりにしていた。

スプレーボトルに、ウォッカを入れ、ガーゼに吹きかけるのだ。そして、ファスナー付きのビニール袋に入れ携行していた。

それで電車に乗る前に手を拭き拭き。電車を降りたら拭き拭き拭き。仕事の打ち合わせ前に拭き拭き拭き拭き、打ち合わせ後に拭き拭き拭き拭き拭き。

拭き拭き拭き拭き拭きフキ拭き拭き拭き拭き。

そこまでする必要はないだろうよ、という意見は謙虚に受け止めつつ、やめられないんですよね。

 

私は、自分が世界で2番目に汚い人間だと思っているので、たくさんの菌を持っていると確信している。コロナウイルスは持っていないと思うが、汚いガイコツ菌を他所様に伝染すのは申し訳ない。

自分が伝染らない努力は、もちろん必要だが、伝染さない努力も必要だと思う。

 

自己満足? 上等ですよ。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