〇不織布マスクはある程度ウイルスの飛散を抑制できるが布マスクは???
先日、テレビの番組で、ある大学の先生が、ネットなどで売られている
不織布マスクと
布マスクについて、ウイルス粒子の飛散をどれぐらい抑えられるか実験した結果、
不織布マスクでは飛散が90%程度抑えられたのに対して、
布マスクでは7%程度であったと話されていました。ただし
布マスクでも
キッチンぺーパーを三枚重ねで挟み込めばかなり抑えられるとのことです。
(不織布マスク、写真は楽天市場より)
〇海外の研究でも不織布マスクによるウイルス伝播抑制効果が確認されている
不織布マスクの性能についての研究結果が、
香港大学の研究グループから報告されており、その論文が今年の4月に有名な医学雑誌
Nature Medicineに発表されています。
<Nature Medicine volume 26, pages676–680(2020)>
この研究では、
サージカルマスクを用いて,
コロナウイルス(
季節性の風邪のウイルスで新型コロナと粒子サイズは同程度)や
インフルエンザウイルスなどに感染した患者の呼気からの
5ミクロン以上の「飛沫」と
5ミクロン未満の「エアロゾル」を介したウイルスの伝播についてマスク着用とマスク不着用で比較しています。
その結果、
コロナウイルスの
「飛沫」を介した伝播は
マスク非着用者の30%(3/10)に対して、
マスク着用者では0%(0/11)、
「エアロゾル」を介した伝播は
マスク非着用者の40%(4/10)に対して
マスク着用者では0%(0/11)と、マスク着用の効果が示されています。
この実験で使われたマスクは
サージカルマスクと言われる
医療用マスクですが、ウイルス防護効果の高い
N95マスクとは違い、
市販の三層構造(真ん中にフィルターが入っている)マスクと基本的には同じ構造の
不織布マスクです。
この実験では
布マスクについては検討していませんが、三層構造の中の
フィルターが細菌やウイルスなどをブロックしていると考えると、新型コロナ対策には
三層構造の不織布マスク(ネットで売られている中国製のものなどもそうです)を使用する方が、ある程度の防護効果が期待できそうです。
〇手洗い、消毒、3密を避ける基本手順が最も重要
不織布マスクは新型コロナ感染者の治療現場などで使われる高機能の
N95マスクとは違い、あくまでも
飛沫を飛ばして他人に迷惑をかけないため、あるいは
自分が飛沫を直接浴びるのを少しでも防ぐため、そして
汚染した手で自分の顔や目を触らないためのものであり、マスクをしておれば大丈夫とは考えずに、
手洗いや消毒の徹底、
三密を避けるなど基本的な感染予防手順を守ることが最も大切であることは言うまでもありません。