してました。
去る某日、朝からお腹に痛みを感じたが前日の筋トレによる筋肉痛かなにかだろうと思っていた。
彼女を見送った後、普通にリモートワークを開始して過ごしていたんだけど、だんだんお腹の痛みが尋常じゃなくなってくる。
少し寝れば治るだろうとベッドに寝転んで仮眠を取ったりしていたが、病状は良くなるどころか悪化の一途をたどる。
というか寝転んでいると胃から酸っぱいものがこみ上げてきて非常に気持ち悪い。
なんとか仕事は定時までやり切り、自転車に乗って近所のドラッグストアに行く。薬剤師の人に症状を訴えながら薬を選ぶものの効きそうな薬は見つからずとんぼ返り。
彼女に体調が悪いから夕飯を買って帰ってきてと連絡。
ひたすら痛みに耐え忍ぶものの一向に治まる気配がなく、終わりの見えない悪夢に苛まれ続ける。
その日は朝から何も食べていなかったが、夕飯時になってもとても何かを口にする気力すらなかった。
結局その日は一晩中リビングで彼女に付き添ってもらいながら痛みに耐え続け、当然一睡もできずに夜明けを迎えた。
朝9時頃、タクシーを呼んで内科医診療所に直行する。
採血してもらって血液検査してもらった結果、白血球の数が異常だということで、触診などもした結果おそらく盲腸炎だろうと。
手術が必要だとのことで、紹介状を書くので大きな病院に行ってくださいと。病院への事情説明とタクシー手配は医者と看護師にやってもらった。感謝。
病院で受付をして待っていると診察室へ通され、採血・触診・問診をされる。点滴をつけられそこから痛み止めも注入してもらうと、約24時間ぶりに症状が和らぎ束の間の安息を得ることができた。
さすが大きな病院だけあって検査設備が整っており、レントゲン撮影やCTスキャンなどの検査を行った。
CTスキャンでは内臓をきれいに撮影するために点滴の管から造影剤を注入する必要がある。この造影剤は人によってはアレルギー反応が起こるらしく、そうなった場合に訴えたりしないよう同意書を書かされた。
すべての検査が終わり診察台で横になっていると眠気が襲ってきた。その日は一睡もできていないのだから致し方あるまい。
小一時間うつらうつらしていると医者がやってきて「腸閉塞です」と病名を告げた。
腸閉塞とは腸壁にしこりのようなものができ、そこで腸や胃の内容物がせき止められ排便がまったくできなくなる病気。一度でもお腹の手術を経験したことがある人はなりやすいとのこと。
私は生まれてすぐにも腸閉塞で緊急手術をしたことがある。それから37年も経って同じ病気が再発したということだ。
私は腸の一部分がもともと細く、そこに少しでもしこりができると簡単に閉塞状態になってしまう。
むしろ今まで37年間も腸閉塞が再発してこなかったことに驚かれた。
これからすぐに治療を開始し、その後は緊急入院であることを告げられた。
治療はまず鼻から胃まで管を通し、胃に溜まっている内容物を吸い上げることから始まった。
鼻から管を通すなんて痛いんじゃないかとか不安で仕方なかったがやらなければ仕方ないので意を決して受け入れた。
管の先にジェルをたっぷりつけて通りをよくするとともに緩衝材にもなって痛みも和らぐとのこと。
鼻から管が入っていくのは確かに気持ちの良いものではないが痛みはまったくなかった。
管が喉元まで達したら、そこからは自ら「ごっくん」を繰り返して管を飲み込んでいく。
体の中に管という異物が確かに入っている感覚があって気持ち悪かった。しかしこの管はこれから数日間つけたままであることをこの後知る...
管の先に注射器のようなものを取り付け、採血の要領で胃の内容物を吸い上げていく。
ビーカーに溜まっていった内容物を見ると、いわゆる吐瀉物とは程遠く、まさに漆黒の液体だった。こんなものが自分の体の中に溜まっていたとは...
おそらく何日間も滞留し続けその間もずっと胃液による消化が進んでいった結果、最終的にあのような真っ黒な液体になってしまったのだろう。
500mlのビーカーが満杯になった頃、ようやく胃に溜まっていた内容物が取れた。
それまでぽっこりしていたお腹もようやく凹んだようだった。
しかしまだ腸の中には同様に内容物が溜まったままなので、管をこのままにしておき、数日かけて腸の内容物を排出していくと。
胃に溜まっていた内容物がなくなれば体内活動によって胃まで入っている管を通して自然に排出されていくとのこと。
腸の内容物が排出されれば腸にできたしこりも自然治癒するということだった。
しかし万が一それで腸の内容物が取れない場合、今度はイレウス管というものを腸まで入れて内容物を吸い上げる。
さらに内容物が排出されたにもかかわらずしこりが治癒しない場合、外科手術によりしこりを切除・摘出する必要がある。
このように治療には三段階あることを事前に教えられ、経過観察して柔軟に対応していくと説明された。
この時点で今朝まであった痛みや不快感はだいぶ軽減されていた。
しかしこのまま家にも帰れず緊急入院する必要があるので、まずは心配しているであろう彼女に連絡することにした。
日中は仕事中で電話は繋がらないので、LINEで簡単に現状報告と緊急入院すること、仕事終わりにでもまた電話すると連絡した。
続いて仕事関係。と言っても普段からLINEや電話でやり取りしているエージェントの担当者がいるので、その人にもLINEで連絡した。
エージェントにはいきなり今日から二週間入院することになった旨を伝えた形になるので心底驚いたことだろう。
これから二週間寝泊まりする病室には三種類ある。
一つは4人部屋でかつ仕切りはカーテンのみの無料の部屋。
もう一つは同じく4人部屋で仕切りは壁?パーティション?の¥5,000/dayの部屋。
最後に個室の¥20,000/dayの部屋。
個室だと¥20,000×14で¥280,000、現実的じゃない。¥5,000の部屋でも14日で¥70,000もする。
途中で変えることもできるとのことだったので、とりあえず無料の病室を手配してもらった。
車椅子に乗せられ病室まで連れて行ってもらう。
病室に着いて車椅子からベッドに移り、担当の看護師から入院中の生活について様々な説明を受けた。
長くなったので入院生活については別記事で書く。