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万葉集をわかりやすく解説

2019-08-18 07:34:52 | 地域と文化

作者 大伴家持  巻十七  四〇三一番歌

 中臣(なかとみ)の太(ふと)祝詞(のりと)言(ごと)いひ祓へ 讀(あが)ふ命も誰がために汝(なれ)

訳:中臣の太祝詞言を唱え、祓いをし、祈る命も、誰のためか。他ならぬあなたのためだ。

 

解説

 毎年、11月になれば新酒の仕込みに忙しい時期となります。そしてこの時期になると大神神社で醸造の安全を祈願する「酒まつり」が執り行われます。三輪は「万葉集」に「味酒(うまさけ)」の言葉が付けられるほど古くから酒と縁深い地域なのです。

 「万葉集」にはさまざまな酒の名前が出てきます。「吉備の酒」(巻四の五五四)、「君がため醸(か)みし待酒(まちざけ)」(巻四の五五五)、「糟湯酒(かすゆざけ)」(巻五の八九二)、「豊御酒(とよみき)」(巻六の九七三)、「黒酒白酒(くろきしろき)」(巻十九の四二七五)など、神事での酒、宴会での酒、親しい友人を想う酒といった、古代の豊かな酒文化をうかがい知ることができます。

 この歌には「造酒歌一首」(酒を造れる歌一首)という題詞(タイトル)がついています。しかし恋心が詠まれており、酒との直接的な関わりがみられません。

 「万葉集」の巻十七から巻二十までは、大伴家持関連の歌々が年月日順に配列されています。そのため前後の歌から推測するに、この歌は家持が越中国(現在の富山県)の国司(こくし)を勤めていた天平20年(748年)の春に詠まれたようです。この年、家持は出挙(利子付き貸与の慣行)のために越中国内を巡行しています。おそらくその勤めのなかで、酒造りに関わる経験を得て、あるいは醸造のときにうたう歌を聞き知ったことが、この歌を詠む契機になったと考えられています。

 中臣氏は宮中の神事を司った氏族です。その中臣氏が唱えるような立派な祝詞が酒造の際になされ、祓いをして祈願すると詠まれています。そうした酒造りに関わる神事の表現は、最後には一転して恋人への思いに集約されます。この意表を突いた表現の転換がこの歌の面白さではないかと思います。

 

万葉集ゆかりの神事~醸造安全祈願祭(酒まつり)~

 桜井市の大神神社で行われる、酒造りの祖神と仰ぐ大神に醸造の安全を祈願する祭りで、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列し執り行われるます。

 酒造りの神様と仰がれるご祭神の進徳を称えて、新酒の醸造の安全を祈る祭典で、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。祭典後から醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。

 「日本書紀」の崇神天皇条には、高橋日命(たかはしのいくひのみこと)が天皇に神酒を献じた時に「この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸(か)みし神酒 幾久(いくひさ) 幾久」と歌ったとあり、大物主神のご神助により、会心の美酒を造ることが出来たことが記されています。このことからご祭神が酒造りの神として敬われることとなったのです。祭典では活日命の和歌で作られた神楽「うま酒みわの舞」が四人の巫女により舞われます。そして、境内では各地から奉献された銘柄を展示する全国銘酒展が催され、全国の銘酒も振る舞われます。また、祭典前日には拝殿と祈祷殿に取り付けられている直径1.5m、重さ200㎏もある「大杉玉」が青々としたものに掛け替えられます。

アクセス:JR三輪駅より東へ700m

     自動車の場合:西名阪天理ICより国道169線を榛原方面へ約14㎞(駐車場あり)

日時:11月14日(木)10時30分~(当日、振る舞い酒を飲まれる方は公共の交通機関を利用してください)

 

         

 

 

        

 

 

         

 

 

          

 

 

        

 

 

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