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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇記録】2019年上期観劇まとめ(5月)

Theatre-Going 2019 May

 2019年の上期に観劇した作品についての個人的な記録を兼ねたまとめ記事その3、5月分です。個別のレポを書いた作品はそちらへのリンクを、個別レポを書いていないものは簡単に感想を書いています。



May - 5月

ミュージカル『レ・ミゼラブル』(Les Misérables) @ Queen's Theatre, London《2019.5.1マチネ》

レミの新キャスボとおなじみコゼットの幕

 クイーン劇場で長年上演されてきた旧演出のレミが終わってしまうということで見納めの観劇。旧演出なのにキャストボードが新演出仕様に変わっていて少し戸惑いました。確かに新しいほうがわかりやすいけど、昔の誰がどの役か全くわからないキャスボがロンドンのレミというイメージだったのに!

 新演出も好きだけど、アンジョルラスの死、ガブローシュの死はやっぱり旧演出がいいなぁと改めて。もう世界のどこに行ってもお盆が回るレミが観れないのが悲しい。旧演出の良さを堪能しましたが、いかんせん観てから半年以上経っているのとその後観た豪華キャストのコンサートで色々上書きされてしまってキャストとしてどうだったかをすっかり忘れてしまいました。脳味噌に外付けハードディスクドライブが欲しい…。

バレエ『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet) @ The Royal Opera House, London《2019.5.1ソワレ》

ロミジュリキャストとROH内観

 2019年唯一のバレエ観賞はケネス・マクミラン振付の英國ロイヤル・バレエ団の『ロミオとジュリエット』を。ロミオはワディム・ムンタギロフさん、ジュリエットはサラ・ラムさん。ワディムさんはいつ観ても優雅で気品に溢れているのですが、今回はロミオ役なのでちょっとチャラめの王子。サラさんは可憐で妖精のようなジュリエットでした。主役はもちろんタイトルロールのお二人なのですが、パ・ド・ドゥとしてはジュリエットとパリス伯爵のパの方が実は好きだったり。ジュリエットが嫌々パリスの相手をしている動きが面白いのです。2019年シーズンのものではないですが、パリス伯爵を平野亮一さん、ジュリエットをサラさんが演じている公開練習の動画があるので貼っておきます。(他の場面もやっているので結構長いですが、場面の設定の話とかも聞けて面白いです)

 あと好きなのはキャピュレット家での舞踏会の群舞。ROHシネマシーズンを観たことのある方にはおなじみのプロコフィエフの重々しい音楽がとても好き。ロミジュリのバレエは音楽もすごくいいですよね。

演劇『背信』(Betrayal) @ Harold Pinter Theatre, London《2019.5.2マチネ》

Pinter at Pinter

 「PINTER AT PINTER」と名付けられたハロルド・ピンター劇場のピンター作品のシリーズ上演の最終作品がジェイミー・ロイド (Jamie Llyod) 氏が演出を手掛けた『背信』(Betrayal)。トム・ヒドルストン (Tom Hiddleston)、ゾウイ・アシュトン (Zawe Ashton)、チャーリー・コックス (Charlie Cox) という豪華な出演者も手伝って、チケットを取ろうとしたタイミングではほぼソールドアウト。わずかに残っていたボックス席のチケットを取り、密かにボックス席デビューをした観劇でした。

 舞台のセットはほぼ真っ白な無機質な空間の中央に回るお盆があり、時々俳優自らが移動させる椅子が使われるぐらいで極めてシンプルなもの。おのずと登場人物の会話に集中する形で観劇することになりました。真っ白な空間に浮き出るような存在感の俳優さん3人はみなさん長身のスタイル良しなので映えること、映えること。お洒落で洗練されたデザイナーズマンションのリビングルームがどこかよそよそしくて居心地が悪いのと似た雰囲気で、登場人物の間に流れるいたたまれなくなる気まずい雰囲気が凄い。ちょいちょい笑える部分もあるのだけど圧倒的に気まずい。

 ゾウイさんが演じるエマは立っているだけで漂う色気に惹きつけられるミステリアスな美女で、正直彼女が何を考えているのかはさっぱり理解できないのだけど、ロバートもジェリーも彼女に魅力を感じる理由はわかるような気が。妻にも親友にも裏切られたロバートを演じるトムヒは言葉より雄弁に色々な感情を訴えてくる目の表情の演技がとても良かった。エマとロバートに比べるとチャーリーさんが演じるジェリーは一番普通の人っぽいとても情熱的なんだろうなと思いました。ずっと気付かれていないと思っていて、「なんで言ってくれなかったんだ」とヌケヌケと言えてしまう彼はある意味とても善良。ロバートもエマもジェリーのそんなとこが好きだったのかな、なんて考えながら観ていました。

ミュージカル『スイート・チャリティ』(Sweet Charity) @ Donmar Warehouse, London《2019.5.2ソワレ》

シェイクスピア『ヘンリー四世第一部、またはホットスパー』 (Hery IV Part I or Hotspur) @ Shakespeare's Globe, London《2019.5.3マチネ》

