罵りながら当然のようにパートナーをこき使うのは、なぜ?
自己愛性人格障害者は、自分にとって価値のある事しかしようとしません。自分の功績につながらないような雑用はやりたがりません。それは他の誰かに押し付けます。家庭の中であれば、パートナーに押し付けます。
自分がやりたくない仕事を人に押し付けたあげく、そうした仕事は「価値のある仕事」ではないから、それをする人のことを「下らない事しかできない、能のないヤツ」とみなしています。
「価値のある事はできないから、そんな仕事でもやらせておけばいい。でなければ、何もすることがなくて、さぞかし居心地が悪いだろう」とでも思っています。
だから、自分がしたくない事をすべて相手に押し付けても、決して感謝はしません。大変だろうとも思っていません。自己愛性人格障害者にしてみたら、相手は「誰でもできる簡単な事をしているだけ」ですから、やって当然だと思っています。
しかし、自分がそうした仕事をする破目になったら、ストレスで大変になって癇癪を起します。
だから、パートナーがやろうとしなかったり、文句を言ったりすれば、自分に嫌な仕事がまわってくるかもしれないというストレスから、激昂して大変な騒ぎになります。「最低の事もできない、どうしようもないヤツ」と考えるでしょう。
たとえ相手がやっても、それが自分の気に入るような具合でなかったら、「そんな事もできないヤツ」という話になります。それで自己愛性人格障害者は、いつも怒って悪しざまに貶しながら、相手を利用し、働かせます。
結局、自分がやりたくない事や苦手な事はやろうとしないので、少なくともそうした事に関する本人の能力は低いままになります。だから、ますますやりたくなくて、人にやらせる、それが思いどおりでないと罵ったり激昂したりする、という悪循環なんですよね。
特に、自己愛性人格障害者に何か引け目がある場合、それを隠蔽するために、パートナーを攻撃し続けたりします。自分の問題に、皆の目(自分自身の目を含めて)が向かないようにするためです。
たとえば、パートナーより社会的地位が低かったり、経済力がなかったりする自己愛性人格障害者は、パートナーがあれこれやるのは当然だと、パートナーに思い込ませようとしてくるでしょう。自分が惨めな境遇にあるという事実や、パートナーのおかげで生活できているという事実などを、パートナーから突き付けられるのを避けるために(そんなことになったら、悔しくて発狂してしまいますから)、変な攻撃をしてくることもあるだろうと思います。