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飲食店の事例から考えるバリアフリー時代の「おもてなし術」と「調理家電」

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これから超高齢社会が本格化し、ビジネスの世界でも「バリアフリー目線(高齢者目線・障害者目線)」が求められるようになります。

 

なぜなら、高齢者は我が国の金融資産の70%を保有する超優良顧客であり、かつ、バリアフリー市場(高齢者+障害者)は人口比率の25%を超える巨大なビジネスマーケットだからです。

 

統計の詳細は、当協会のブログ記事で説明してありますので、こちらをご参照下さい。

 

 

今回は、飲食店で子供からお年寄りまで大人気のハンバーグを題材に、ビジネスにおける「バリアフリー目線」の大切さをお届けします。

 

この予算がかからないバリアフリーのおもてなし術ができるかどうかでお店の売上にも関わってきますので、ぜひ一読ください。

飲食店の事例から導かれるバリアフリー時代のおもてなし術

下の写真に写っているハンバーグ。美味しそうですね。

 

ハンバーグは、若者だけでなく高齢者にも人気です。肉が大好きという高齢者は多く、特にハンバーグは柔らかくて噛みやすいので、飲食店でも大人気です。

 

 

しかし、飲食店で出てくる上記のようなハンバーグをバリアフリー目線で見ると、1つ困り事があります。

 

本郷
さて、その困り事とはなんでしょう?

 

ちょっと考えてみてください。

 

 

 

 

 

答えは、

 

ハンバーグが熱くて火傷するです。

 

最近、熱々の鉄板にのせたジューシーなハンバーグが流行していて、多くのお店でハンバーグが熱々の鉄板の上にのって出てきます。

 

しかし、知的障害のある人や、脳の諸機能が衰えた高齢者の中には「せっかち」で「待つこと」が苦手な人が多くいます。

 

今は熱いから食べてはダメですよ。冷めるのを待って食べてくださいね。

 

と注意をしても、すぐに熱々のハンバーグを食べてしまい、口の中を火傷してしまう。

 

このような場面は日常的に見ることができます。

 

飲食店のバリアフリーおもてなし術の具体例

火傷防止のため「鉄板を使うのを止める」という手段もありますが、現実的ではありません。なぜなら、熱々のハンバーグを好むお客さんも沢山いるからです。

 

そこで、「バリアフリーおもてなし術」が必要になってきます。

 

飲食店の皆さん。

 

高齢者や障害のある人に熱々の料理をお出しする際は、

 

「普通のお皿にのせ替えてお持ちしましょうか?」

 

そんな風に声をかけてみて下さい。

 

あるいは、メニューに

 

「普通のお皿に移して提供できます。」

 

などと明記してみて下さい。

 

本郷
きっと喜んで頂けます。

 

もしかしたら、お店のリピーターになってもらえるかもしれません。

 

そのような声掛けや配慮は、高齢者・障害者にとって凄くありがたいからです。

 

当たり前と思うかもしれませんが、その理由をお伝えします。

積極的に働きかけることの大切さ

以前、この件で飲食店の人と話をしたことがあります。

 

そんなことは、言っていただければ当然対応しますよ。

 

とその人は、そう言っていました。

 

鉄板をお皿に変更する程度の要望は、飲食店の人からすれば「言っていただければ、当然対応すること」なのであり、それは確かにその通りなのだと思います。

 

しかし、障害当事者やその家族、あるいは認知症高齢者の家族などは、色々なところで気を遣い、お願いを繰り返していて疲れています。なので、お店に改めてお願いするのも辛く、つい我慢をしてしまうケースが多いです。

 

ですから、お店側からこんな風に積極的に働きかけてもらえたら本当に嬉しいのです。

 

本郷
「言われればやります」ではなく、積極的に働きかける…

 

そんな気遣いがバリアフリー時代に必要とされる「おもてなし術」なのです。

 

◆このおもてなし術の記事は動画でも解説しています

 

これは飲食店の事例でしたが、普段使っている電化製品についても同じようなことが言えます。

 

バリアフリー時代に必要とされる電子レンジ

そう。電子レンジです。

 

電子レンジにも同様の工夫が必要になります。

 

電子レンジは簡単に料理を温めてくれるので、今では日常生活に欠かせない電化製品ですね。

 

 

でも、電子レンジで温めた料理がひどく熱々になることってありませんか?

 

そして、障害者や高齢者が火傷をする。ここでも同じような問題が繰り返されてしまいます。

 

そこで、これを解決するアイデアがあります。

 

本郷
さて、そのアイデアとはなんでしょう?

