ソムニロキスト【最高峰のミードを飲んだ話】

ソムニロキスト【最高峰のミードを飲んだ話】

本日、2020年7月26日20時に、Superstition Meadery という超有名ミーダリー&サイダリーのBlack Berry White というミードを飲みました。感じたことを忘備録がてら書いていこうと思い〼。

スペック

原材料:ハチミツ、ブラックベリー、ホワイトチョコレート(?)、Sulfite/SO2
アルコール度数(ABV): 13.5%
容量 :500ml
値段;$85.00
保管温度:14℃

なんかホワイトチョコレートを使ったと色んなサイトに書いてはあるのですが、基本的にチョコレート風味を出すときはカカオニブを使うはずなので謎が深い。カカオニブと乳糖とか、バニラエッセンスでホワイトチョコレートを再現しているのか本当にホワイトチョコレートを使っているのかはわかりません。

sulfite/SO2 は、ワインなんかでもよく使われる酸化防止剤です。使ったからなんなのかと言われるとワインの畑でないので分かりませんが、一応敏感な人(SO2の摂取に体が反応してしまう人)はいるそうです。

香り

アロマは、スパイシーで少しフェノリックでスモーキー、夏にカブトムシを育てていた箱、梅酒、少し酸。

アロマだけだと正直本当にうまいのかどうかはちょっと分からない。スティル/still (炭酸がない)なミードなので、香りがビールに比べて飛んできづらいというところもあるだろうけども、まだまだ自分には経験値が少ないのだなと。

バレルで熟成させている割には、絆創膏感は全くない。いわゆるブレット感と言われるものですが、マスキングするのも大変な印象なので、新樽かつ清潔なセラーで寝かせてそう。

味わい

絹の絨毯を噛んでるような柔らかく、でも分厚い舌ざわり。ブラックベリーやハチミツを彷彿とさせるしっかりとした甘さ。そして、かなりしっかりした酸味。プラムくらい?(..)

果実やバレル熟成由来の渋みは全然感じない。ゼロってわけではなく、上手に甘みとバランスをとっているんだろうな~。

フューゼルや、高級アルコールに代表されるホットなアルコール感も少なく、なめらかに嚥下していきます。何か月樽に寝かせたのか、あるいは発酵過程にかなりポイントがあるのか、色々と考えさせられます。

チョコレート感は、かなり控えめで、言われなかったらわからなかったかも。カカオニブのしっかりした香りってよりは、ローストバーレイっぽさの方がしっくりきます。じゃあスタウトっぽいのか、と言われると全くそんな感じじゃないから表現は難しい。もう少し温めて飲むともっと強く出てきそうな印象。

感じたこと&勉強になったこと

味わいのバランス感は非常に勉強になります。名前だけだったり、勝手な想像をするとパティスリーで食べるフルーツチョコレートのようなものだと思い込んでました。でも、実際にはどの要素も飛び出過ぎないでまとまっていて、なるほどこれが良い酒なのね、と。

特に、酸味と甘みのバランスが素晴らしかった。でも、それを邪魔しないのは、フューゼルの少なさや、嫌な雑味のなさに感じます。きちんと管理されたセラーで、時間をかけてゆっくりと昇華されていったハイアルのお酒は美味しいですね。

バランス感の良い作り。でも、必ずしもそれが正義かと言われるとそんなこともないとは思い〼。
名前通りの味わいを期待する人に向けて出したいなら、もっと主張を強めることもできるだろうし。ただ、原材料の主張が激しいものを作るのは比較的誰でもできそうですが、バランスを取るとなると非常にテクニックが要求されるのは変わらなそうです。

発酵途中で止めてない?という予想。

ミードはハチミツを原料としており、ハチミツの糖分構成はほとんどがグルコース、フルクトースです。8%くらいは多糖類で構成されていますが、そもそも多糖類はテクスチャーは生み出しても甘みの演出は苦手です。果実由来の糖分も基本的には単糖類でしょうから、発酵に楽勝で使用されます。

アルコール度数も13.5%と別段高いわけではありません。なので、発酵が途中で止めたという以外にこの甘みは信じられません。ワイン醸造では、ポートワインなどのように酒精強化をして、甘みを残して発酵を止めるという方法もあります。他にも、薬品を使って酵母の出芽を止める(子供を作らせない)という方法もあるようです。

いかんせん、普通に醸造していたら糖分は切れますので、何かしてそうですね!!
その辺も学んでいかないといけないです📚

栄養剤入れないとか、アルコール耐性が少ない酵母使用するとか、ピッチ量減らす、温度を急激に下げるとかでも発酵を止めることはできますが、須らく酵母にストレスをかけます。酵母にかけたストレスはフューゼルを増やしたり、肉っぽい香りを出す可能性もあります。ですので、こんだけ流行ってるところがそんな方法をとっているとは思えません(でも、実はこうやって可能性を自分で縛ってる時点でもう良くないのかも。。。)

終わり

ということで、寝言にしてはなんか長くなりました。
評価の高い酒をすごい高い送料を払ってでも飲むと、強烈に学びになります。作ってみたい方向性というか、うまいってどういうことなんだろう?っていうラインを実体験として学ぶことは本当に大きい。

そんなことを考えた連休最終日でした。

他にも色々とあるので、何か思う度にまた更新できたらと思い〼。では、おやすみなさい🎈

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

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