【サラブレッド夜話】ホクトベガ |  おおむね日刊 ★ 狐のブログⅡ

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  今週は「福島牝馬S(G3)」「マイラーズC(G2)」「フローラS(G2)」です。

ベガはベガでもホクトベガ!エリザベス女王杯を制した後にダートへ転身、砂の織姫と呼ばれる最強牝馬に。ドバイの地に眠る名牝ホクトベガ
 こんばんは、管理人の狐です( ´_ゝ`)ノ
 今日の夜話は、エリザベス女王杯を勝ちながらダートに転身、ダートで合計12勝。フェブラリーSを制してドバイで事故死した名牝ホクトベガです。彼女のお墓は北海道浦河の酒井牧場にありますが、そこに埋まっているのは彼女のたてがみのみ。今でもホクトベガは、ドバイの空で一等星として競争馬たちを見守っています。
  ホクトベガは、「天才少女」ベガや「美少女」ユキノビジンなどと同期の1990年生まれ。父ナグルスキーと母タケノファルコン(母父フィッリップオブスペイン)の血統で、いかにも見栄えが立派なダート向きの馬体で、牧場では900万(準OP)くらいのダート戦はいつでも勝てると、結構評判になっていました。その評判通り、ダートの新馬戦(中山千二)で後続を1.5秒ちぎる大楽勝からダート3戦2勝2着1回と順調な滑り出し、続く重賞フラワーも芝初戦ながら勝って4戦3勝と一躍クラッシックの主役候補に名乗りをあげます。
 
 しかし、クラッシックは同じ一等星の名前を持つベガに歯が立たず、桜花賞5着・オークス6着と善戦止まり。とはいえ、エリートたちを向こうに回し健闘したかなぁと思います。ただ、同じ名前のベガが2冠達成しかも屋根は武豊、社台生産馬…どうしても比べられちゃうのは仕方ないことで、よく偽ベガと揶揄されてました。しかし加藤和(現調教師、たまにポカをするけど好きな騎手でした)と中野師は秋に雪辱を期します。
 
 3歳秋、クイーンS2着→ローズS3着と善戦止まりだったホクトベガは、本番エリザベス女王杯では9番人気と人気薄。しかし、ホクトベガは1枠1番を引いた時から秘策があった…先行するベガやノースフライトの後ろで何時もの先行策を捨ててじっと耐え、4コーナー手前からスパートして捲り、後ろからの差し馬の脚を封じつつ粘りこむ…中野師が菊花賞でグリーングラスを勝たせた戦法…で、ライバルたちに挑んだのです。
 
「内からはホクトベガ!内からホクトベガ!あと100mであります!ホクトベガか!ホクトベガ!ホクトベガ先頭!ホクトベガ、一馬身半のリード!ベガはベガでもホクトベガです!1番のホクトベガ、加藤和宏! 」
 
 やっぱり、今の競馬と違うなぁと思うのは、ブロードアピールの時にも感じたけど「名実況」ですよね。いつもの夜話でしたら、ここでエリザベス女王杯の動画を貼りたいところですが、まぁ今日は別なのを準備してますのでお待ちください。   

 さて、その後のホクトベガ。中距離中心に15戦2勝、2着も2回でAJCCとか骨っぽいところでも善戦していたのですが、16戦目に走ったのが「運命のレース」川崎エンブレス杯でした。百聞は一見にしかずです。まぁ、見てくださいな。

 

 

 あの小回り川崎競馬場で18馬身差ですよ!しかも、ほぼ持ったまんまで強敵相手に…使った関係者も、乗った横山典も呆れた強さ。これで、ホクトベガの運命も決まります。その後適鞍もないこともあって芝で5戦、成績は上がらなかったものの翌年6歳の冬、思い出の川崎競馬場でホクトベガが目覚めます。

 

 強敵が揃った川崎記念で圧勝、続くフェブラリーSも快勝。そして、船橋→高崎→大井→川崎→盛岡と(今のグレート制なら重賞5鞍)通算7連勝、間にエリザベス女王杯4着はご愛嬌(と言っても不利が無ければ際どかった)で、返す刀で浦和記念も快勝。翌年7歳に出走全頭が重賞馬と言うハイレベルな川崎記念を連覇。で、フェブラリーS…に行かずに、何とドバイに挑戦。

 

 そして、あの忌まわしき事故に会いドバイの地で本当に一等星になってしまうわけです。今でも、その偉大な功績を称えて「ホクトベガメモリアル」という名のレースを作りました。確か、ドバイでもそんな名前のレースがあったような。ホクトベガが走った地方競馬場のお客さんの数たるや、それは凄いものでした。川崎競馬場に約6万人、仮に川崎にミシェルと菜七子と豊とルメールが来てもこれほど集まらないでしょう。競馬は馬が主役、紛れもなくホクトベガは一等星として輝く時代のスターでした(了)


                                             だから、競馬は面白い。