盆梅の小枝に白を犇めかせ

 

「方円」2015年5月号清象集掲載。

とりわけ有名な盆梅展を見に行ったわけではない。通りすがりの玄関先にあった盆梅を偶然見かけて詠んだ。しかしこの盆梅が見事で、白い花が密集して咲いていたのが印象的だった。まさに「白を犇めかせ」という表現がぴったりで、鮮やかな白が密集している姿が印象的な盆梅だった。

高校入学したての頃、初めて吹奏楽部の練習場を訪れた時の事を思い出す。当時はグランドの片隅の小さなプレハブ小屋の2階に部室があり、そこで長椅子に座って合奏していた。その姿に唖然としたのを、今でも鮮明に覚えている。しかし、そんな狭い場所でも、自分の能力を最大限に発揮して合奏に臨んでいる姿も印象的だった。みんなそれぞれ与えられたフィールドで仕事をし、一生懸命アピールをする。盆梅の花も、「もっと大きな木に咲きたかった」など不平不満を言わず、与えられた小枝で見事に咲き、人を魅了する。今の環境をよりよくすること自体は悪いことではないが、不本意な自分を環境のせいにしてはいけない。今は世の中が閉塞感に満ちているが、その中でできる限りのことをすれば、やがて事態は好転すると信じたい。

 

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