催事の決まり文句「盛況のうちに」を解説!意味と使い方を例文付きで紹介!

日本語表現の決まり文句として「盛況のうちに」というものがあります。盛況といえば景気の良い、賑やかな響きの言葉ですよね。

「盛況のうちに」という一続きの表現にすることによって、盛況なまま次の出来事につながったのだと予想できます。

宴会や催事など、イベントを取り仕切る立場の人にとって「盛況のうちに」は必須ワードの1つ。この記事を手がかりに、上手な使い方をマスターしましょう。

この記事の内容

日常やビジネスでみる「盛況のうちに」の正しい使い方を例文でチェック

「盛況のうちに」というフレーズを聞く場面は日常生活、ビジネスシーンともにあるものです。

盛況と表現する場面は、会のさなかに限られるわけではありません。例えば催事の準備や告知がスムーズに行われ、前評判が好調である場合も当てはまりまし、あるいは閉会の際に催事全体を振り返って、盛況だったと評する場合もあるものです。

予備知識を踏まえ、日常生活やビジネスシーンにおける「盛況のうちに」の例を考えてみましょう。

催事の準備と告知が上手くいった時の開会の挨拶「盛況のうちに開催」

催事の準備と告知が首尾よく行われ、開会前の段階で見込み以上の集客に成功したとすれば、既に「盛況」というべきでしょう。

集まった人々に向けて「盛況のうちに開催」と伝えることで、告知に応えてくれたお客さんに感謝の意を伝えることになりますし、会場全体が盛り上がっていることをアピールする効果もあります。

例文

開会10分前の時点で、会場は既に満席。告知は大成功だ。お客さんを焦らさないよう、盛況のうちに開催宣言するべきだろう。

例文

コロナウイルスの影響が懸念されましたが、おかげさまで無事、盛況のうちに展示会開催の運びとなりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

催事の閉会に際して成功への感謝や御礼をこめた挨拶「盛況のうちに終了・閉会」

催事の閉会に際し、主催者は単に会を締めくくるだけでなく、会の終わりまで無事に進行できたことや、時間を割いて催物に参加してくれたことに感謝の意を伝えるのがマナーです。

主催者は出しゃばらないというのもマナーの一つ。挨拶は手短に、かつポイントを押さえて謝意を伝える必要があるため、ちょっとしたセンスが必要といえるでしょう。

例文

お時間となりましたので、一度会を締めくくらせていただきたく思います。おかげさまで今日の宴会には全員参加を賜りました。厚く御礼申し上げます。盛況のうちに閉会することを心苦しく思いますが、二次会もございますので是非ご参加ください。本日はご参加いただき、まことにありがとうございました。

例文

千秋楽ということもあり出演者たちの意気は高く、終始高いパフォーマンスを連発。大盛況のうちに演技終了となった。

手段別でみる「盛況のうちに」の伝え方を文例を用いて解説

「盛況のうちに」と表現するケースは、対面や口頭だけとは限りません。

メールやWebといった媒体を利用する場合もあります。

口頭表現のほか、口頭以外の手段で「盛況のうちに」と伝える用例も挙げてみましょう。

「盛況のうちに閉会」を迎えた事を口頭で伝える時

最も基本的といえるのが、口頭での表現です。

相手と同じ時間と環境を共有しているので、その場の状況をダイレクトに伝えれば良い反応を得られるでしょう。

例文

おかげ様で、この度のワイン直売会は目標本数500本を達成。用意していた在庫700本が完売し、めでたく大盛況のうちに閉会する運びとなりました。今回の反響は私どもの会社にフィードバックし、次の機会につなげる所存です。

「盛況のうちに終える」ことが出来た事をメールで伝える時

「盛況のうちに終える」ことが出来た事実を、活動報告としてメールで伝える場合も考えられます。

大別すると、メールマガジンなどの形で一般消費者などに向けて発信する場合と、報告事項として指揮系統の上司などにメール送信する場合の2通りに分けられるでしょう。

例文

去る3月4日に開催した新商品発表会は、ご来場の皆様から多数の問い合わせ・引き合いをいただき、盛況のうちに終えることができた旨を報告いたします。

HPなどに「盛況のうちに終了する」ことを掲載する時

会社のHPやSNSなど、Web媒体を利用して「盛況のうちに終了する」という結果を掲載し、報告という形をとる方法もあります。

外部企業に対して広告費を捻出する必要がないため、近年では特に盛んになってきている要領といえるでしょう。

例文

おかげをもちまして、新茶葉即売会は盛況のうちに終了することができました。この場を借りて御礼申し上げます。

「盛況のうちに終了する」ことをお礼状で伝える時

お礼状は毛筆による手書きがマナーとされ、略式のメールよりも誠意の込もったお礼の形態と位置づけられています。

メールのように瞬時に届けることが出来ない分、素早く書き上げて送る必要があるでしょう。

例文

拝啓 先日はご多忙の中お時間をいただきまして、まことにありがとうございました。第50回品評会はおかげさまで盛況のうちに終了することができ、社員一同喜んでおります。

