骨の折れる設計課題

グーテンターク。

リーグ戦が始まって1か月弱ですが、アキレス腱炎でなかなか調子が上がらず、悶々とした日々を過ごしています。が、腐らずに治療に専念しようと思います。

 

 

ドイツの大学の工学部では、学期末の筆記試験だけではなく、プロジェクトのプレゼンや企業での実習によるレポートによって成績と進級が決まります。中でも機械科学生が手を焼くのが、CADを使った設計課題の提出です。その年によって与えれるテーマが異なるので、自分たちで手順を考えて進めなければいけない点が、私のような外国人学生にはとても厄介です。さらに、学生によってそれぞれ違ったトルクや回転数などの初期データが与えられるので、他人の設計をまねできない仕組みです(この辺りは高専でもそうでした)。去年、一度取りかかろうとした課題は地下鉄用の電車のギアの設計でしたが、最初の2週間で、ひとりでやるのは不可能だと気付き、すぐに諦めました。今年に入り、マレーシア人の友達と一緒に設計を進めることにしました。与えられた課題は、フェリーエンジンの変速駆動部の設計でした。提出までは4か月与えられますが、これがかなり厳しかったです。

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歯車の設計から始まり、軸、プロペラ、ギアボックスなど全ての要素で3Dの設計と強度計算をしなくてはいけませんでした。私はCreoというソフトで3Dの設計をしましたが、ソフトの扱いに慣れるまで1か月かかりました。それぞれのパーツをうまく組み合わせたところで、強度計算と安全率が間違っていれば、また始めから考え直さなければいけないので、こればかりは賢いドイツ人の学生も苦労していました。

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提出までに2度、担当する教授からの中間添削があるのですが、私は進捗が遅すぎたため、2回ともひどく怒られました。たぶん君は間に合わないだろう、とまで言われました。設計なんかよりサッカーの方が大事ですから、なんて言えるはずもなく、ひたすら謝り。。とにかく授業のない時は黙々と設計に打ち込む日々が3、4か月続き、マレーシア勢にも助けられ、満身創痍でなんとか提出までこぎつけました。他の学生は期限3日前には提出していましたが、私が提出したのは締め切り2時間前でした。

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提出から2か月後に返却され、結果はかなりぎりぎりの合格でした。ドイツでは成績は1~5で評価され、1が最高点で、その次に1.3→1.7→2.0→2.3→2.7→3.0→3.3→3.7と続き4までが合格で、5が不合格です。ほとんどの学生が1.3や1.7で合格していましたが、私は3.3でした。あと一か所計算が間違っていれば不合格というレベルです。教授から直接返却されましたが、無事に完成させたことへの安堵と無難な設計内容に、何とも言えない複雑な表情をしていました。「アイデアはまぁまぁ面白いが、それに対して計算が追い付いてない」と苦笑い。能力はないけど理想は高い、と言われたような気がしました。日本人は優秀、というイメージを持っている人だったので、どうやら彼はもっと凄いものを期待していたのかもしれませんが、私にはこれが精一杯でした。

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学生にやらせる範疇がとにかく広いのがドイツの大学の特徴で、もともと保守的できっちりしたドイツ人の性格は、こういう細かい設計や計算に向いているのかもしれません。そのあたりは日本人と少し似ていると思います。

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一つ山を越えましたが、まだまだ難しい課題は続きます。。。

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