本条蔵(仮)

「読み聞かせ用の絵本を探してる!」
「どの歌集を買おうか迷ってる!」
というひとの参考になるかも、ならないかも。

『水上バス浅草行き』(岡本真帆)

2022-08-07 19:05:16 | 短歌
歌集メモ

  • 帯には「あの短歌のひと」とある

  • たしかに、Twitterでバズりにバズってた短歌の何%かは岡本氏(それか宇野なずき氏)の作品なイメージある

  • そのあたりも気になるひとは、「岡本真帆 ビール」とか「岡本真帆 傘」とかでTwitter検索してみてね!

  • 「キラキラ」と「なつかしさ」が同居してるような、ふしぎな心地よさのある作品群

  • 犬が自由すぎる

  • わかりやすい言葉で綴られていて、スッと入ってくるんだけど、深読みや妄想を拡げられる自由度みたいなものも高い

  • 犬かわいい



以下に3首引用します。

現場から病院までの犬という犬を吠えさせゆく救急車
まだ何かあるんじゃないかと期待するエンドロールの後の一瞬
星座にも干支にもならず土曜日のわたしの膝におさまった猫



『絵本 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子)

2022-08-06 22:48:36 | 絵本
十年以上前のこと。
友人が、インターネット上でこんなアンケートを採ったことがある。
「以下の本のリストのなかで、あなたの家(または実家)にあった本すべてにチェックを入れて送信してください」
リストには、いかにも「いろんな人が持っていそうな本」が並んでいた。
夏目漱石、赤川次郎、向田邦子……などなどの作品が並ぶなか、見事第一位に輝いたのが、この絵本の原作である『窓際のトットちゃん』だった。
……と思う。
だいぶ記憶があやふやではあるが、たぶんそう。

そんな『窓際のトットちゃん』を、大きな字&挿絵で読みやすくアレンジしたのがこちらの絵本。
今で言う「特別支援学校」のような学園で過ごしたトットちゃん(黒柳氏)の小学生時代が、ユーモラスに描かれた作品です。

全二巻で、原作から半分くらいのエピソードをまとめた感じの絵本になっている。
絵本に収録されているエピソードは、学校生活や家族とのあれこれが多め。
逆に抜かれているものは、愛犬や学友との別れなど、しんどいエピソードが多いかも。
一方で、否応なしに戦争に巻き込まれていく様を描いた「ヴァイオリン」「さよなら、さよなら」などは収録されている。
小学校低~中学年くらいの子供が、自分で読むのにちょうどよいバランスなのかもしれない。

読み聞かせにもよさそう。
お弁当の時間のあれこれが描かれた「海のものと山のもの」、小学校の教科書にも載っていた「畠の先生」、声に出して読むのがたのしそうな「はんごうすいさん」などのエピソードは、絵本版にもバッチリ収録されている。
個性とは、教育とは、戦争とは。いろんなことを考えるきっかけになりそうな一冊です。


『パラレル百景』(短歌:笹公人 イラスト:北村みなみ)

2022-08-05 22:54:16 | 短歌
歌集メモ

  • Twitterの人気連載がついに書籍化!

  • 笹氏の青春短歌と、北村氏のポップなイラストがエモい一冊

  • さわやかでありながら、ちょっと妖しい異次元みがあって、とにかく良い

  • 基本は「短歌一首+イラスト一枚」で構成されているのだけど、巻末に「一首の短歌をもとに描かれた短編ストーリー漫画」も三本あって、これがまたすごく素敵

  • サイゼリヤの短歌もあるよ!



以下に3首引用します。

もう会えぬペンフレンドを想うとき頭のなかをよぎる流星
何時まで放課後だろう 春の夜の水田(みずた)に揺れるジャスコの灯り
60円切手のみどりの梵鐘のなかに閉じ込められてきた禍事(まがごと)


公式Twitter
https://twitter.com/parallel100

Amazon

『湖とファルセット』(田村穂隆)

2022-08-04 12:00:48 | 短歌
歌集メモ

  • 主に「第8回現代短歌社賞」次席作品(「感情の獣たち」)を改稿した歌集

  • タイトルの読み方は「湖(うみ)とファルセット」

  • 「未来」(2022年8月号)の「今月の歌」で紹介されている

  • 「未来」を開いて最初に目に入るこのコーナーが、読んだことのある歌集だったときなんだかちょっと嬉しい(個人の感想)

  • 自らの内面や、他者との関係などを静かに観察するような歌が多め

  • 父親のこと、社会の仕組み、性的なもの、などに違和感を覚えたり、見つめ直したりする



以下に3首引用します。

半夏生 左腕に陽が差したとき傷の部分がいちばん白い
もう二度と だけどあなたを受け入れてしまう更地が確かにあって
折り鶴は肉を持たない鶴だから風にしゃらしゃら鳴らすたましい


Amazonにはあまりないので、版元に直接注文した方が確実かも。
現代短歌社オンラインショップ/『湖とファルセット』
https://gendaitanka.thebase.in/items/58909431

Amazon

『テオが来た日』(佐佐木幸綱)

2022-08-02 09:44:29 | 短歌
歌集メモ
・「心の花」の佐佐木幸綱さんの第17(!)歌集
・交遊録的な側面もある
・テオ(表紙のわんこ)はなかなか来ない
・「わんこの歌集」ではない(1コーナー7首のみがわんこ)

以下に3首引用します。

はつなつの園児らの列 一人一人帽子に小さき闇をかくして
ひさびさの風邪だと思う風邪の体に午前の光かぶってねむる
奥祖谷の渓を見下ろす蕎麦の店もみじの海に島の如しも


『とっています』(市原 淳)

2021-11-12 19:53:29 | 絵本
とっています
とっています

最初のページでは、おすもうさんが「すもう」を「とっています」。
それが、だんだんページが進むにつれて、「すもう」以外のものもとりはじめて……?

