成田空港滑走路のすぐ隣にある不思議な神社「東峰神社」について思うこと

2023年2月16日

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成田空港の滑走路すぐそばにある「東峰神社」。最近では、飛行機の撮影スポットなどとしてブログ記事や動画などでも紹介されているので、その存在はご存知の方も多いのではないでしょうか?今回は、この東峰神社について少しばかりお話ししたいと思います。

東峰神社とは?

東峰神社とは、下の地図にあるとおり、成田空港のターミナルビルから見て北側にあるB滑走路の南端付近に位置する小さな神社です。この東峰神社は、B滑走路の延伸予定地にありますが、空港反対運動及びそれによる裁判があり、地元住民の所有権が確認され、成田空港の敷地には属さない地となっています。

東峰神社の来歴

東峰神社の起源は、昭和12年(1937年)に千葉郡津田沼町(現習志野市)鷺沼の伊藤飛行機製作所の工場敷地内にあった邸内社で、空難者を祀るために同製作所の創設者である伊藤音次郎氏により建立されました。そのときの神社名は「航空神社」でした。

戦後、GHQにより航空機事業が禁止されることにより、伊藤氏は製作所の従業員と共に成田市東峰地区に入植して農場主になるとともに、昭和28年(1953年)には航空神社も当地に移設遷座され、その際に名前が「東峰神社」と改められました。更に、新たに神奈川県の二宮神社から勤労の神とされる二宮尊徳を授かり、この神社の主祭神として現在に至っています。

集落の産土神社から三里塚闘争の象徴

伊藤氏らが入植した成田市東峰地区は、戦後開拓により農地開発が行われた地域であり、その当時、付近に神社がなかったため、東峰神社は開拓集落の産土神社となり、東峰地区住民から信仰されるようになりました。

しかし、1960年代後半になり新東京国際空港の建設が成田市三里塚の地に決まると、地元住民らによる反対運動が激化し、新左翼グループの支援も得て、いわゆる三里塚闘争が始まりました。現在、以前のような激しさはありませんが、三里塚闘争は継続中だと聞いています。

東峰神社については、2001年に、神社敷地の所有権の問題や、境内にある樹木の伐採の問題で空港側と地元住民との間で紛争が生じ、裁判闘争に発展しました。結局、2003年に地元住民側が所有権を回復するという内容の和解で終了し、実質、地元住民側の勝利となったことから、東峰神社は三里塚闘争の象徴となっているようです。

航空科学博物館への遷座

東峰神社のうち、もともと伊藤音次郎氏が「航空神社」としてお祀りしていた祭神については、伊藤氏のご遺族の要請により2001年に、成田空港の南隣にある航空科学博物館(野外展示場にある小さな祠)へ遷座しました。つまり現在、東峰神社に残された祭神は、二宮尊徳だけということになります。

航空機を愛した伊藤音次郎氏の思いとは裏腹に、もと航空神社である東峰神社が三里塚闘争の象徴となってしまったのですから、伊藤氏のご遺族のお気持ちはよく理解できる気がします。

東峰神社への行き方

東峰神社は観光スポットではありません。現在でも三里塚闘争の最前線であることには違いありません。以前よく言われていたように、警察官から職務質問されるということは、ほとんど無いようですし、紛争や事件に巻き込まれるとか、そういったリスクも少ないとは思いますが、いろいろな意味で緊張感のある場所という認識はもっておいたほうがいいでしょう。

路線バスを利用

成田市のコミュニティバスを利用する場合は、京成成田駅バス停から「津富浦ルート」という路線バスに乗り、「東峰」バス停で下車します。運賃は200円です。

千葉交通の路線バス「栗源線」を利用する場合には、成田空港第2ターミナルで乗車し、「新田」バス停で下車します。運賃は200円です。

コミュニティバスの「東峰」バス停と、千葉交通の「新田」バス停とは、下の地図のとおり同じ場所にあります。ここから東峰神社までは200mほど。徒歩1~2分という感じです。

注意点としては、コミュニティバス、千葉交通、いずれも本数が少ないですので、予め時刻表で時間を確認して、スケジュールを組んでから現地へ向かうことをおすすめします。

タクシーを利用

成田空港第2ターミナルからならタクシーで4~5kmで10分程度です。帰りは流しのタクシーが走っていないので、配車アプリでタクシーを呼び出す必要があります。あるいは、行きはタクシーを利用して、帰りは路線バスという方法でもいいと思います。

