すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

挫折読書もたまにはネ

2020年07月03日 | 読書
 6月は中旬まではやや乱読気味だったので、下旬は単行本小説を3冊借りてきてじっくり読もうと思ったが、うまく運ばなかった。『カザアナ』(森絵都 朝日新聞出版)は、平安期の異能者の流れを汲む者が、近未来の監視社会に登場する話。その設定の斬新さと、いつもながらの文章の巧みさには感心したのだが…。


 東京五輪後の社会が舞台であることは、この後の五輪実施の有無によって大きく変化しないとは思うが、ずれてしまった感もある。この作家にしては少しエンタメ過ぎて?途中から頭に入らなくなり、三分の二ほど読んで閉じてしまった。自分には珍しい。目覚めの早い高齢者読書(笑)なので、そのせいなのかなあ、


 まあこういうこともあるさと、次に手にとったのは『御社のチャラ男』(絲山秋子 講談社)。絲山作品は芥川賞の『沖で待つ』しか読んでない気がする。ある小説の解説に絲山の素晴らしさが書いてあったので、興味を持った。しかし、これまた朝のぼんやり頭には入ってこなくて、早々に断念し、図書館に返却した。



 最後は『希望の海』(熊谷達也 集英社)。これはなんとか読み切った。東日本大震災そのものを描かずに、前後の人間模様を描いた連作集だった。その設定があっていたか。しかし、気仙沼がモデルの仙河海市に住む様々な境遇、世代を織り交ぜて展開させていたが、地域描写が冗長な気がして、今一つの印象だった。


 散漫な読書になるのは、別に年齢のせいではない。しかし最近絵本読みの割合が増え、小洒落た設定、やや複雑な表現に目を背けたくなるのかもしれない。まだ活字を見ていたい性癖は残っているので、価値を見逃さない持久力、集中力の低下を食い止めねば…。いやっ、面白さだけでいいでしょと、もう一人の声が。


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