お薬の力を借りながら成長中(2)~頑張ってる子を見守って!学校であらわれる副作用
前回の続きでコンサータのお話です。
薬の服用に当たっては、副作用の心配もあります。
事前に調べたり、処方される時に主治医からも説明を受けました。
食欲低下、体重減少、成長の抑制、不眠、チック、頭痛など
家庭での副作用
服用してから、1~2時間で効果があらわれ、日中約12時間続くといわれています。娘の場合は、服用後30分で効果があらわれ、10時間弱続きます。副作用はほとんどない方だと思います。
- 食欲低下・・・もともと少食・偏食なので、薬との因果関係はわかりません。身長は服用以前と同様ゆっくり伸びましたが、体重が全く増えない状態が1年続きました。「楽しく食べる」ようにし、現在は少しだけ食事量も増え、身長・体重ともにゆっくり増えています。
- 不眠・・・5人に1人くらいの割合で寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めることがあるそうです。これも、もともと就寝時間が遅めなので因果関係はわかりません。夜はしっかり眠ることができています。(起立性調節障害と思われる症状なので、生活リズムを整えるよう配慮していますが、まだ改善できていません。)
- つまらない・・・「コンサータを服用すると“つまらない”と感じる」という書き込みを見たことがあり、娘にたずねてみました。すると「そうそう!コンサータ飲んだ時は“つまらない”!!」と激しく同意していました。(;^ω^)
本人は服用時とそれ以外の違いを感じていないようですが、最近では「コンサータを飲んでない時には慌ててしまう」と話しています。冷静な判断をできるようになった分、テンションが上がりにくくなって“つまらない”のかもしれません。
最近の出来事では……
未使用時・・・家でジュースをこぼした時「あっ!」と慌てるのですが、どうしていいかわからずおろおろ。少し様子を見た後「ぞうきんを持って来て拭こう!」と声をかければ行動に移すことができる。
使用時・・・雨上がりの土の上に持っていた鞄をぽとっ。慌てることなく5秒くらいボーッとしてから拾う。泥がついた鞄を見て「土をはらって~」と私に渡そうとする。その行動でいいと思うけど、ゆっくりすぎやしないかい?
親としては、その中間くらいの行動がいいんだけどなぁ~。ここは成長を待つしかないかな。 (^-^;
学校での副作用
- 吐き気・嘔吐
服用開始から数日後、2時間目が終了した休憩中、むせるように軽く嘔吐がありました。食欲がなく朝食は少しだけで、すでに消化していたため胃の内容物もなかったのでしょう。学校から連絡があり迎えに行き早退しましたが、翌日以降特に副作用もなく、いつも通り登校しています。
【A君の場合】
入学当初、授業中に気になることがあったら席を離れることがあったA君。1年生の終わり頃から、授業に集中できるようになっていました。2年生になった頃、給食中に嘔吐し早退することが数回あったそうです。娘からその話を聞いてすぐに(もしかしたら・・・)と思い、
「それは薬の副作用かもしれない。もし、たぬこが近くにいたら、すぐに先生を呼ぶんだよ。」と話していました。
その数週間後、A君の隣の席になった娘。A君が突然嘔吐。娘が先生に知らせたそうです。その後は彼が嘔吐することもなくなりました。
数か月が過ぎ、娘がコンサータを服用開始。1か月くらい過ぎた頃、手洗い場でA君と服用している薬の話になりました。名称は出てこなかったけど「色・形・大きさ」同じだそうです。A君は、もう1つ別の薬も服用していました。
「たぬこと同じコンサータと、彼は吐き気止めを使っているのかもしれない。」
我が家も主治医から「吐き気が続くようであれば、吐き気止めも出せます。」と説明を受けていました。彼も頑張ってるんだな……。でも、その彼に対して“いじめの芽”があったようです。
ほとんどの女子や一部の男子から「キモい~」と言われていました。
ドアを閉めて教室に入れなくされている様子を見て腹が立った娘は
「私が通るから」と言ってドアをバンっと開けて一緒に通ったそうです。
図工でボンドが必要になった時、近くの席のA君とB子さんは娘から借りようとしていました。先にA君に渡そうとすると
「だめ~!A君が触った後はいや~!」
