石見銀山


稲刈りを8割方終えたところで松江まで妻と一泊旅行に行くことにした。妻とのほんのちょっとした会話のなかで,どっか旅行に行きたいねという提案があって,インターネットで調べたら直近の日付なのに旅館が空いていた。そこで思い切って1泊旅行に行くことにしたのだ。

心配は我が家の飼い猫の世話である。その猫は屋根か木から落ちたのか知らないが,背骨を骨折して,一時期半身不随になっていた。獣医の先生の適切な治療と我々の本当に献身的な世話のお陰で,歩けるまでに回復したのはいいのであるが,下半身に神経が十分に伝わらないせいで,自分で排便排尿ができない。1日になんども圧迫排尿をしているのである。そこで飼い猫は行きつけの動物病院に預かってもらうことにした。

松江は次男の伴侶の里がある地域である。出雲には以前行ったことがあるので,今回は石見(いわみ)銀山に行くことにした。

瀬戸中央道,山陽道,尾道道の高速道路を通り,三次(みよし)からは下道を通って石見銀山まで行った。石見銀山付近にはいろいろ見るところがあるようだが,時間の関係上,竜源寺間歩(まぶ)だけを目指して行くことにした。

下道をいっているときは対向車にほとんど出くわさなかったので,あまり観光客は多くないのではと思っていたが,駐車場に着くと以外にも多くの車が止まっている。しかも車のナンバープレートを見ると遠くからやって来た車が多い。さすが世界遺産のことだけはあるなあと感心する。

間歩(まぶ)は坑道をさす言葉のようである。公開されている間歩は竜源寺間歩しかないため,そこに向かう。駐車場から間歩までは歩行か電動自転車でいくしかない。歩いて行こうと妻と相談する。

道は車が1台通れるほどの生活道である。ちょうど雨が上がって,気持ちよい状態である。

古いけれど整備された民家が立ち並び,小学校や保育所が道の横にある。どれも趣(おもむき)のある建物である。さらに進むと建物は絶え,木々が道の両側にそびえ立つ。左手に水量豊かな小川が流れている。

竜源寺間歩に到達する。入場料を払い,間歩の中にはいる。間歩の高さが私の背丈より少し低いため,腰をかがめつつ前に進む。細くて小さな坑道がたくさん横に伸びている。這っていかなければ入れないような坑道も多い。先人の苦労が偲ばれる。

途中から,最近掘られたような坑道になり,出口に出る。

石見銀山では竜源寺間歩だけ見学し,玉造温泉の宿に向かう。車での遠出はすこし疲れたが,間歩までのウォーキングと間歩の中での体験は楽しいもので,来た甲斐があった。

(2019年10月8日 火曜日 曇りときどき雨)