カテゴリ:PM2.5
「春霞たなびきにけり」などと歌に詠まれる季節になりましたが、最近の春霞は黄砂やPM2.5の影響でできる霞ではないかと、いさかさか心配な今日この頃です。 これからはPM2.5だけではなく黄砂までが偏西風に乗って中国大陸から飛来してきそうで、さらに花粉の飛び交う季節とも重なり、これらのトリプルパンチを受けることになるため、この問題について少しまとめてみました。 〇黄砂の由来黄砂現象は太古から春先に多く見られる気象現象の一つであり、紀元前1150年頃すでに中国の歴史書の中に「塵雨」という言葉が記載されているとのことです。 黄砂の発生源はゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの中央アジアの砂漠地帯や黄土高原の土や砂です。黄土高原は黄河の上流~中流域に広がる広大な面積の高原で、日本に飛来する黄砂の主要発生地とされています。 砂漠や高原の乾燥地帯で、風によって数千メートルの高度に巻き上げられ、偏西風に乗ってはるか日本にまで飛来してくるのです。 中央アジアや中国の砂漠化が止まらない限り、黄砂はこれからも毎年3~5月頃に偏西風に乗って日本に飛来し続けることでしょう。 〇黄砂の社会への影響 黄砂の社会に与える影響としては、粒子状物質による大気汚染、視程の悪化による飛行機の運行障害や、自動車や洗濯物への黄砂粒子の付着などが考えられます。また、半導体産業のように高度の清浄環境を必要とする施設においては、因果関係は明らかでないものの、黄砂発生時期に不良品率の増加やフィルターの目詰まりなどが発生しゃすいと言われています。 〇黄砂の人体への影響最も心配なのは人体への影響ですが、中国の医療専門家は、砂塵が人体の呼吸器系統に対し、最大の危害を与えると報告しています。砂塵の中には砂塵粒子の鉱物成分のほか、細菌、菌類、化学汚染物質などを含んでいる可能性があるとのことです。 砂塵の中の微小粒子は肺の組織に侵入し、特に免疫力が弱い人には影響が大きく、疫学的な調査では、空気中の砂塵の増加につれて、肺部感染、心血管疾患、心筋梗塞、高血圧及び脳卒中などが増えていることが分かったと報告しています。 〇最近では黄砂と花粉、PM2.5とのトリプルパンチが心配 大分県立看護大学の市瀬孝道先生たちの研究によれば、以下のように黄砂とPM2.5の複合暴露により肺炎やアレルギー疾患の増悪を招くことなどが報告されています。 1. 黄砂に付着している微生物の成分が肺の炎症やアレルギー増悪作用を起こす。 2. 黄砂とPM2.5の複合暴露は、黄砂の量に依存して肺の炎症やアレルギー症状を増悪する。 3. 黄砂とPM2.5は結膜のバリアー(防護壁)の損傷を起こし、その損傷作用は黄砂の方がPM2.5より強い。 4. バリアーの損傷は花粉由来の抗原や微生物成分をより深くにいる抗原提示細胞に導くため、アレルギー性結膜炎を悪化させる。 まさに黄砂と、PM2.5、花粉のトリプルパンチを受けることになり、しかもいずれもこれから5月までのシーズンに日本の大気に飛び交うことが多くなるので、家庭でもしっかりとした対策が必要ですね。 〇家庭でできる対策 1. 毎日PM2.5などによる大気の汚染状況をチェックする 2. 汚染粒子の数が「多い」とか「注意報」が出ている場合は外出時に必ずマスクを着用する 3. 帰宅した場合は家に入る前に衣服や頭髪の埃をよく払い、家に持ち込まないようにする。 4. 帰宅後は顔や手をよく洗う。 5. 目を水道水でごしごし洗うと目を保護している涙の成分を洗い流すことになり、また水道水の塩素で目を傷つける恐れがあるので、顔を洗う時は目の周りを軽く洗う程度にする。眼科医によれば、目を洗う場合は防腐剤が入っていない人工涙液が勧められるとのこと。 6. 窓の開け閉めに注意し、開けっ放しにしない。 7. 室内に花粉などが入り込んでくるおそれがあれば空気清浄機で取り除く。 8. 「注意報」が出ている時などには洗濯物は外で干さない。 PM2.5関連の過去の記事はカテゴリーPM2.5を参照ください。
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最終更新日
2019.03.08 06:59:36
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