保育士求人によくある疑問と質問について解説

保育士求人サイトと人材紹介の闇と呼ばれるこの2つを保育業界の専門家が暴露という形で解説していきます

保育士の給料って本当に安い?(その2)

保育士の給料は安いのかという質問シリーズその2です。

 

今回は東京都とは真逆の少子化により保育士が余っている買い手市場の地方と認可保育園以外の保育園についてです。

 

 

◆苦しい地方の保育士就業事情

 

前回の保育士の給料って本当に安い?(その1) - 小林まる@保育園@まるわかりガイドでは東京都内の認可保育園において保育士の年収は20代の平均年収を大幅に上回るとの解説をしました。

 

ではそれ以外の地域ではどうなのか。。。実際は皆さんの印象通り苦しい台所事情があります。

 

やはり一番は「少子化」と「地方財政の緊縮」による保育における予算が潤沢ではないこと。それと雇用自体が都市部と比べて少ないことによりさらに保育士の買い手市場が圧倒的であるということです。この現象は20年前の都市部でも似たようなことが起きていますが、今も地方では深刻な保育士の就業事情は問題になっています。

 

 

 

◆地方と都市部の大きな就業格差とは

 

単純に求人がないんですよね。保育士以外の求人もあまり潤沢とは言えない地域では特にこの影響が大きく、保育士の離職率って都市部と真逆に低いです。ですがそれだけ同じ先生が同じ保育園で続けて働ける状況というのは保護者や子ども目線ではとてもよいことです。

 

しかし毎年保育士養成校を卒業して保育士資格を取得しても、保育士が退職しないことで求人が生まれないことで「採用されても正職員ではなく契約社員スタート」という現実が待っています。契約社員といっても実際に期間終了と共に退職するのではなく正社員同様に長く働くことは出来ますが、昇給と賞与において大きな差があり、仕事内容等は同じでも待遇だけが違うという悩みを多く抱えている保育士さんも少なくありません。

 

でもこれは保育園側の気持ちも解説すると、、、地方の保育園は少子化自治体の緊縮財政の影響が本当に大きく、定員が埋まらなければ社会福祉法人でも閉園を考えなければいけなくなります。その為には全員を正社員で雇用するというのは経営面においてリスクを背負ってしまいます。肝心の保育園を潰してしまうわけにはいかないというのが一番の悩みなのです。

 

 

 

◆認可保育園以外の給料とは

 

前回の解説ではあえて認可保育園だけに限定して解説をしました。ではその他の保育園では給料事情はどうかというと、、、決して十分とは言えないというのが現状です。

 

まず同じ認可保育園でも小規模の場合、補助金の金額も少なくなります。そして認可園以外の場合は厚生労働省の国基準を満たしておりませんので、認可保育園よりも大幅に補助金が下がりますから、当然職員に対する人件費は下がります。

 

またここでポイントになるのが”処遇改善費Ⅱ”これも国からの補助金で副主任格は月額40,000円で年間48万円の給料上乗せが実現しますが、この処遇改善Ⅱというのは子どもの定員等にあわせて保育士に支給出来る人数が決まっているので、小規模の場合は1名にしか40,000円は支給されず後は分配しても1人5,000円~10,000円という形になってしまいます。また少人数の場合、当然一人当たりの早番と遅番を担当する回数も多くなることでシフト的にも偏りが発生するなどの負担が多いというのもポイントです。

 

正直これらの施設では借り上げ社宅制度を活用しないと一人暮らしをするというのは中々難しいですね。

 

 

 

◆認可保育園以外を基準と考えない理由とは

 

ここからは言葉選びに気を付けないといけませんが・・・認証保育所や企業主導型保育園、認可外保育園が認可保育園に劣っているとか、格が違うとかそういうわけではありません。

 

ただ”保育士”という仕事を選択する上で”給料を選ぶ”か”更に自分がやりたいと思う仕事を選ぶ”のかは保育士次第だからです。

 

 

保育士の離職率は本当に高いのか? - 小林まる@保育園@まるわかりガイド

 

上記項目で、長期的な視野で働くことを考えたら生涯賃金を考慮して公立保育園が一番望ましいという解説をしました。ただ公立保育園の場合は公務員である為、採用試験を通らなければないないなど、少々意味合いが変わってきます。

 

その他の私立保育園については保育士が自分でその保育園を選んだのですから、当然「給料面」も含めて職業選択をしたことになります。その為、認可保育園以外で働く保育士が「給料が安い」と不満を言うのは少し意味合いが変わってきます。理想論として認可保育園と同じ給料水準まで持っていきたいというのは私も同様の希望がありますが、そこまでの予算を国や自治体に要望するというのはさすがに難しいでしょう。そもそもとして私が保育士として夢を叶えた15年前と比べて今の保育業界は十分な処遇改善が行われており、消費税の増税分の恩恵を受けていることも忘れてはいけないからです。

 

やりたい仕事を選択したから給料については低水準でも仕方がないと納得をしている方って、きっと沢山いますよね。

 

 

 

◆だからこそ認可保育園以外を応援したい

 

ここまでの記事を読んでいると、認可保育園以外に預けている保護者の方や働く保育士・経営者はあまりよい印象を感じないかもしれません。でもそれはあくまでも「保育士の給料」を前提に考えた話です。

 

実際に保育士の求人会社で勤務をしていたコンサルタントに話を聞いてみると、給料面のダウンは承知で小規模保育園や企業主導型の保育園を選ぶ保育士も少なくないと言います。事前に給料面のダウンを承知で転職を希望するということはそれだけ自分のやりたい保育に挑戦したいという志の高い保育士も少なくないということです。

 

なので繰り返しますが、認可保育園が最も保育園として、保育士として優れているというわけではありません。だからこそ私、個人としてはこのような志を高くもった保育士さんってし尊敬しますし、応援したいなと思います。

 

 

 

◆今回のまとめ

 

今回は保育士の給料事情について2回にわけて解説しましたが、、、正確にはまだまだ話したりない部分もあります。今回は一般保育士を基準に考えましたが、主任保育士や園長先生になれば当然給料も変わってきますし、その給料や就任機会というのも運営する形態によって全然違います。

 

そしてあくまでも「保育士の給料」をテーマに解説しましたが、実際に給料だけで考えていたら保育士ではない職業を選択している保育士さんって多いです。実際に私も給料だけを考えたら正直保育士ではなく違う職業を選択しています。

 

それでもこの保育士という仕事を選択するということはそれだけこの仕事に対して言葉では言い表せない魅力や働き甲斐というものがあるのでしょうね☆彡