娘のボンドをB子さんに貸し、A君は隣の男子から借りました。
そんなことが続き、休憩時間にまたA君の陰口を言っている女子のグループがありました。それを聞いて黙っていられなくなった娘は
「私は1年生の時A君のこと好きだったよ!」と言い放ったそうです。かなりドン引きされましたが、変わらず娘に接してくれる同級生も数名いました。その後、2年生の終わりまでA君に対しての表立ったいじめはなくなったようです。
Good job !!!!! 勇気ある行動をした娘を誇らしく思います。
そろそろ薬を卒業かな
今でも不注意なところはたくさんあります。
先日も、カップスープを作ろうとして、ポットのお湯がマグカップを持っていた右手にかかり火傷を負いました。軽傷ではありますが、利き手であり、やや範囲が広く(薬指・小指)、いつも一人でできていることで失敗したことに大きなショックを受けていました。
日常生活で気を付けるところはありますが、道路(交差点)でのパニック等、命に係わる不注意は見られなくなりました。
小学校でも、不注意が起因となるトラブルも一切なくなりました。感情のコントロールができるようになってきたのだと思います。
そろそろ薬を卒業しても大丈夫かな。困り事も、ADHDやASDの部分ではなく起立性調節障害や発達性協調運動障害、学習障害(ディスグラフィア)の部分が主になってきたので、先生と相談しながら療育を続けたいです。
薬を服用しているかどうかは外見ではわかりません。
判断が難しいとは思いますが、保護者の皆様、同級生のみんな!
頑張ってる子をあたたかく見守っていただけると嬉しいです。
お薬の力を借りながら成長中(1)
娘がコンサータ錠を服用して2年が経過しました。
薬を使用することには賛否あり、体質的に合う・合わないもあります。
ここでは我が家の場合…として書いていきます。
ADHD治療薬について
治療薬には、コンサータ、ストラテラ、インチュニブがあります。その中で娘が服用中の「コンサータ」について『コンサータ錠を服用される方(18歳未満)とご家族の方へ』という冊子より一部抜粋して記しておきます。
「AD/HDについて」
脳の発達のかたよりが関係していると考えられており、親のしつけや育て方が原因ではありません。
AD/HDは、脳の機能の発達・成熟にかたよりが生じた結果、症状があらわれると考えられていますが、それがなぜ起こるのかは、よくわかっていません。
AD/HDでは、脳内の神経伝達物質であるドパミンが不足し、神経伝達に異常がおこっていると考えられています。ドパミンが不足すると、「物ごとを順序立てて行う、やることに優先順位をつける」といった「実行機能」が低下したり、「報酬系」と呼ばれる機能が低下して「待つことができない」といった行動があらわれるといわれています。
治療は「心理社会的治療」と「お薬による治療」が2本の柱です。
治療は、AD/HDの患者さんが自分の行動の特徴を理解し、状況に応じた適切な行動を取れるようになるための「心理社会的治療」と、注意集中力の改善や多動性、衝動性のコントロールを目的に行う「お薬による治療」を組み合わせて行います。
お薬は一時的にAD/HDの患者さんが自分自身をコントロールしやすくなるように手助けをしますが、最終的にはお薬の力を借りなくても、自分で行動をコントロールできるようになることが、治療の目標です。
「コンサータ錠の特徴と役割」
コンサータ錠は、メチルフェニデート塩酸塩を主成分とするお薬です。脳内の神経細胞の間で情報を伝える役割を果たしている神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の働きを活性化することにより、AD/HDの症状である不注意、多動性、衝動性などの症状を改善すると考えられています。
薬の服用を決めた時
保護者向けの研修等で、薬の服用は「6歳以降。処方できる病院・医師は限定される」と学んでいました。
(状況や医師の判断によっては早期から服用されることもあるようです。)
環境を整え、運動等のトレーニングを続けていこう! と親子で取り組み、そのまま薬を服用しなくてもコントロールできる状態に達することができたらいいなぁと思っていました。
