江戸川教育文化センター

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教科担任制(小学校5・6年生)の導入⁉︎ 定数増が先決問題でしょ‼︎

2019-04-20 | 随想
4/17、柴山文科大臣が小学校から高校へ至る今後の教育の在り方に関する総合的な検討を中教審に諮問した。
その中では小学校5・6年の教科担任制の導入推進やそれに伴う免許制度の見直し等が柱となっている。





こうした教育の在り方を課題にしたのは、2020年から本格実施される新学習指導要領のメインテーマ「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けての対策とも考えられる。
もとより私たちは文科省教育をそのまま是認したり推進する立場に立つことはないが、良いものは良いとしてより有効に活用したいという発想は維持している。

「主体的・対話的で深い学び」という文言で表現される内実は、実は私たちが以前から自主研究の中で主張し推進しようと努めてきたものである。
個人的には、私の所属する職場において2007年〜2009年に校内研究で社会科を窓口にして「対話型授業」の実践・研究を進めてきた。
そして、この成果を基礎に私が第59次日教組教研山形大会で発表した経験もある。
(‘14.02.23ブログ「非常勤教員の戯言35」参照)

当然のことだが、校内研究に取り上げて完成したというものではなく、今後のより一層の研究・実践の積み重ねが必要なテーマであることに変わりはない。

今回、文科省が中教審に諮問したのは、よくとらえれば現場教員を支援するためとも言えなくもないが、英語の教科化さらに溯れば道徳教科化のように小学校教育の今までの良さも含めてズタズタに分断してしまい、より学習の中身を細分化・類型化してしまった結果としての責任を取らざるをえなくなったものとも言える。

そして、さらに複雑なことには、教員の「働き方改革」に絡ませるという問題がある。
この「働き方改革」は当局側のペースで行われつつあるが、今のところ功を奏しているとはとても言えない現実がある。
現場サイドから着手する改革ではないからである。

ここに掲げた東京新聞の解説によると、「指導内容は充実・多忙な教員の負担軽減、これは二律背反。」したがって、関連制度の見直しが課題になる…という。
しかし、いつものことではあるが、当局は新しいことを始める場合に形だけいじって制度的に位置付けるだけで、教員の数を増やす(教職員の定数増)という根本的な問題には容易に手をつけようとしない。

これは、あの麻生が関わる財務省への気遣いもあるのか、今のある人員で乗り切ろうとする。
その結果、いつも割りを食うのが現場教員である。
思えば今までの文科省による「教育改革」は、最終的には教員の負担を増やすだけであった。
さらに、「改革」が成就しないのは教員の技量不足だとして「研修」を強いたりして二重三重に教員を縛りつけた。
これが、全く意味のない、いや逆にマイナス効果が出てくるものだという認識が持てずに推移してきたものである。

この点を考慮するなら、東京新聞の解説でも述べられている様に、今回の改変は先ず教職員の定数増を大前提にしてかかるべきである。


<すばる>

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