【埼玉県・川越市】また一つ消えゆく昭和の風景・川越「丸広百貨店」屋上遊園地 | 日本あちこちめぐり”ささっぷる”

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休日に街をあてもなく歩き回って撮った下手糞な写真をだらだらと載せながら綴る、お散歩ブログ。
東京や近郊メインも、ごくまれに遠方にも出かけています。
観光案内には全くなっておりませんのであしからず。

【埼玉県・川越市】川越

 

また一つ、昭和の産物が消えようとします......

 

もはや説明不要、"小江戸"川越。

ゴールデンウィークが終えた後の有給日に訪問したのですが、実は今回で3度目。

そのうち2回は祝日ということもあって人、人、人、流石に埼玉きっての観光地は違います。

まあ、古い街並みを一人じっくりと歩き回りたい人にとっては、あまりに観光地ライズされているのはいかがなものかと思うんですけどね。

しかも、観光客がわんさか歩き回っている通りにもかかわらず車がビュンビュン飛んでくるので、おちおち写真撮れやしない......とブツブツ言ってますが、やはりこういうのは早朝のほうがいいんでしょうか。

そんな川越ですが、実は今回最大の目的は古い"小江戸"の街並みではなく、別の所なんです。

まあ、蔵の街並みもさらっと眺めたのですけどね、その前に今秋になくなる昭和の産物を見に、とある場所へ立ち寄りました。

 

*   *   *

 

 

東武東上線の川越駅から小江戸へ向かう途中に伸びるクレアモール商店街(川越新富町商店街)。

平日の日中にもかかわらず人が多いのだから、休日ともなれば凄まじいものだろう。

何しろ、川越のみならず埼玉でもっとも人通りが多い商店街だという。

今どきの店が並ぶありふれた商店街って感じですが、そこにひと際大きい建物が見える。

 

 

川越唯一といっていいデパート「丸広百貨店」

昭和39年に現在の場所にできてから半世紀以上、さすがにちょっと年季が入っている感はある。

しかし、この百貨店こそ、川越一の賑わいを誇るクレアモールの要。

 

 

丸広百貨店自体の創業は古く、昭和14年に飯能で開業、以降川越や東松山などにも出店し、埼玉県きってのデパートに成長する。

中でも川越店は店舗面積が26000㎡と規模がデカく、実質上の本店である。

 

 

因みに、現在の場所に移る前は"蔵の街"仲町にあるこの建物が「丸広百貨店」だった。

竣工が昭和11年、川越で最初のデパート建築で、保岡勝也最晩年の設計。

当初ここに入っていたのが「山吉百貨店」だったが昭和26年に閉店、この後に「丸広百貨店」が引き継ぐ形で入っている。

現在はここに歯医者さんが入っている。

 

 

折からのモータリゼーションに対応すべく、現在地に移転してきたのが昭和39年。

当時は市街地から離れていたこともあって、店内でも反対論が根強かったのだが、それを押し通す形で移転するのだが、結果として埼玉随一のデパートとして成長することになる。

 

 

このデパートには、今どき珍しい屋上遊園地が残っている。

その名も「わんぱくランド」。

今回の川越訪問、最初の目的はここに立ち寄る事だった。

 

 

屋上に出ると、これぞ屋上遊園地という風景。

昭和30~50年代にはこうした光景がどこかしこも見られたものだ。

そもそも昭和世代にとって、子供のころ親に連れられデパートに出かけること自体がハレだった。

親が買い物している間、子供はこうした屋上遊園地で遊び、お昼は階上のレストランでランチというのが定番だったはずだ。

 

 

ひこうきわんぱくエアプレーン

 

しかし、平成に入り、やがて令和の時代、こうした屋上遊園地が存在すること自体稀少になっている。

首都圏だけでも、平成に入ってからは東急東横店や上野松坂屋、京王百貨店など名だたるデパートから姿を消し、現存しているのはここ以外に蒲田の東急プラザぐらいか。

 

 

 

 

それにしてもここの屋上百貨店はすごい。

何しろ、モノレールまであるのだ。

ところが、そんな丸広百貨店の「わんぱくランド」、悲しいことに令和元年9月末をもって閉鎖されるという。

その理由が、件の店舗老朽化に伴う耐震工事だという。

 

川越の屋上遊園地が閉園 百貨店が耐震工事…全国でも2カ所しかないシンボルの観覧車、51年の歴史に幕

(2019.4.24付 埼玉新聞より)

 

 

この屋上遊園地で最大の呼び物と言っていい観覧車、「わんぱくホィール」。

実は日本国内で現役の屋上観覧車としては蒲田の東急プラザとここだけ、わずか2例なのだという。

それにしても、「わんぱくランド」だけにここの乗り物にはすべて名前に「わんぱく」がついている。

 

わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい╭( ・ㅂ・)و̑ グッ 

 

昭和世代には懐かしいCMのフレーズが頭によぎるw

 

 

で、乗ってみたのだが、何だか鳥かごに入っている気分だな。

この瞬間、私は鳥セキセイインコ青になったw

最大4人は入れるというが、こじんまりとしたかごでお互い顔が近い状態で乗ることになるだろう。

 

 

かごからの景色を期待したんだが、至って普通でした。

ここからは蔵の街すら見えない。

しかし、てっぺんまで来た時にはさすがにスリル感はあった。

恐らくタ○リさんとか高所恐怖症には無理だろうな。

 

 

ってか、眼下に墓地が見えるとは叫び

デパートの近くが墓地って(^^;)

 

 

よく見ると、相当年季入っている乗り物だと分かる。

所々に塗装が剥がれている箇所があるし。

途中で止まったらどうなるんだろうねぇ。

 

 

デパートの屋上には必ずと言っていいほど存在する小さいお稲荷さん。

デパ屋と言ったら屋上遊園地とセットで置かれていたものだが、遊園地ばっかに目を向けていてここはスルーしていたけ(苦笑)

もっとも、屋上にお稲荷さんがあるのは商売繁盛のためなんだけどね。

 

 

相田裕「1518!」7巻より

 

川越を舞台にした漫画「1518!」にもここが登場していたな。

確かに家族連れだけでなく、学校帰りに寄る人もいそうだ。

 

 

この懐かしい風景、見られるのは9月末までで、その後再開の話も出ていないので恐らく二度と見られなりそう。

訪れるなら今かも。

そんなマジ絶滅危惧種になっている屋上遊園地を後にして、次回は川越の街へ。

 

(訪問 2019年5月)