しかし、ASDや感覚過敏が原因と思われる行動もあり、日常生活が制限され、QOLが大きく損なわれました。時々ではありますが、同級生とトラブルがありました。「園や小学校からまた電話がかかってくるのではないか? 保護者からクレームが来るのではないか?」と常に怯える日々。
不注意によるミス → 同級生に失敗をとがめられる → 体調不良の上に、自分の気持ちを理解してもらえないことが重なり爆発「大きな声で泣き叫ぶ」 → 「こわい~!」「うるさい~!」 → 「うまくいかない…」自己肯定感が下がる → 失敗体験が重なる
幼稚園や小学校の先生方の理解と、上手に接してくれる同級生数名がいてくれたから、通園・通学できているのだと思います。娘も5歳以降、話しかけて無視されても、チクチク言葉を言われても、手を出すことはなく涙をこらえて耐えていました。それでも上記の悪循環にハマり、親子ともに疲れ切っていました。
私自身の経験から、このまま発達を待っているだけでは関係が悪化し修復できなくなるかもしれない……娘と周りの人たちどちらにとっても好ましくない。そして、二次障害に陥り立ち上がれなくなってしまう!と感じ、小2秋、1年半ぶりの療育センター受診に至りました。
家や学校での様子を話し、娘や私の様子を見て、主治医の先生から
「お薬を使う方法があります。」と提案していただきました。
事前に薬について調べていました。ドパミンについては、亡父が神経伝達物質ドパミンが減少することで起こるパーキンソン病であったので少しだけ知識がありました。
身体の発達もやや遅く、7歳半で満6歳程度に達したのではないか?という思いもありすぐに決断。
「お願いします。」
不注意優勢タイプで、多動・衝動性は少なく、困り事が主に学校であるため「コンサータ」が良いのではないかと説明を受けました。
一番少ない量の18mg、「学校へ行く日」や「休日の習い事等で集中力を必要とする日」に使用。副作用の心配もあるため、休日に服用を始めて慣らしていくことになりました。
服用して変わったこと
服用し始めてすぐに、明らかな変化が2点ありました。
多弁が減る
家の中ではずっと何かしゃべってるんじゃないか? 同じことを何度も話してるよ! というのがピタッ!となくなりました。服用前と変わらず、授業中に必要な発言はどんどんしています。頭の中に浮かんだものをすぐに話したい!という衝動が減ったようです。
薬が効いていない時の方がいっぱい話をして楽しそうなので、メリット・デメリットを感じています。最近では、薬を服用しない日でも「必要以上に話す。同じ話を何度も繰り返す。」はほとんどなくなり、自分でコントロールできるようになってきたのかなと思います。
今でも娘がトイレに入っている時や私がトイレに入っている時に「そういえばねぇ~」と頻繁に話しかけてきますが、「トイレが終わったら話そうね。」と言えば中断してくれます。(^-^;
部屋の中を行ったり来たりがなくなる
つたい歩きや一人で歩くができるようになった1,2歳頃から、部屋の中央にある座卓の周りを何かブツブツしゃべりながら、ず~っとぐるぐるしていました。必ずお気に入りのポンポンのような物を持って。ダンナ曰く
「マグロ(回遊魚)みたいだな。」
机を部屋の端に寄せて周れなくしてみたら……、やっぱりポンポン持ってブツブツ言いながら部屋の中を行ったり来たりしていました。(・□・;)
これが、服用始めた日からピタッとなくなりました。
この行動もドパミンの影響だったの!? 薬の効果がない時には、またウロウロ……。
最近になり、マグロ行動も見られなくなってきました。
不注意なミスは多いけど爆発しなくなりました
相変わらずケアレスミスは多いし、連絡ノートを書けなかったり(関連過去記事:連絡ノートを書けない。。。)、体のぎこちなさ(関連過去記事:「努力が足りないんじゃない?」っていう目で見られると、けっこうヘコむんです。)のように薬では改善できない部分はあります。
しかし、大きな声で泣き叫ぶ“爆発”は減りました。
特に探し物が苦手で、必要な本・鉛筆・消しゴムが見当たらなければすぐに
「うわぁー、ない!! どこ!!??」
とパニックになって大声を出すことがあります。以前は1時間くらいパニック状態が続いていましたが、最近は一度「うわぁ~!」と声を出した後すぐに感情を抑えることができます。
薬の効果かどうかはわかりません。。。
ちょっとだけお薬の力を借りながら成長中です。