私は当時から算数は得意だった。そんなに勉強しなくても、だいたいできていた。繰り返し鍛錬をしなくても、テストではできていた。東海中学の入試も自己採点ではワンミスだった。
理科も得意だった。昔は電流に関する問題は今よりも難しかった。(他の分野はだいたい昔の方が易しい)それでも"豆電球が光る子供"だったから。
対して、社会は全然出来なかった。今と比較すれば進度は速くなかったのだが、全然覚えられなかった。Σでいえば、ブラックスターレベルが連発していた。週テストが駄目なので、模試までに何とか間に合わせていた。
国語も良くなかった。国語という科目自体に親和性を見出せないでいた。
もし、私が教え子に対して"私と同じように算数理科ができないと、東海中学に合格できない"と言ってしまったら、おそらく殆どの生徒は脱落する。
私が小学生の頃に持っていたのは、おそらくは天賦の才だから。インブリードで決まってしまっている。ただ、天賦の才は食い潰してしまうんだけどね。
もし、32年前の私自身が、他の子と同じように社会や国語が出来ないといけないと感じてしまったら、私は脱落しただろう。塾で私の隣に座っていた南女に進学した女の子は、社会のテキストの隅から隅まで、どんなことも一週間で暗記していた。あれは私には無理だ。
お母様方には言いたい。
「なぜうちの子は、あの子と同じようにできないのか?」
お父様方には言いたい。
「同い年の子に負けて、悔しくないのか?」
(スクールウォーズで相模一高に109対0で負けたときのパロディ)
そんなようには思わないでほしい。それはもうお母様のお腹の中にいる間に決まってしまったことだから。
でも、gifted以外は上位校を狙ってはいけない、ということではない。中学受験には個々に戦略がある。個性に合わせたやり方がある。
塾で与えられることは、ある程度画一化されてはいるが、どのように攻略するかは個々に考えねばならない。山は同じだが、登り方は十人十色である。
成功例は参考にするのはよいが、コピーペーストするものではない。他人の正解は、自分の正解ではないし、塾の先生も一般的解答はくれるが、それをどう消化して昇華するのかは、御家庭による。
本当は小学生でもある程度判断が付けばよいが、こういった判断の補助には、親御様が必要であることも多い。
他人と比較せずに、最短ルートを見出す。もちろんその道を歩むのは本人一人だが。
そういった面まで入れて、中学受験は親子共闘なのだ。
いくた