という、ことばあそびのような、たのしい絵本。
本文はひらがなとカタカナだけなので、幼稚園児でも楽しく読めそう。
展開とオチもしっかりしているので、小学校低学年くらいの子にもオススメです。

絵もシンプルで可愛いです。

『コんガらガっち どしんどしん ちょこちょこ すすめ!の本 』(ユーフラテス)

2019-08-03 17:31:16 | 絵本
コんガらガっち どしんどしん ちょこちょこ すすめ!の本

Eテレ「ピラゴラスイッチ」の各種企画でおなじみの、ユーフラテスさんが手がけている絵本。
YouTubeの公式動画が面白かったので、絵本もとりあえずお試しということで図書館で予約してみたのですが……二ヶ月くらい待った。最長だ。まさかヨシタケシンスケさんをも越えてくるとは。
ちなみに動画はこんな感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=8u-sLDtjmEA


閑話休題。
「いるか」と「もぐら」がこんがらかった生物「いぐら」が主人公の絵本。
散歩中の「いぐら」が、分かれ道で上の道にいくか、それとも下の道に行くかを、指で辿りながらページをめくっていくと、道がまた分岐して、どんどんストーリーが分岐して……という、体験型の絵本です。
なので、ちょっと読み聞かせには向かないと思う。

それぞれの道筋が微妙にリンクしているというか、小ネタや伏線が張り巡らされている感じになっているので、読み返すたびに発見があって楽しい。
また、分岐の仕方が「ビョ~ンとひとっとび パチンコ」「しんじられるのはじぶんだけ はしる」みたいな感じで、なんというか、「水曜どうでしょう」のサイコロの旅っぽさがある。そんなところも非常に好みです。

子供たち(9歳&4歳)も大喜びで読んでいたし、これはもう買って揃えてしまおう……。

『パンのずかん』(大森裕子)

2019-07-29 12:10:56 | 絵本
パンのずかん (コドモエのえほん)

いろんなパンが紹介されている、ちょっとした図鑑のような絵本。
パンの名前と外観以外に、それぞれの食感や発祥国なども書かれています。

大勢の前で読み聞かせるのにはあまり向いていないけど、少人数で「このパン食べたことある!」「この国旗、どこの?」などとわいわい見るのにはとても楽しい一冊。
ただし、下の子(4歳)はアメリカ発祥のパン(各ページに3個くらいある)を見つけるたびに「♪かーもんべーびーあめりか!」と踊り出すので、家でしか読めない感がすごいです。おちつけ。

最後の方に、創作パンとして「フライパン」「ショパン」「パンツ」「こてんぱん」なども登場するので、ダジャレスキーな上の子(9歳)もケラケラ笑いながら読んでいました。

お手軽サイズ(厚みも大きさもふつうの絵本サイズ、むしろややコンパクト)なのもうれしいところ。

『ブルドッグたんていときえたほし』(谷口智則)

2019-07-17 16:19:56 | 絵本
ブルドッグたんていときえたほし

ある日、夜空から星が消えたというニュースが舞い込む。
その数日後、ブルドッグたんていの事務所に、差出人不明の依頼が届いた。

『ほしをさがしてください。わたしさびしいのです。』

依頼を受けて、さっそくブルドッグたんていは聞き込みを始めるのだが……?

という、硬派なミステリ風の物語。
今回からは三年生のクラスに読み聞かせに行くようになったので、ちょっと渋めの今作をチョイスしてみました。
笑っちゃうような楽しいお話、というよりは、読んでいて続きが気になるお話、かな。そして最後はちょっとほんわか。

星っぽい形のものをみつける→星ではなかったけど誰かに会う→場面移動、を何度か繰り返す構成。テンポが良いです。

メインの謎は「星はなぜどこに消えたのか?」なのだけど、文章中では明確に語られない「依頼の差出人は誰なのか?」も、もうひとつの謎になっています。こちらは絵の方にヒントが散りばめられてる感じ。

読み聞かせにもいいけど(所要時間は10分未満くらい)、中学年くらいならひとりでゆっくり読むのにもいいと思う。

『フレーミーとそうじき』(ユーフラテス+うちのますみ)

2019-04-29 10:46:34 | 絵本
フレーミーとそうじき (ピタゴラブック)

四角の集まりでできている犬「フレーミー」が、掃除機相手に悪戦苦闘する物語。

Eテレの人気番組「ピタゴラスイッチ」内のワンコーナー、「フレーミー」を絵本化したもの。
番組内で、フレーミーの紹介として「苦手なものは掃除機です」と語られる回があるのだけれど、これはその理由が語られる一冊でもある。

ピラゴラファンなら、もう表紙だけで「キター!」って感じになっちゃう。

ピラゴラに触れたことがないひとでも、「フレーミーの鼻だけが掃除機に吸い込まれる(あとで本体が鼻を迎えにくる)」といったシュールな展開に楽しくなると思う。
シンプルな線だけで描かれたイラストも新鮮かもしれない。

文章部分は、各ページ5行程度のひらがなとカタカナのみ。
ひとり読みにも、読み聞かせにも、幼稚園生にも小学生にもおすすめしたい一冊。