歪んだ心理空間における精神的被害

モラハラ、DV、ストーカー、セクハラ、性犯罪等における加害者心理と被害者心理

愛想を尽かされないと思い込んでいるDV・モラハラ・ストーカーのエロトマニア(被愛妄想)傾向

 「それを言ったら、おしまい」ということを言えば、普通は、その時点で相手から嫌われて当たり前です。敢えて言うことがあるとすれば、それを覚悟で言うのが普通です。あるいは、縁を切る場合ですら、本当に相手を傷つけそうな事は、言わないでしょう。

 

ところが、多くのモラハラ・DV加害者は、パートナーを虐待しながら、相手が自分に愛想を尽かすとは思ってもいません。そのため、「これを言ったら、おしまいだ」ということでも平気で言ってきます。むしろ、相手を最大限に傷つけられることが何なのか探して、それを言ってきます。

 

これは、元交際相手や元配偶者のストーカーも同じです。

 

相手を脅迫したり、相手に暴言を浴びせかけたり、嫌がらせを繰り返したりしていながら、口も利かずに逃げている相手が、まだ自分を好きだと思い込んでいたりします。相手から確実に嫌われるような事を言ったり、したりしておきながら、相手が自分を嫌って離れていくことを全く想定していません。

 

 「相手からなかなか電話がこない、誰かが止めているのかな」とか「メールアドレスを変えたのは拒否の意味じゃなく、頭が変になっているのでは」などと言う人がいます。

 私が、「電話をして来ないのは、誰かが強制しているのでも交通事故に遭ったわけでもなく、単にあなたに電話したくないだけのこと。アドレス変更は『別れたい』という意思表示だということよ」と真実を伝えると加害者はすごく嫌な顔をします。(小早川明子『「ストーカー」は何を考えているか』、新潮新書、2014年、69頁。)

 

真正の妄想性障害でなくても、現実離れした解釈の仕方が、非常にエロトマニア(被愛妄想)的だと感じます。逆に、こんな変な思い込みがあるから、普通の人ならできないような嫌なことができてしまいます

 

ただし、本物の妄想者でない場合は、やがて相手が自分を嫌がっていることが分かってくるようです。そして、相手が逃げていこうとするのを不愉快に思って、猛攻撃に出ます。

 

ハラスメントや男女間の暴力の嫌なところの一つは、被害者が自分の身を守ろうとするだけで、加害者はそれを自分に歯向かってくることだとみなし、攻撃をエスカレートさせてくるところです。