【なぜ「裏」なのかの巻】
■「表裏のない人」という言葉がある。
良い意味で使われる。
従って「裏」のある人は、世俗的に「悪人」である。
■魔物が棲む碁界はどうか?
「碁の強い人は悪人である」(坂口安吾)ことからして、
「裏」を持っている悪人は、
この世界では「良」であり「上」である。
■筋が悪いが、剛腕の「悪力」という打ち手がいる。
五~三段あたりに多いようだ。
我流の筋悪ながら攻めが異常に強い。
ゴリゴリやってくる。
下手には容赦なく、木っ端みじんにしてしまう。
ハメ手を得意とする者もいる。
だが、上手には通用しない。
パンチが空振りに終わる。
一筋縄では行かぬ、とはこのことであろう。
■碁は「石の効率」を競うゲームである。
ルールは簡単だが、運用は複雑である。
筋悪は、本物の強さとはいえない。
こう考えるに、道程は長く遠い。
アマ最強レベル「六段」への近道などない、のだろう。
▼アルトゥル・ショーペンハウアーは、かく語りき