 

これもちょっと考えてみてください。

 

 

 

 

 

答えは、ぬるく温めるボタンです。

 

下の写真のような単なる「あたためボタン」ではなく、「ぬるーく温めるボタン」をもう一つ設ける。

 

そんなボタン(機能)があったら便利です。

 

 

 

もしかして、もう既にあるかもしれません。

 

「当社では既にそのような機能を付けているよ。」というメーカーさんがいたら、「バリアフリー対応の電子レンジ」であることを大々的に宣伝することをオススメします。

 

もし無ければ、ビジネスチャンス!

 

技術的にもそれ程難しくないと思いますので、「ぬるーく温めボタン(機能)」を開発すれば、きっと喜ばれる商品になります。

 

◆この電子レンジについては動画でも解説しています

 

 

バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)

本郷
実は、私も熱々の肉は苦手です。

 

私はそれ程せっかちではないので、熱々の料理が冷めるまで待つことは当然できます。しかし、そもそも、なぜ料理をそこまで熱々にするのか、その意味が分かりません。

 

熱すぎると味が分からず、折角の料理が台無しになると私は感じています。

 

きっと、私と同様に感じている人は多いはず。

 

バリアフリーの理念はすべての人を幸せにする。つまり、高齢者・障害者以外の人たちにも喜んでもらえるユニバーサルデザインに直結する理念なのです。

 

障害児療育の現場からもバリアフリー概念は応用可能

本郷
実は、私には重度の知的障害をもった息子がいます。

 

息子も何度か熱々ハンバーグで火傷をしました。

 

「冷めるまで待って」と教えても、若い盛りですから食欲が勝って、食べてしまいます。

 

なので、飲食店でこのように声をかけをされたり、電子レンジに「ぬるーく温めボタン」などがあれば、障害児の父として私は嬉しいです。

 

高齢者介護の現場から(せっかちな高齢者の行動事例)

今回の話はこれで終わりなのですが、余談として高齢者が「せっかち」で「待つのが苦手」というエピソードを一つお伝えします。

 

もちろん全ての高齢者がせっかちということではなく、あくまで一部の高齢者の話です。

 

本郷
私は毎週、近所の高齢者用デイサービスで介護のお手伝いをしています。

 

デイサービスでは、高齢者の自宅と高齢者施設との間で送迎サービスを行います。

 

送迎車に複数の高齢者を乗せ、高齢者施設に到着すると、私は一人ずつ高齢者を送迎車から降ろし、施設内に案内(誘導)します。歩行困難な高齢者が自力で送迎車に乗り降りするのは危険なため、一人ずつ私が介助しながら降車してもらい、一人ずつ施設内に手を引いて誘導するのです。

 

送迎車での実際のエピソード

例えば、1人目の高齢者を送迎車から降ろし施設内に誘導する際は、2人目・3人目の高齢者には

 

すぐに戻りますから、クルマの中で待っていてくださいね。

 

と声をかけてから、1人目を降車させて誘導します。

 

 

しかし、1人目を施設内に誘導している途中で送迎車を見ると、「待っていて下さい」と言われたにもかかわらず、2人目・3人目の高齢者が勝手に送迎車から降りようとしています。

 

歩行困難で転倒リスクが高いことも顧みず、自力で降車しようとするのです(このような事例は、けっこう頻繁にあります)。

 

その際は、「待っていて下さい」と大声で再度お願いしたり、近くの職員に手伝ってもらって事なきを得ますが、高齢者の中にはそれ程までに「待つことが苦手」な人がいるのです。

 

なので、熱々の料理が冷めるまで待つことができないのです。

 

リンク

◆当協会のブログでは、このようなバリアフリー時代の「おもてなし術」や「アイデア」を多数紹介しています。こちらもぜひ御覧ください。

 

当協会のブログ「企業利益につながるバリアフリーアイデア&ユニバーサルデザインアイデア

 

◆お問い合わせ

ご意見やバリアフリーに関するコンサルティング等のお問い合わせは当協会のHPからお願い致します。

NPO法人日本障害者アイデア協会ーお問い合わせ

 

 

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NPO法人日本障害者アイデア協会 理事長。バリアフリー技術に特化したアイデアコンサルタント。20年の特許実務経験と、2000人の高齢者のお尻を洗った介護経験と、21年間の知的障害者療育経験とを併せ持つ男。障害児を授かったことを機にバリアフリー技術の研究を開始。2012年NPO法人を設立し、バリアフリー商品の開発支援等を行う。【講演実績】株式会社JTB、株式会社ニチレイ、築地ロータリークラブ、商工会議所など多数。バリアフリーアイデアブログ


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