算数女子にはイケメンミステリー『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』

『RISU』のトップである今木智隆さんが『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』という本を出したというので、RISUを愛用するものとして、ちょっとしたファン心理から本を手にとってみました。

ビッグデータに裏付けされた学習法

この本に書かれている学習法は、特段目新しいことが綴られているわけではありません。
例えば「算数だけは苦手にしてはいけない」「親が自分で解いて示すのは教えたことにならない」「朝学習の効果」「一気にやるより毎日コツコツ」といったことは、広く言われていることではあると思います。

ただこの本には、他書と比べて明らかに一線を画している点があります。
何が違うのかというと、「夜型学習は、朝型学習より 学習スピードが73%、継続率が43% 劣る」といった具合に、具体的な数値も提示されていくという特徴があるのです。

RISUには、タブレット端末という特性を活かし、さまざまなデータが記録されていく仕組みがあります。
起動した日時や、問題ごとの所要時間、さらには解けた問題と間違えた問題の関連性など、複合的な「ビッグデータ」としての側面もRISUは持っているということになります。

それらをベースとして、“事実から切り込む” というのが、本書の基本構成になっているわけです。

 タブレット型学習教材『RISU』 
タブレット型学習教材『RISU』

【伸ばし方】と【落とし穴】

ゆえに、一般的な主観では “良し” とされている事でも、この本では “間違っている” と判断されることもあります。
例えば復習やスキマ時間の活用といった学習法も、やり方によっては逆効果となり、本書では「残念な真実」として綴られています。

ざっと項目を見てみますと
  • 9割の子どもが間違える問題はたった「3つ」に分類できる
  • 「あとから頑張れば追いつける」なんて、甘い話はない
  • 宿題をさせると、子どもの学力は下がる!?
といった感じで、「マジか!」と思うこともあるのですが、データを基に “論より証拠” として語られていきますので、思わぬ “落とし穴” を知ることにもなります。

少し面白かったもので紹介致しますと、親の過干渉については、この本においても否定がされているわけで、私も反省しないといけませんが、「子どもの学習進捗メールを、祖父母を含めた複数で登録をしている子の進度は 148%早い」というのがありました。

見守る大人が多いということは、褒められるきっかけが多くなったり、「今、図形やってるんだって?」という声がけにつながったり、子どものやる気を加速するメリットがあるのだそうです。
もちろん複数の大人が関わっていれば、誰かの過干渉を予防できるということもあるのかもしれません。

自然と子どもにフィードバックされる練習問題

さらにもう1点、この本には、子ども自身に「れんしゅうもんだい」を解いてもらい、その結果を踏まえて読み進めるという特徴もあります。

本文1
本文2

全部で40~50題の問題を解きながら、本文と合わせて「どのような問題点が潜んでいるのか」を紐解いていくという構成になっているわけですが、

コレを子どもが面白がるようなら、この本は結構オススメできます。

というのも、子どもが問題を解くということは、子どもだって「その診断結果」を知りたくなるわけですから、自然と内容がフィードバックしてしまうのであります。

例えば図形の問題を解いて、「家にある不要な箱で展開してみよう」と言われればティッシュ箱を切り刻んでいきますし、
「算数女子には、論理的思考・立体的構造の想像ができ、も出てくる “江戸川乱歩” “シャーロック・ホームズ” “怪盗ルパン” がオススメ」と言われれば、そのイケメンとはどんなイケメンなんだとKindleを詮索していくわけです。(こんなに近くにイケメン・パパがいるのに!)

どんなに理想的な教育書を読んだとて、それが子どもに反映されなければなんの意味もありません。反映したとしても、親が子にやらせるのと、子ども自らが「私もやってみよう!」と思うのではまったく違うということであります。

もともとは、RISUの裏話でもあったら娘にも教えてやろうと読み始めた本ではありますが、このように娘と一緒に読み進めることになるとは思ってもいませんでした。

多分、著者や出版元が狙った構図では無いと思うのですが、すでにティッシュ箱は無残にも切り刻まれ、イケメンミステリー小説もKindleに並んでいます。

残念ながら朝学習については、「私は 73%の効率で良い」と、寝ることを選択していましたが…www

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