これも偏に、かねてより当社を支持していただいている上田様のおかげです。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

催事用語?「盛況のうちに」の意味や使用場面

「盛況のうちに」と表現するには、一種のドレスコードが存在します。

関連する情報を紹介しましょう。

「盛況」の意味や語源

「盛況」とは「賑わって盛んな有様」をいい、主に会合や催事などの様子を表す言葉。

詩人、小説家の故・太田玉茗氏が1897年に著した抒情詩『わが影』には、「猶進んで日本の文学は、未曾有の盛況を呈せんとする階級の二三級までものぼり行けり」の一節があります。

今日の「盛況」と全くニュアンスだとはいえなくとも、ルーツのひとつとして捉えることができるでしょう。

イベントやキャンペーンの結果報告や祝賀会のお礼

「盛況」が主に使われる場面は、企画・イベントやキャンペーンの結果報告のほか、祝賀会などの宴会が挙げられます。

会合や催物を締めくくるに当たって内容を振り返り、盛況だったことに触れつつお礼を述べるという、一種の決り文句だと理解すればよいでしょう。

弔事の際には使用できない言葉

「盛況」とは、賑わって盛んな様のこと。ドレスコードとして、弔事には相応しくない言葉ですよね。
仮に葬儀や法事に多くの人が参列・参集したとしても、その場を評して「盛況」と表現するのはNGです。

葬儀の後には食事や酒が提供される場合もあり、談笑する程度の範囲であれば許容されています。一方、本格的な宴会として大騒ぎするのは故人を偲ぶ会に相応しくない行為です。

以上を踏まえ、多くの人が集まり食事や酒が振る舞われるとしても、弔事の際に「盛況」という言葉を使うことは控えましょう。

「盛況」と「盛大」は使用シーンが違うので注意

「盛況」と似た語句に、「盛大」というものがあります。「盛大」とは主として会合や儀式などの規模が大きく、はなばなしい様のこと。「盛況」と「盛大」は一部重複する場面もあるものの、やはり別のニュアンスを持った言葉です。

式やパーティーなど、はなばなしい場面では「盛況」も「盛大」もめでたい意味で使えますよね。「盛大な拍手」なども、実に景気のいい響きです。ところが「盛大に転ぶ」のように、必ずしもめでたい意味で「盛大」が使われない場合もあります。

付け加えると「盛大」は、当該シーンが賑わっているか否かを問いません。「盛況」は人の活気や評判によって左右されるのに対し、「盛大」は規模の度合いが問題となります。もっと簡単にいうと、「盛大」とは人が関与しなくても成立する表現なのです。

「盛況」と「盛大」の違いは見落としやすい点なので、しっかり押さえておきましょう。

「盛況」の類語や言い換え表現とは?