ヘンリー四世第一部、またはホットスパー

 シェイクスピアの時代の劇場を再現したグローブ座でシェイクスピアの歴史劇を観劇。ハル王子をはじめとして、ファルスタッフホットスパーも女性キャストが演じて、一部の女性の役を男性が演じるキャスティングが面白いプロダクション。ただしタイトルロールのヘンリー四世は男性でした。ハル王子役のサラ・アマンクワ (Sarah Amankwah) さん、特に男性役を演じるからといってそんなに声は作ってなかったと思うんだけど、中性的な雰囲気でかっこよかったです。SUAで観た『ヘンリー四世』とはだいぶ趣きが違っていて新鮮だったのだけど、全般的にはRSCのグレゴリー・ドーラン演出の『ヘンリー四世』の方が好みでした。しかしこの作品、ヘンリー四世(ボーリンブルック)の息子(ハル王子)もヘンリーで、敵対するヘンリー・パーシーの息子(ホットスパー)の名前もヘンリーで「ヘンリー多すぎじゃない?」問題が発生するので登場人物が誰が誰かを追うのも結構大変。史劇だから勝手に名前を変えるわけにもいかないですしね。

ミュージカル『SIX』@ Art Theatre, London《2019.5.3ソワレ》

ミュージカル『ザ・フィクション』@ TOM Theatre, Seoul《2019.5.5マチネ, 2019.5.18 14時公演、17時公演》

ミュージカル『ザ・キャッスル』@ Yes24 Stage 1, Seoul《2019.5.18ソワレ》

ザ・キャッスル2019.5.18ソワレキャストボード

 ホームズ:キム・ジェボムさん
 ベンジャミン:キム・ギョンスさん
 キャリー:カン・ヘインさん
 トニーイ・ヨンギュさん

 一人早抜けすることになったギョンスさんベンジャミンの千秋楽に合わせて私にとっても2回目の観劇にしてラストになった『ザ・キャッスル』。ホームズのキャラクターが前回観たジェウンさんのホームズとジェボムさんであまりに違うので、韓国のミュージカルってなんて自由なんだ…もとい俳優さんに委ねられている裁量がめちゃくちゃ大きいなと改めて思ったのでした。ジェウンさんのホームズが穏やかな紳士でその外面とやっていることのギャップが恐怖を煽る感じなら、ジェボムさんのホームズはわかりやすくマッドなサイコパスで人の弱みに付け込んでケタケタ笑っている憎たらしいヤツ。思わずグーパンで殴ってやりたくなる雰囲気だなぁなど若干物騒なことを考えながら観ていたら、毒入りワインのロシアンルーレットの場面でギョンスベンジャミンがジェボムホームズの首を絞めにかかったのでちょっと笑いそうになってしまいました。(←)

 ずっと観たいと思っていながらもなかなか縁がなくて役名のある役では1お初だったイ・ヨンギュさん。強すぎるホームズに押されてしまい、その存在と対を成す善の化身という設定があることを忘れてしまいがちなトニーに見事な存在感を与えていてとても好印象でした。ヨンギュさんのベンジャミンも観てみたかったな。ギョンスさん本人の希望もあってカーテンコールも挨拶なしでしたが、全体的にとても熱量の高い舞台でした。

コンサート『未来和樹 SINGS HEART LIVE 2019』@ eplus Living Room Cafe & Dining, Tokyo《2019.5.19》

未来和樹 SINGS HEART LIVE 2019 未来和樹 SINGS HEART LIVE 2019セットリスト

 コンサートと書きましたが、和樹くんファンミーティング@東京という趣きも感じられる和樹くんの歌とダンスがふんだんに堪能できるライブでした。選曲がまずとてもニクイ!思いを込めてじっくり時間をかけて準備してくれたことがヒシヒシと伝わってきました。そんな選曲に色々な記憶がぶわっと襲ってきて、気がついたらだらだら涙を流していたのはもはやお約束的予定調和。(←)特に「手紙〜拝啓、十五の君へ」から「情景 〜ピアノソロ〜 チャイコフスキー白鳥の湖』より」の流れがやられました。ゲストの吉岡花絵さん、ビリー応援し隊にはおなじみマイケルを演じていた古賀瑠くんを始め、若い才能に接することができたのもよかった。ダンスユニット・COCOさんと和樹くんのダンスシーケンスもとても見応えたっぷり。和樹くんのピアノの先生でもあったピアニストの岡井麻理子さんの演奏もとても素敵で、全体的に「来て良かった!」と大満足で家路につくことができる素敵なライブでした。これからの和樹くんも応援しています。

2019年累計観劇回数:42回(24演目)

 

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  1. 実は2017年の『スウィーニー・トッド』でアンサンブルとして出演されていたのでその時に観ているはずなのですが、当時は認識できておらず…。(公開懺悔)