本条蔵(仮)

「読み聞かせ用の絵本を探してる!」
「どの歌集を買おうか迷ってる!」
というひとの参考になるかも、ならないかも。

『歌集 ドラマ』(ナタカ)

2019-04-20 12:11:08 | 短歌
以下に5首引用します。

1粒で300m走れたら 箱ごと食べて会いに行けたら

蝶になるためのわずかな液体が蛹の中で起こすさざ波

かまきりの鎌こそばゆくこの鎌で狩られるもののあるということ

みさきとは明るい人の名のようで岬から見る海の険しさ

アジフライやっぱり買えば良かったなアジの分だけ袋が軽い



BOOTHで通信販売されている、私家版の歌集。
こちらのページから、400円プラス送料で購入できます。
https://utanataka.booth.pm/items/890168

ちょっと前にTwitterで、ナタカさんの「DLできるフリーペーパーを公開中です」みたいな呟きがRTされてて、軽い気持ちでDLして読んでみたらドストライクで、「もっと!もっとないですか!」って鼻息あらくプロフィール欄に飛んでみたら「BOOTHで歌集を通信販売中ですよ」って書かれていたので即買った。一文が長い。
この、「試しに……」から「好き!」を経て「買ったった!」までの距離が短くてすむ感じ、未来を生きてる感じがして良い……。

閑話休題。

どちらかというと、「がっつりとストーリーのある連作」ではなく、「一首で完結している歌」がたくさん収録されている歌集。
詠まれているものは、日々のちょっとした欠落感や、ささやかな発見、うっすらとした孤独、そういったものが多いかな。

著者が、ネット歌会サイト「うたの日」に提出した題詠の歌を、そのときのお題とともにまとめた章があるのも楽しい。こういう、「ひとりのひとが、こんな題のときにこんな歌を詠みました」というのをまとめて読むの、好きなんです。
「うたの日」には500首以上投稿されているみたいなので、そちらも今度、併せて読んでみたい。

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