「盛況」には類語や言い換えの表現があります。

代表的なものを紹介しましょう。

「盛況」を更に強めた表現「大盛況」

「大盛況」とは「盛況」をいっそう強調した表現です。

会合や催物に前例があり、当時よりもさらに盛況である場合などに使うとよいでしょう。

記念祝賀会などの会合「盛会」

「盛会」とは、会合が大いに盛り上がる様のこと。

記念祝賀会などのめでたい会合に多くの参加者が集まり、よく賑わうことをいいます。

目標を達成したとき「成功裏」

「成功裏」とは、「成功といえる状態のうち」という意味です。

「成功裏」とよく似た使い方をする言葉として「秘密裏」があり、こちらの方がよく知られているかもしれません。

例えば「秘密裏に計画を進める」とは、他人に知られない内にこっそり計画を進めるという意味ですよね。

同じ理屈で、「成功裏に撤収する」とは「成功といえる状態のうちに撤収する」という意味を表します。

人が多く集まり賑わいをみせる「繁華」

「繁華」とは人が多く集まり、賑わいを見せる様をいいます。「繁華街」というフレーズで覚えている人も多いでしょう。

ちなみに形容動詞として「繁華だ」「繁華な」という活用法もありますが、どちらかといえば古風で文学的な言い回しに当たり、一般的にはあまり使われない表現といえます。

成功を収めつつ発展中「盛運期」「隆盛」

盛況の「大勢の人で賑わう」という意味とは少しニュアンスが異なりますが、「盛運期」や「隆盛」にも触れるべきでしょう。

「盛運期」とは簡単にいえば幸運期と同義で、運気が巡ってきており、物事がうまくいって勢いがある様のこと。一方、「隆盛」とは栄えて盛んな様をいいます。

「盛運期」「隆盛」ともに成功を収めつつ発展中という意味があり、会場の雰囲気を表すというよりも、対象の「成長や充実ぶり」を表現する語句といえるでしょう。

おめでたい字でにぎやかの意味「殷賑」「殷富」「殷盛」

少し難しい言葉に、豊かであることや盛んである意味を表す「殷」があります。殷と組み合わせた「殷賑」「殷富」「殷盛」も、盛況とよく似た語句です。

「殷賑」(いんしん)は盛況とほぼ同じ意味で、盛況よりも拡張高い表現といえるでしょう。

「殷富」(いんぷ)とは栄えて豊かな様。隆盛に近い意味合いを持ちます。

「殷盛」(いんせい)とは極めて盛んで、繁盛していること。繁盛を強調した言い回しと考えてよいでしょう。

「殷」にはおめでたい意味があり、似た意味を表す語句よりも少し格調高い表現になるのが特徴です。

意味合いを変えずに「盛況のうちに」を別のフレーズで言い換えた表現

「盛況のうちに」というと、いかにも宴会のような響きがあるのも確かですよね。

「盛況のうちに」という表現を好まない場合は、同じ意味を別のフレーズで言い換えることが可能です。一例を紹介しましょう。

「賑わいを見せ」

会場が盛り上がっている様や賑わっている様について、「賑わいを見せ」と表現してもOKです。

「会場がどのような様子を呈しているか」という切り口で捉えると、「会場は賑わいを見せている」という説明はごく自然なものですよね。

「盛況を博する」

「盛況を博する」とは、盛況を得るということ。

使い方としては「好評を博する」とほぼ同じで、参加者からの評判や反響によって盛況を獲得するという流れを意味します。

「盛況を収める」

「盛況を収める」とは、盛況という「望ましい成果」を収めること。

表現上の手法としては「成功を収める」と似たアプローチで、成功の代わりに盛況が当てはまると考えればよいでしょう。

祝電などの開催祝で用いることのできるフレーズ

盛況はめでたく、景気の良い言葉。祝電などの開催祝に盛り込むのに相応しいですよね。

祝いの言葉として盛況を盛り込むシーンをイメージしてみましょう。

「盛況を祈る」「盛況を祈念する」

催事の開催前に祝電を送る時点では、催事が盛況を収めるかどうかはわからないもの。祝電を送る立場の人は催事の開催を祝うとともに、盛況を願う一文を添えるのがセオリーです。

盛況を願う一文としては、「盛況を祈る」「盛況を祈念する」というニュアンスを表現するのが一般的。

「会の盛況をお祈りしております」といった一文があると気遣いが感じられ、好印象につながります。

「盛況を祝す」

催事が終わり、盛況を収めたという結果が明らかになった後で祝電や祝いの言葉を送るケースもあります。

催事が盛況だったことを祝う一文としては、シンプルに「盛況を祝す」というものが一般的。特に飾り立てず素直にお祝いの意を伝えることは、結果として相手にとっても嬉しいものです。

催事の挨拶には欠かせない言葉「盛況のうちに」の役割とは?

「盛況のうちに」という言葉は修飾の役割であり、主語でも述語でもありません。「盛況のうちに」の一節がなかったとしても、結論や用件自体は伝えられるでしょう。

なぜ「盛況のうちに」という表現が使い続けられるのでしょうか。理由は催事の様子や概況を伝えるだけでなく、準備に携わった関係者を労ったり、支援者に感謝の意を表したり、あるいは成功を祝ったりという様々なニュアンスを盛り込むためです。

催事が終わった、というだけでは催事の反響や様子が掴めません。催事が「盛況のうちに」終わったと表現することによって催事が盛り上がり、無事に終わって苦労が報われたという複数のニュアンスを伝えることができるのです。

たかが修飾表現と侮ってはいけないのが、「盛況のうちに」という一節。「盛況のうちに」には、催事の決まり文句といわれるだけの確かな理由があるというわけですね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の内容