~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

映画の世界から、「メアリー・ポピンズ」の哲学の世界へ

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

風にのってきたメアリー・ポピンズ

P.L. トラヴァース (著), メアリー・シェパード (イラスト), 林 容吉 (翻訳)

東風の吹く日に,こうもり傘につかまって,空からバンクス家にやってきた,ちょっと風変わりな保母の物語.彼女が語るお話は,子どもたちをふしぎな冒険の世界へと導きます.ユーモアと笑いのかげに人生の深みをのぞかせているこの作品は,『ピーター・パン』や『クマのプーさん』とならぶ,空想物語の代表作です。

 

 

ディズニーで映画化されています。名作です。


わたしはこのジュリー・アンドリュース版のハリウッド映画が大・大・大好きなのですが、原作を先に読んだことのある方なら、映画には違和感を覚えるかもしれません。 

 

メリーポピンズ (Amazon プライム字幕版)

ウォルト・ディズニー製作による傑作ミュージカル。やんちゃな子供たちの元に、風に乗ってやって来た不思議な家庭教師メリー・ポピンズ。優しくて美人で、おまけに魔法まで使えるメリーに、子供たちは大喜び。ところが彼らのパパは型破りな彼女を快く思わず……。メリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースがアカデミー主演女優賞を獲得。また同歌曲賞を受賞した「チム・チム・チェリー」をはじめ、物語を彩る名曲の数々も魅力。

 

 最近、続編も作成されました。

 

メリー・ポピンズ リターンズ (Amazon プライム字幕版)

舞台はロンドンーミステリアスで美しい魔法使いのメリー・ポピンズが、母を亡くし、窮地に陥った家族の元に空から舞い降りた。エレガントでマナーに厳しい彼女の上から目線の言動と美しくも型破りな魔法によって、家族は再び希望を取り戻し始める。幸せを運ぶ魔法使いメリー・ポピンズがディズニー史上最高のハッピーを届ける、極上のミュージカル映画が誕生!

 

 

 

 世界的に一番有名なナースであるメアリー・ポピンズは、二度の映画化に表現されたようないつも笑顔😊の楽しく明るい女性…💖では…

まったく、ありません!!!

 

映画を見たあとにぜひ原作を!とよく書かれているのですが…。

 

メアリー・ポピンズを読んで、お子さんたちがこの世界一有名なナースを好きになるかどうかはわかりません。

とても厳格で、いつも恐ろしい目で子どもたちをにらみつけ、プライドが高く、うぬぼれ屋

非常にとっつきにくい人物です。

 

 

しかし、作中の子供たちはメアリー・ポピンズが大好きです。

常にメアリー・アゲアゲです。

 

そして、その厳格で生真面目一辺倒、決して面白みのある人物ではなさそうなメアリー・ポピンズの周囲に、これでもかというほどに不思議な事が起き、ドタバタの喜劇が展開される。 

真面目なメアリーさんとドタバタのコントラストが、この作品の不思議な魅力となっています。

 

帰ってきたメアリー・ポピンズ

P.L.トラヴァース (著), メアリー・シェパード (イラスト), 林 容吉 (翻訳)

メアリー・ポピンズが西風にのってバンクス家を去ってしまってから,子どもたちは彼女の帰ってくる日を心待ちにしていた.ある日,公園でタコあげをしていると,糸の先になつかしい彼女の姿が現れた.ふだんはきびしいナース(保母)のミス・ポピンズだが,彼女が語る物語は,子どもたちを不思議な冒険へとみちびいてゆく

 

 

実際に、もっとも面白いのはこの二作目 「帰ってきたメアリー・ポピンズ」の方ではないでしょうか。
最近映画化されたのも、こちらが下敷きになっています!

 

一作目よりも起きる出来事が面白く、悪い子になるのも女子のターンなので、女子の心は共感を呼び起こしやすいと思われます。

 

ちょっと真面目に…

メアリー・ポピンズがなぜ、これほどまで指示され、名作の名前をほしいままにしているのか。 

それは、この作品の根底に流れる、子供を子供とだけ区別しない、万人に語り掛ける哲学的な問いかけがあります。

 

不思議な世界にいざなわれ、描かれる夜の動物園の世界

その中で、作中の子供たちは

「食べるものと食べられるものがなぜ、一緒になって(メアリーの)誕生日を祝っているのか」 

という質問を動物たちの王、キング・コブラに投げかけます。

 

キング・コブラは答えます。

「今日のこの日には、すべての生き物が平等となるのだ」と。

そして、こんな風に続けます。 

「それに、つまるところ、(中略)たべることも、たべられることも、しょせん、おなじことであるかもしれない。(中略)わたくしどもはすべて、おなじものでつくられているのです。いいですか、わたくしたちはジャングルで、あなたがたは町で、できていてもですよ。おなじ物質がわたくしどもを、つくりあげているのです。──頭の上の木も、足のしたの石も、鳥も、けものも、星も、わたくしたちはみんな、かわりはないのです。すべて、おなじところにむかって、動いているのです。お子さんよ、わたくしのことを忘れてしまうことがあっても、このことだけはおぼえておかれるがよい」

 

この会話は、動物たちの巨大な鎖の輪となって揺れ動き、子どもたちは夢とうつつの境を経て、ベッドの中の眠りに戻っていきます。

この美しい一幕を、私は自分が読んだ時から大人になるまで、忘れたことはありません。

 

この作品を普遍たらしめている理由の一つに、宗教的な要素を含んでいない所があります。

さまざまな地域があり、宗教的な文化基盤もそれぞれであるのに、この作品はほとんどその違いを感じさせません。

宗教的な理解でもなく、難し気な説明でもなく、夢の中の一幕として、何かとても大切なこと、人として忘れてはならないことを、この作品はすべての読者に向かって投げかけているのです。

 

さいごに、英語の原作版の同箇所を引用して終わりにしたいと思います。

日本語訳も大変すぐれていますが、非常に美しい英語で書かれていますので、英語のテキストとして読むにも適しています。

まさに全方向において素晴らしい名作と呼ばれるにふさわしい作品です。

 

it may be that to eat and to be eaten are tha same thing in the end. My wisdom tells me that this is probably so. We are all made of the same stuff, remeber, we of the Jungle, you of the City. The same substance composes us - the tree overhead, the stone beneath us, the bird, the beast, the star - we are all one, all moving to the same end.

 

 

 

Mary Poppins: The Original Story (Mary Poppins series Book 1) (English Edition) Kindle版 P. L. Travers (著) 形式: Kindle版

 

 

 whichbook.hatenablog.com

 

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