歪んだ心理空間における精神的被害

モラハラ、DV、ストーカー、セクハラ、性犯罪等における加害者心理と被害者心理

問題だらけのストーカー規制法

日本のストーカー規制法では、相手に対するつきまとい等のストーカー行為が「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」ということに限定されているので、ミューレンの分類における「憎悪型」ストーカー(恋愛感情が絡まないケース)は対象になりません。その一方で、悪意は一切なくても、「恋愛感情」や「好意の感情」が相手にしつこいと感じられてしまうと、規制の対象になってしまいます。しかし、本当に怖いのは〈執拗に交際したがってくる人〉ではなく、〈執拗に嫌がらせや攻撃をしてくる人〉です。

 

また、異性関係にある相手から恨まれて当然の事をしておいて、恨まれると「ストーカー」だと言って警察に被害届を出す人もいます。ストーカー問題のカウンセリングをしている小早川明子さんの本から事例を二つ紹介します。

 

 「私が会った男性は、交際の申しこみをした女性(性的関係はあった)から、「転勤のない職種でないとつき合えない」「転職したら交際する」という約束を得て、転職したにもかかわらず、女性が交際を承諾しないため、喧嘩になりました。女性に対して暴言を吐き、執拗にメールを送ったのですが、自分も苦しいため、自ら警察に電話して「女性と揉めている。カウンセリングを受けたい。どこかありませんか」と相談しました。すると、自宅に警察官がやってきて警察署に連れていかれたそうです。おそらくは女性から相談があったのでしょう。

 警察官からは『女性に近づくな』と言われ、感情がさらに悪化し、親は困って私に相談にきたのです。

 男性は、『警官があいつの家を見張っているから近づいたら逮捕される。何もできず苦しい。復讐したい』『人の人生を狂わせて何が被害者だ』とすごんだ声で言いました。ある日、私に電話で『あいつを殺す』と宣言したため、私は警察に『様子を見てほしい』と連絡を入れました。警察官はすでに逮捕の準備をしていたらしく、彼は翌日、脅迫罪で逮捕となりました」(小早川明子『ストーカー - 「普通の人」がなぜ豹変するのか』, 中公新書ラクレ, 2017年, pp.186-187)。

 

 「二人は数年間不倫関係にあり、女性には夫と子供がいました。女性は彼に多くのお金を貢がせておきながら、彼が借金で首が回らなくなると『お金の切れ目が縁の切れ目』と言ったという。『彼女に尊崇の念を抱いていた』男性は、その一言で『だまされた、悪魔だったと結論し、復讐しようと考えた』のです。女性は一命をとりとめ、彼は服役しましたが、出所した時も『殺したい気持ちは変わらない』と言って反省はみられなかった。私は、ひどい頭痛と怒りからくる発作を繰り返す男性を医師のもとに連れて行きました」(小早川明子『「ストーカー」は何を考えているか』, 新潮新書, 2014年, pp.112-113)。

 

これでは相手を一方的に踏みにじった人が、自分が文句を言われると相手を「ストーカー」扱いして更に打ち負かし、「被害者」として警察に守られながら、逃げていくことができる、そういう法律になってしまっていると言えます。

 

 

追記

昨年暮れのことですが、とんでもない「ストーカー」報道がありました。

男性が、元交際相手の女性宅の前に、別れて二ヶ月後とクリスマス・イブの二回ほど、手紙とプレゼントを置いて行ったことで「ストーカー」として実名報道されたのです。関西テレビがネット上で配信していた記事でしたが、さすがにその直後、記事は削除されていました。しかし、ネット上は既に拡散されてしまっていて、しかも、書き手が自分の空想で、いやらしいことを書き散らしていました。本当に恐いです。

 

特に被愛妄想のある妄想性障害者が偽の被害を訴えている場合は厄介で、本当の被害者が加害者だという話にされます。

 

 

bollaさんへ

 

メッセージありがとうございました。私も嬉しかったです。お互いコメント欄がないわけですが、この方法だと確実にbollaさんに見て頂けるようなので、私もbollaさんの記事をリンクさせて頂きます。

 

bolla.hatenablog.com

 

bollaさんのケースでは、bollaさんは相手と交際関係もなければ、一度も恋愛感情をもったこともありません。そういう話にされるのは、相手に被愛妄想があるからです。そして、本来は被愛妄想や被害妄想こそ、ストーカーになる人の方の特徴です。ストーカーの中には、このような妄想性障害者がいます。クレランボー症候群は極めて珍しい妄想性障害なので、一般にほとんど知られていませんが、とりわけこの妄想症の人は、自分が恋愛感情をもたれていて、自分が相手に付きまとわれていて、自分がストーカー被害者だと思い込んでおり、警察沙汰にしたり、訴訟を起こしたりすることもあります。

  

妄想性障害者は、第三者が見れば、正常者と変わりませんが、完全な精神障害者です。

私たち正常者は異常者の精神構造を想像することもできません。正常者に対するのと同じ言動をとり、相手を人間として尊重し、相手から妄想を抱かれていても、それを勘違いや誤解のように捉えてしまうと、この世の事とは思えない、恐るべき被害に巻き込まれていきます。

 

下の記事もご参考になればと思います。

 

echo168.hatenablog.com

 

echo168.hatenablog.com