秋の日帰り高尾山ハイキング③〜薬王院から山頂へ〜

秋の日帰り高尾山ハイキング②~琵琶滝から1号路霞台へ~

薬王院と天狗信仰

浄心門を過ぎてしばらくすると、山道が2つに分かれます。

右の緩やかな坂が女坂、左の直線の階段が男坂。

百八段階段と呼ばれる男坂は、下から眺めると迫力があります。百八段の階段を登って1つずつ己の中の煩悩を消せということでしょうか。これも修行のひとつだと思い、男坂を選びます。ちなみに女坂はぐるりと遠回りするコースで、段差のないゆるやかな坂道になっています。

男坂を登り終えれば、またしばらくの間は緩やかな道が続きます。道端に杉の大木や、お団子などを販売する茶屋があったりして風情があります。

杉並木を抜ければ右手に山門が現れます。

山門を潜ればいよいよ薬王院の中心部。1号路も諸堂が立ち並ぶ境内を縦断していますので、ゆっくり参拝してから進みましょう。境内の至るところに紅葉が植えられているので、秋の行楽シーズンはたくさんのハイカーで賑わっています。願叶輪潜と呼ばれる願掛けスポットには長蛇の列ができていましたっけ。

薬王院というのは、真言宗智山派のお寺。正式名称を高尾山薬王院有喜寺といい立派な寺院ですが、境内に大きな神社があったり、天狗の像がたくさん置かれていたりと不思議な雰囲気があります。

高尾山という山自体が古来から山岳信仰の対象であったこと、明治以前は寺院と神社を区別しない神仏習合の考え方が一般的であったため、今もその名残があるようです。

また、高尾山は天狗の棲む山としても知られていました。

山門を入ってすぐ右手にも力強い1対の天狗像が鎮座しています。単に天狗といっても,2種類あるようで、高鼻で髭面なのが高鼻天狗。口が鳥の嘴のようになっているのが烏天狗と言います。前者を大天狗、後者を小天狗と呼ぶこともあります。となると、高鼻天狗の方が烏天狗よりも格が上ということになりますね。

天狗というのも近年では妖怪の1種とされていますが、もともとは山や自然への畏怖から生まれた神様が、仏教と結びつき神仏の眷属や化身して扱われるようになりました。この薬王院でも天狗は本尊の飯綱大権現の眷属として説明されていますが、もともと高尾山は天狗がいるような神秘的な場所として知られていたと考えていいと思います。

神奈川県南足柄市にある大雄山最上寺や京都の鞍馬寺など、日本には天狗信仰と結びつく寺院が多くあります。

参拝者で賑わうお守り授与所を過ぎて、右手に伸びる石段を登ると本堂です。世界平和と萬民豊楽の額が掲げられた本堂も多くの参拝者で溢れかえっています。ここにも2つの巨大な天狗面があり、睨みをきかせてます。

これからの道中安全を祈願して、先へ進みましょう。

本堂から右左どちらに行っても階段があり、山頂方面へ登って行くことができます。本堂と一緒に本社を詣でるなら左側の階段がオススメです。

高尾山薬王院御本社

石段を登り終えると、朱色の鳥居が構える本社に到着です。

先ほどまでの寺院の雰囲気でしたが、急に神社になりました。これでも同じ薬王院の境内なのですから不思議ですね。もちろん、参拝は二礼二拍手一礼で行います。薬王院の境内には他にもさまざまな神社やお堂が点在しているのですが、それは帰りのお楽しみにして山頂を目指します。

薬王院は日当たりがいい場所が多いので、木々はかなり色鮮やかに紅葉しています。

参拝者は思い思いに写真を撮ったりしながら楽しんでいます。

薬王院から山頂へ

薬王院を過ぎれば、山頂はあともう少し。

薬王院からしばらくの区間は歩行者専用の狭い階段が続くので、紅葉シーズンということもあってやや渋滞気味。階段待ちの列ができるほどでしたが、数分待てば先に進むことができました。

階段を登りきると、ボードウォークになっている区間があります。1号路自動車が走行できるようほぼ全区間にわたって路面が舗装されているので、じっくりと自然を感じることのできる貴重なエリア。所々に休憩用のベンチが用意されているところも嬉しいです。

さて山頂付近を一周している5号路と合流すれば、いよいよ山頂です。

あっという間に標高599mの高尾山に山頂に到着しました。

高尾山はかなり低い山なので、山頂からの眺望は絶景とまでは言えません。ただ、西の方角へ目を向けると、青々とした富士山や丹沢の山々を目にすることができます。

高尾山山頂からの富士山

山頂は広場のようになっていますが、どこもかしこも人だらけ。山頂でお弁当を広げようと思っていましたが、座る場所も無いような状況なので別の場所を探すとしましょう。

次回は紅葉台で休憩をして、1号路でゆっくりと下山します。

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