福岡の看板屋　独り言（看板.・カワムラ）TEL092-935-7058

２０１７年記事

あれは確か、リーマンショックで　世の中が一変に

暗くなった日の事だ・・・

遠い異国の餓鬼共が　サブプライムローン等という

インチキ福袋を売りまくったのがことの始まりだったのだ・・・

 

海を越え山を越え　何のえんも縁も無い人達までが　

不況と云う被害を蒙り

天を仰ぎ見　「難何じゃ　こりゃ～っ！」と

立ち尽くすのであった。

 

失意の中　ヤケクソニなり　犬の糞をライターで

火ィ点けて燃やしていたら

 

工場の駐車場に６５歳くらいのオッサンが車でやって来た。

 

キキキキッ！ドン　バタン！

せわしい位　動作がイソイソしい・・・

（急ぎの注文かな？）

 

オッサン：「忙しいですか？景気は如何！？」

坂上二朗さんみたいに　人懐っこい　やや小柄で　

いかにも町工場の社長さん

 

満面の笑みはは　わざとらしく　引きつったようにも見えた。

我、泣き濡れて、犬のウンコを右に左に、

鉄箸でいじくりながら　答えた・・・

 

私：「一気に　世の中が冷え込んでしまいましたなァ～　

　　　社長（オッサン）は如何なんです？」

オッサン：「何で　社長って　わかった！？」

　　　私：「そりゃ～あ　判りますよ」

（営業マンか会社員であれば、初対面でそのような

振る舞いはせぬからな・・・）

 

 

誰もがしょげ返っている　このご時勢に、

ハイテンションで振舞ってるってえ事ァ～

侮れん奴かもしれない・・・

 

オッサン：「わたしゃ～大丈夫です！」

私　　　：「ほう！？そりゃ　いいですな！」

オッサン：「ここまで成るのに１０年かかりました！」

私　　　：「このご時勢に　余程、ニーズにあった、

　　　　　　ご商売なんでしょうな・・・」

オッサン：「私ャ　働いていませんから　ヒヒヒヒヒ　

　　　　　　金に働かせてます」

私　　　：（何だ！このオッサン　個人投資家かよ・・・

　　　　　　それにしても　損切りか難平買いが

　　　　　　上手くいったので自慢でもしにきたのかな・・・）

私　　　：「羨ましいですなぁ・・・私ニャあ　

　　　　　　金融に暗い者で・・・別世界の話です」と

　　　　　　犬のクソをいじくりまわしていた棒を

　　　　　　悔しさを込めて放たり投げながら

　　　　　　言い返すと。

 

オッサン　恵比寿様のような顔で　私をジット見つめ　

缶コーヒーを差し出す。

気色わるっ！と思いながら　受け取り　

横目でチラリと表情を確認しながら・・・

私　　　：「どうも。で、御用の趣は？」

 

オッサン：「手を出して御覧なさい！手をっ！」

私　　　：「なんで！？」

オッサン：「いいから　手をおだしなさい！巨万の富を

　　　　　　掴ませて上げるっ！」

私　　　：「！・・・・・・」

こ、このオッサン、頭が逝っとう！

冷やかしにでもきたのか？イヤ待て！

もし、この人が昔話に出てくる様なお地蔵さんか

仙人だったとしたら・・・

 

何度も促されるので、照れくさそうに　はにかみながら　

手を差し出す・・

信じるものは救われると言うからな・・・

それに減るもんじゃ無し。どうせ貴重な青春時代を

馬鹿な宗教団体に奉げてきた俺だ。捨てる神ありゃ

拾う神ありって言うからな・・・

　　　私：「こうですか？」

オッサン：「世界！と唱えなさい　そして　握り締める！

　　　　　　ほら　やって！」

　　　私：「世界！」

オッサン：「声が小さい　もっと力強く握り締めるっ！」

　　　私：「世界！」

オッサン：「よし！これで　貴方も億万長者だっ！

　　　　　　世界を手中にした！」

　　　　　ちちんぷいぷいのぷいっ！

 

いじくりまわしていた犬のウンコに　

霊前に供える飯のように鉄箸をつき立て　

手を大きく振り上げ　お日様の光を目一杯に体に

浴びたのであった・・・

 

その後・・・どうなったかって？

まあ、そりゃ　それなりに　難を乗り越えて現在に至る訳だが・・・

ご覧の通りだっ　

なあんも～変わらんよっ！

巨万の富はどうなったっ！？