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半夏生に栄養ドリンク!

2020年07月01日 | 雑記帳
 新聞の折り込み広告チラシに「半夏生」とある。いわゆる雑節で七十二候の一つ。そこにはスーパーらしく「タコを食べるとよい」と書かれてあった。実際の時期とはずれるが、田植え終了も意味するので、作物がタコの足のように、大地にしっかりと根を張ることを祈願するといった意味が込められているそうだ。


 こうした気候の変わり目に、作物に大事な天候に祈りを捧げたり、作業続きで疲れた身体を休めたりする意味合いも込められていた。調べたら「タコには、アミノ酸の一種であるタウリンが豊富に含まれ、疲労が増してくるこの季節に食べるのは、栄養面からみても理に合う」と、後付のような価値も添えられていた。


 いやそれは、昔から多くの人が自然と接し続けながら身につけた知恵なのだ。さて、自宅の狭い玄関前に塀代わりの植栽と共に三本背の低い樹木を植えてある。その一本は「夏椿」。今が盛りとなっている。しかし、ご存知の人も多いと思うが、この可憐な白い花は「朝咲いて夕方に散る儚い一日花」なのである。



 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」という、あまりに有名な平家物語冒頭の一節にある「沙羅双樹」の「沙羅」の木がこの夏椿とされる。残念ながら我が家には2本なく「双樹」とはいかないが、知ってか知らずかその日一日のために開く花は、やはり愛おしい。


 感染禍も地球の歴史上でいえばわずかな点でしかなく、それは私たち人間も同じ。今月の町広報原稿に引用した池田晶子の一節は「『たまたま』こういう時代である、『たまたま』私の人生である、とこう気づくと、人はすごく広い所へ出られます」だった。さあ、7月。ここはタウリンつながりで、栄養ドリンク一本だ。


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