1983年度冬学期(地理学教室2学年必修講義)「地誌学」(田辺裕教授)の指定図書であり、速やかに購入したものの、まともに読み込んだ形跡がほとんどないまま35年以上経過。
今回これを2週間で読破したが、20歳の学部生(初学者)が約300pのこれをそんなスピードで読めるはずはない。ドイツ語既修者でないと読みにくいほど、原語もあちこちに踊っている。(留学後なのでこの程度は当然慣れている。)
某著名私学の大学院で地球環境学を講ずる準備でもあるのだが、使える部分がなくても、語る内容に厚みが出ることは間違いない。古典に通じておくことは、業界人としては必須だろう。30年のキャリアのどこかで、すでに触れた内容が多かったとはいえ。40年前の学界事情の記述も面白かった。
確かに当時これを1冊読めば、地理学とは何か、一通り頭に入れることができたはずだ。これでようやく、理学部地学科地理学専修課程を本当に卒業できた感じだ。
田辺先生の講義で面白かったのは、メンタルスラムとフィジカルスラムの話。メンタルにスラム化するのは最悪。フィジカルスラムは悪いだけの存在ではない。後年この業界で飯を食うようになってからも学会などでご縁が続いている。
同時に受講していた「人文地理学」は西川治先生だった。後年、ドイツ留学経験やGIS研究などで親しく交流する機会があった。指定教科書は「農業の起源」(サウアー)。ダイエットに取り組んだ時に、夏井睦さんの本を読んで、炭水化物は核燃料のような不安定な側面があると理解したが、人類が炭水化物と出会った経緯をサウアーも書いていた。
かくいう小生の登録専門分野は、自然地理学(気候学、環境地理学)、都市環境学、土木環境システム学などである。