自家用車はおすすめできない

東峰神社のすぐ前まで車道(参道)があるので、自家用車で現地まで行くこと自体は可能ですが、神社前に車を止める駐車スペースはありませんので、自家用車で行くのはおすすめできません。一方、オートバイや自転車であれば神社付近での一時駐輪も可能だと思います。

東峰神社のレビュー

私はオートバイで東峰神社に行ってみました。iPhoneのアプリ「マップ」をナビがわりに経路設定したところ、東峰神社を目的地にすると、何故か空港ターミナルに誘導されてしまい随分迷ってしまいました。スマホのナビを使うなら、YahooカーナビかGoogleマップにしたほうがいいでしょう。

両側に白いフェンスの参道

バス停のある道路は対向2車線でまあまあ交通量のある道路で、多くの車が行きかっています。成田空港を挟んだ東西地域を結ぶ道路になっており、両側には空港の敷地との間を隔てる背の高い金網や鉄板のフェンスが重苦しい雰囲気を醸し出しています。

バス停の少し先にはT字路となる形で細い道路が北へ伸びており、その入口には「東峰神社 この先行止まり」という白地に黒い無機質な文字で書かれた看板があります。ここを入っていくと東峰神社です。つまり東峰神社の参道となるわけです。参道の道幅は、車1台がやっと通れるほどの広さで、その両側は背の高い白い鉄板によるフェンスで囲まれています。威圧感というか、何か異世界に向かう道のような不思議な感覚です。

取り残された空間の境内

進んで行くと少し開けた空間が現れて、白い石の鳥居や樹木が見えて来ました。鳥居には「東峰神社」の名前が見えます。ここが東峰神社の境内です。離着陸する旅客機の轟音の合間に訪れる静寂には、小鳥の声も聞こえ、のどかな田舎の小さな神社そのものです。きっとこれが本来の東峰神社の姿だったのでしょう。この空間だけが時間が止まって取り残されたような、そんな気がしました。

航空神社の名残、壊された狛犬

鳥居の手前には「東峰神社」という社名碑があります。この裏側を見ると「航空神社」という文字がセメントで埋められた状態になっています。もとは「航空神社」の社名碑であったものを、社名変更の際に裏返して「東峰神社」の文字を刻んだということなのでしょう。

鳥居のほうは「二〇〇五年一月吉日」という文字が見えますので、最近建てられたようです。見た感じも新しくて、しっかりした造りでした。

鳥居の先には一対の狛犬があります。右の阿形の狛犬は保存状態もいい感じでした。

が、左の吽形の狛犬は跡形もなく壊されていて台座のみが残った状態。これは、ちょっと可哀そうな気がします。

狛犬の側方には石の手水舎がありましたが、現在は使われておらず、水はありません。

その横には「皇紀二千六百年記念」の石碑があります。皇紀二千六百年は1940年ですから、この東峰地区に移る前からのもののようです。

小さな祠にお参り

狛犬の先には一対の石灯篭があり、その先に小さな木造の祠があります。祠の前にはペットボトルの飲み物がたくさんお供えされていました。多くの人が訪れているようですね。小さいながらも賽銭箱もありましたので、ここでお賽銭を納めてお参りをしました。

旅行が好きな私としては成田空港が無くなってしまっては困りますので、空港反対派にはなれません。一方で、地元住民の方々の生活も無視できませんよね。難しい問題ですが、平和的に解決してくださいと、東峰神社の神様にお祈りしました。

まとめ

東峰神社について知ってみると、ほんとうに不思議な力を感じてしまいます。航空神社の神様が成田の地に移ったことで、成田空港を引き寄せたのではないでしょうか?滑走路のすぐ横に鎮座するというのは偶然ではない気がしますよね。

そして、神社を移動させたくてもできない。羽田空港でも「旧穴守稲荷神社の大鳥居」というのがそうでしたが、この地を動かないぞ、という神様の強い意志を感じます。空港反対派を使ってでもこの地に残って成田空港を護りたいという、ちょっと皮肉な感じもしますが、神様の力というのは、こういうものなのかもしれません。

私の個人的な考えというか信仰心からしては、成田空港を平和的に発展させるためにも、この東峰神社は動かすべきではない、と思います。皆さんはどう思われますでしょうか?

Have a nice trip!

その他

Posted by mikeneko