8月15日から17日までの3日間にわたって、「Den Brna(ブルノデー)」という毎年恒例のイベントが開催されました。このお祭りは、三十年戦争の際に、ブルノがスウェーデン軍の攻撃に対して街と城を守り抜いたことを記念するものです。1645年にスウェーデン軍は、ブルノ市内を3日、シュピルベルグ城を1週間以内に陥落させる計画で攻め入りますが、ブルノの人々の反撃に遭い、8月15日に撤退を余儀なくされました。この前日、スウェーデン軍の将軍は「明日の昼12時までにブルノを制圧出来なければ軍を引き上げる」と自信満々に宣言しますが、ブルノの人たちは、大聖堂の鐘を1時間進めて、11時に正午を告げるように細工したことで、スウェーデン軍の撤退が決まったそうです。そのため、11時というのがブルノの人々にとっては、とても重要な意味を持っています。今でも、自由広場にある「天文時計」のモニュメントでは、毎日11時にガラス玉が落ちてくるという仕掛けが施されています。

ちなみに、ヨーロッパ全土を巻き込んだ三十年戦争が始まったのも、プラハの貴族たちがカトリック派の皇帝の使者をプラハ城の窓から放り投げてしまったから、なんですよ。チェコも意外と世界史に顔を出しているんです。って人を窓から放り出したって決して自慢できることではないけれど、そこはチェコジョークということで。(笑)

 

ブルノデー2日目には、新市庁舎前のDominikanske Namestiでマーケットやステージが開催されました。ステージでは、様々な団体が17世紀の決闘をモチーフにした作品を上演。言葉が分からなくてもそれなりに楽しめました。

実は僕はこの日に、初めて新市庁舎に行きました。半年もブルノにいて何してんねんと言われそうですが、このエリアに普段あまり用事がないんですよね…。

 

そして最終日には、最大の見せ場である「歴史的戦闘の再現」が行われます。10時15分に聖ペテロ大聖堂前から、17世紀の軍事パレードが始まります。やはり地元の人が当時の衣装に身を包むと、さすがによくお似合いでリアルです。ただ、だるそうな表情をしながら行進しているのにはウケてしまいましたが。(笑) それぞれの国の軍隊で衣装が違うのですが、知識不足のせいで、どれがどこの軍かは分かりません。(笑)

Dominikanske Namestiもすごい賑わい。半年間ブルノに住んでいますが、「ブルノにもこんなに人がいたのね」と思ってしまいました。

11時には、軍隊が一斉に銃と大砲を打ち鳴らします。本物を使用しているので、かなりの大迫力で、子供は泣き叫ぶわ、事情が分からない犬がパニックになるわで、暫しカオスな状況に。(笑) これは、恐らく日本だと消防法に引っかかるやつですね。

さて、これで終わり!ではなくて、むしろここからがクライマックス。15時半からは、軍隊がシュピルベルグ城に向かって攻め入る戦闘が再現されます。戦闘エリアの外はロープで仕切られていて、観客はそこから観戦します。消防隊や警察も出動する万全の態勢でした。こんなイベントに消防隊や警察をフル稼働してしまうのですから、ブルノもそれなりにリスクマネジメントが高いのね(笑)

目の前で、大砲や銃が撃たれるので、地響きはするわ、大爆音は響き渡るわ、でけっこう怖かったです。観客も、結局ほぼ耳をふさぎっぱなしで、何のために見物しているのやらという状態。小さい子供や高齢者の中には、途中で帰ってしまった人も多かったです。

僕は、「歴史映画やドラマの撮影ってこんな感じなのかなあ」と変な想像をしながら観戦していました。(笑)

軍隊が移動するにつれて、観客の前線も移動していき、最後はシュピルベルグ城の前で「ブルノが勝利しました」的なアナウンスがあり、皆で盛り上がって終了。

過去のイベントの動画があったので、雰囲気を味わいたい方はどうぞ。

 

 

このイベント、日本で例えるなら関ヶ原の戦いを再現する「関ヶ原合戦絵巻」的な位置付けになるのでしょうか。チェコ人たちが、当時の衣装を着ると、本当にお似合いで全く違和感がないので、まるで17世紀にタイムスリップしたかのような感覚を楽しめるイベントでした。

 

明日から、ドイツ・フランス方面へ18日間の旅に出ます。ここ数日、焦ってブログをアップしまくっていたのはそのためです。

9月5日に戻ってくるので、次回の更新はそれ以降に。そのころには、各劇場の新シーズンも開幕するので今から楽しみ。9月末には、バレエ初鑑賞の友人と「白鳥の湖」(今年5回目 笑)を観に行きます。

 

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