囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

裏の裏の裏

2019年12月11日 | ●○●○雑観の森

深いヨミは、深海を探るが如くにの巻】

 

■「定石は覚えて忘れろ」という。

有名な囲碁の格言である。

 

元祖人間コンピューター・石田芳夫は

「定石はたった二百ほどを覚えるだけでアマ三段になれる」という。

昭和の棋聖・呉清源は

「定石は基本形を覚えるだけで十分。むしろ死活やヨセの筋をしっかり覚えるべし」という。

これは別のことを言っているようであるが、

実はどちらも正解なのだろう。

アマ三段程度までであれば、そこに至る道はいくつもある、というわけだ。

それを柔軟に考えることによって、万年級位、万年初段からの脱出がかなう、と思う。

 

■碁は、相手のヨミ筋の裏をかいて、

有利な流れを作らねば、

なかなか勝てない。

我慢と反発の使い分けができるか、どうか。

 

■先日の例会で、始めて5年で入段のY初段が、

ため息をついていうには、

「T初段は苦手。切れる所はどんどん切ってくる」

 

「碁は断にあり」

相手を分断し、弱くして攻める。

これは戦術として極めて有効である。

判断を支えるのはヨミである。

 

         ◇

 

■12月8日ブログ投稿「今日の蛤は重い」で、

橋本昌二九段を長考派と書いた。

誤解のないように説明しておくと、

橋本は早碁も得意である。

テレビ囲碁3回、早碁選手権1回などの優勝経験がある。

強い人は、どちらも強い。

なぜか?

彼らは一目で百手、千手を読めるのだが、

時間を掛けて、

読んだ先の膨大な変化図を比較検討・評価しているのだ。

 

われらヘボ碁打ちのように、

ヨミ切れない、

ヨミの速さがない、

迷っている、

のとは全く次元が違うのである。

 

 

橋本昌二(1935~2009年) 関西棋院設立時から若手筆頭格として活躍し、「天才昌二」の名をほしいままにした。入段から11年で九段に昇段。十段、王座などのタイトルを奪取し、関西棋院第一位決定戦では12回優勝し「関西棋院名誉第一位」の称号を持つ。棋風は深い読みの力戦型で、長考派としても有名。重戦車の異名を取った。 1994~98年、関西棋院理事長。

 


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