C14年代測定を式で表す
概要
土中から発掘された遺跡や化石が何年前のものなのか分析するための手法、年代測定を式で示す。
原理
炭素の放射性同位体は宇宙線により毎年生産され、同時にβ崩壊により毎年消滅している。これらの平衡により地球上の炭素原子に占めるの割合はに保たれている。
また、生物は常に環境からの炭素摂取と排出を繰り返しているため、体内のもまた同じ割合に保たれている。しかし生物が死亡すると炭素の摂取が止まるため、遺骸内の量は減少していく。
これを用いて生物がいつ死亡したかを判定するのが年代測定である。どのように年代を分析するかを式で表す。
の半減期は5730年であり、5730年経過するごとに遺骸内のは元の量の半分になる。これは以下のような式で表せる。
\begin{eqnarray}
x \times \left( \frac{1}{2} \right) ^\frac{y}{5730} = z
\end{eqnarray}
ここでは当初のの割合、が経過した年数、が経過後のの割合である。
に死んだ直後におけるの割合、に現在の(測定された)の割合を代入してを求めることができる。
について式変形していく。
\begin{eqnarray}
\left( \frac{1}{2} \right) ^\frac{y}{5730} &=& \frac{z}{x}\\
2 ^{\frac{-y}{5730}} &=& \frac{z}{x}\\
\end{eqnarray}
両辺のを取る。
\begin{eqnarray}
{\frac{-y}{5730}} &=& \log_2 {\frac{z}{x}}\\
y&=&-5730 \log_2 {\frac{z}{x}}
\end{eqnarray}
を代入する。
\begin{eqnarray}
y&=&-5730 \log_2 {(10^{12}z)}
\end{eqnarray}
経過年数を求める式が導かれた。変数は測定値だけなので、の割合を測定するだけで年代測定ができることがわかる。
この手法は化石などの生物遺骸には有効だが、土器などの非生物は測定出来ない。同時に出土した木材や食材を用いて間接的に測定する必要がある。