英語・フランス語・ポルトガル語な日々………そしてドイツ語が加わる

時に必要にせまられ、時に興味からいくつか言語を勉強しています。

フランス語・prévenir en amont... Pléonasme(冗語法)のあれこれ

Pléonasme(冗語法)。

後で後悔する、予め予約する、などの表現。

会話の時は、わざと同じような単語を並べて強調したりリズムを取ったり、詩的な効果、皮肉を込めたりと、濫用しなければ一概に間違っているとは思わないけれど、それも度が過ぎるとちょっと違う。

 

会話でも頻繁に繰り返されたり、文章の中であからさまなPléonasme(冗語法)を見かけると、話している人、書いている人は言葉の意味を理解せずに使っているのではないか、とさえ思えてくることがあります。それが(言葉のプロであるはずの)アナウンサーの発言や、新聞記者が書いた文章ならなおのこと。

 

例えば、

campus universitaire

campus の定義は Académie française によると、

Ensemble des bâtiments universitaires construit dans un parc ou sur un vaste terrain

campus という言葉にすでに"大学"という意味が入っています。だから campus といえば必然的に大学に関することであり、campus universitaire という必要はありません。

 

prévenir en amont / prévenir à l'avance

prévenir だけで「前もって知らせる、予告する」という意味。

ついでに、予告も‟予め告げる”ということだから「前もって予告する」は日本語での冗長語ですね。

 

Jean m'a prévenu de son arrivée.

Jean m'a prévenu en amont de son arrivée.

en amont を使うなら例えば、

Jean m'a informé en amont de son arrivée.  と書けばいいでしょうね。

 

réserver à l'avance も同じ。予約は事前に行うもので事が済んでから予約はしない(もといできない)ですよね。

Il faut réserver une table dans ce réstaurant.

Il faut réserver à l'avance une table dans ce réstaurant.

ただし、かなり事前に予約しなければならないなど理由を上げる時には、

Il faut réserver très à l'avance car ce réstaurant est toujours complet.

などとは言えるでしょう。

 

事前ついでに pro- も「前に」の意味を添える接頭辞です。pro- 前に -jeter 投げる、ということで動詞 projeter は計画、企画する、という意味(名詞は le projet)。なのでこれも必然的にこれから先のこと。projet d'avenir/ futur projet も Pléonasme(冗語法)です。

 

marcher à pied

これは自分でも気づかずに使っていそうな気がするけれど、marcher は「歩く」という意味。だから当然 à pied は不要。Je marche と言ったら徒歩で行くことです。

そうでなければ Je vais à pied.

 

exporter à l'étranger / importer de l'étranger

輸出すると言えば、必然的に国外へ、輸入すると言えば、必然的に国外から。

Cette société de textile exporte beaucoup à l'étranger.

Cette matière doit être importée de l'étranger.

exporter au Japon のようにどこに輸出しているのか具体的に表すなら何も問題ないけれど、そうでなければ、exporter/importer で十分。

 

もっとひどい例になると、

Cette entreprise exporte leurs produits aux 20 pays étrangers (!?).

 

東京から京都へ輸出する、とは言わないし、「海外へ輸出する、海外から輸入する」という日本語も厳密には冗長語ですね。

 

trop excessif

excessif にすでに、過剰の、行き過ぎの、という意味が含まれているからそこに trop を付けるのはまさに trop です。

Le prix est excessif と言ったら、値段が高すぎる = C'est trop cher 

trop excessif と言ったらもう本当にどうしようもなく呆れるほど高すぎる、ということか?

 

abuser trop も同じ流れ。

abuser 自体に、濫用する、何かを過剰に使う、という意味があるから、

Il abuse de son autorité. (=il utilise trop son autorité) で十分意味が通じます。

Il abuse trop de son autorité とは、もうどうしようもない暴君ということか?

 

achever complètement

achever は何かを完全に終わらせる、完成させる、何かを破滅させる、とどめを刺す(=殺す)こと。要するに finir complètement。

だから achever に complètemet を付ける必要性は全くありません。

逆にいうと、achever un peu とか achever à moitié という表現は不可能です。

 

同じことが anéantir にも言えます。

anéantir は消滅させる、全滅させる、無に帰する (=réduire à néant) という意味。だから complètement を付ける必要はありません。

Au Portugal, la ville de Lagos a été anéantie complètement par le tremblement de terre en 1755.

(=Au Portugal, la ville de Lagos a été détruite complètement par le tremblement de terre en 1755.)

 

intégral à 100%

ニュースのアナウンサーが使っているところを実際に聞きました。

 intégral(e) で全部の、完全な、つまり100%という意味。

intégral à moitié とか intégral à 90% などはそんざいしません。

 

fausse illusion

illusion は錯覚、幻覚。だから必然的に fausse。

bonne illusion だったらそれはそもそも illusion ではないですね。

 

似たような使われ方で mauvais cauchemar も時々耳にします。

cauchemar = 悪夢 = mauvais rêve です。

 

 

初めに書いたように、強調させるため、リズムを作り出すためにわざと似た言葉を繰り返す、というようなこともテクニックとしてあるだろうから、Pléonasme(冗語法)が即そのまま間違い、というわけではないです。でも、あまりに多用したり、機械的に使うとすっきりしたフランス語にならない上に、言葉、表現の意味を知らずに使っていると相手に思われる可能性もあります。時々、単語単語の正確な意味をしっかり調べることもレベルを上げるためには有用だと思います、よ。

 

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