穏やかな時間とは
ゆっくりでしたが店の中を歩き回って、品物を見て回ります。
夕飯のお買い物につきあってもらいました。
「何を買うん？」
と言われて、お肉と答えたら、お肉の棚の方をしっかりと指差しました。
こういう行動の一つ一つがまともで、とても嬉しい気持ちです。
何か食べたいものはないかなあ？と聞いたのですけど、首を横に振ります。
少し考えて、バナナを買いました…。
外のあったかい所で、おやつみたいにして自分が食べ、少しすすめます。
半分ほど、口にしてくれました。
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やった、食べてくれた！
そんな一つ一つが嬉しいです。
あんな風に、病気は病気はどうだどうだっていう話になった後に、初めて会ったので自分でもどうかなと思っていましたけど、なんだか認知症の薬を使っていた時よりも普通になっています。
義母さんのお母さん、オムレットくんのおばあちゃんも、認知症だったようなのですが、症状がすすんでしまうと、もう「あんただれ？」という状態になったと聞いていたので、症状が進んでもそうならないというのは驚きでもあり、嬉しくもありました。
まあ、今日は調子が良かったのかもしれません。
これまでも、さまざまな体調や精神的な調子の波がありました。
しかし調子が良かったにしてもかなりの良さでした。
少し考えてみたら、前の施設にいた時も、そこから一人で 私の家までバスで来れてたんだし。
すごいよ。やっぱりすごい。
でも、箱根の温泉は難しいかもしれないなあ…。
少しとはいえ、やはり帰る時はちょっと疲れがみえました。
１時間たらずの時間です。
最初、施設に迎えに行ったとき、施設のかたは車椅子に乗せて、そのまま普通に出て来ようとしました。
わたしが車に乗せようとすると、ちょっとびっくりされたみたいでした。
つまり、施設のかたが考える外出というのは、車いすに乗せて、後ろから押してまわり、そのあたりをぶらぶらと散歩する、というものでした。
それは私もすぐ気づいたのですけど、知らないふりをして車に乗せて連れ出してしまいました。しかも、歩き回らせちゃいました。
まだ歩けるのに、体力の低下をおそれて車椅子扱いすることはない…という気持ちがありました。
そのうち、出来なくなってしまったらでいいじゃないか。
今はまだ、歩けるんだから。
やっと、オムそばちゃんを会わせてあげられたし、せかすこともなく、あわてることもない母でおだやかに一緒にいられて一週間に一度、普通に過ごせる親子に、やっとなることができたのかもしれない。
こっちはあれこれすることがあるから、ガソリンを入れて、買い物をして、荷物をしまう。
すべてにつきあってもらって、待つところは待ってもらって、体力も前よりはないので動かずに待っていてもらえるし…と思った所で、ふっと気が付きました。
母と一緒にすごしやすくなったなと思って喜んでいるわたし。
こんなに喜んでいるけれど…。
母のあの、落ち着かなさ、一番私を苦しめていた多動的傾向がなくなった、というのが、母の生命が消えかけているのを示す兆候だったなんて…。
皮肉すぎて複雑すぎて、なんだかかえって落ち込んでしまい、考え込んでしまいました。
尊厳死を願うコメントに、たくさんいいねがついていました。
尊厳死のことを考える時、いつも姥捨て山のことを思います。
姥捨て山は介護施設じゃなくて、本当に餓死するか動物に食べられるか、自然に任せて見捨てていく場所でした。
お話の中で、背中に背負った母は道すがら枝を折っていて、子供が帰る道が分からなくならないようにと、あくまで子供のことを思っていた。母の心を知って、子どもは後悔して泣き、連れて帰った話です。
自分を苦しめるのは自分であるような気がします。
人非人になってもいいので、いやだ、逃れたいと思ってしまう自分を後悔する必要ないと思うのですけど、親のことをめんどくさいとか、介護がつらいと思うあまりに、自分のことを尊厳死なんていう風に思うこともしないで欲しいと思います。
生きぎたなく生きていいと思います。
あれほど困らされても、母にそう思っているので。
（束の間、おだやかな時間を過ごせているから、そんな風に思っているのかもしれませんけども…）
馬籠宿に行ったときの写真です
上質塩くじら500ｇ お得用パック お茶漬け お酒のおつまみ
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