目次
はじめに
確定申告で減価償却費を計上することにより、節税が出来ますが、ただでさえややこしい計算方法が住んでいた自宅を賃貸に出した場合、かなり特殊で分かりにくいです。
賃貸に出した初年度の計算がとても複雑で、2年目以降は定額のためとても簡単です。
今回は例として、2,000万円で購入した築14年の木造中古戸建てに、3年4か月居住した後に賃貸に出し、その年に8ヶ月間賃貸に出した場合の減価償却費の計算方法を記します。
この内容は税務署に確認して教えてもらった方法そのままになります。
減価償却費とは
建物が劣化していく分を、費用として計上する事を税制的に認められているものです。
費用としては認められるが(損金計上)、実際の出費はないため、手元にキャッシュが残りやすくなるため、魔法の経費と呼ばれています。
しかし売却時には、その分価値が低くなったと見なされ、売却益が増えてしまうので、税金の先延ばしとも言えます。
自宅売却の場合には、住まなくなって3年後の年末までに売却すると3,000万円の控除が受けられます。
(僕もこれに間に合ったため、税金160万円取られずに済みました)
減価償却費の計算方法の基礎知識
土地は劣化することはないため、減価償却費は建物部分だけに認められます。
建物部分の金額を耐用年数で割った額が1年間で計上できる減価償却費になります。
建物価額の算出方法について
新築の場合は土地以外にかかる経費です。
(外構工事や建物の登記費用代、契約書の印紙代、銀行の融資手数料などの関連諸費用も含めることが出来る)
売買契約書に土地と建物の金額が記載されている場合はその金額を使用します。
売買契約書に土地と建物の金額が記載されていない場合は、合理的な根拠に基づき算出します。
メジャーなのは固定資産税の評価額で按分する方法です。
【具体例】固定資産税の評価額 建物 4万円 土地6万円 の場合
建物比率が40%なので、取得価額(諸費用も含めた金額)の40%を建物の金額とみなします。
諸費用も含めた取得価額が 2,000万円の場合 2,000万円X40%=800万円
※税務署に確認したときは、建物を建てた当時の相場から時価を計算するやり方も教えられましたが、計算方法が複雑過ぎて、理解できませんでした。
税務署に聞いた場合は、いくつか方法がある場合、納税額が最も高くなる方法を教えてきます。
決して節税方法など向こうからは教えてこないので注意してください。
税金や補助金などについては知っていないと損する事ばかりです。
耐用年数について
耐用年数は建物の区分により法的に定められています。
新築時の場合
RC造 47年 マンションは、ほぼこれにあたります
木造 22年 戸建て住宅の場合はほぼこれでしょう(芸能人などの豪邸はRCもありますが・・・)
耐用年数の一部を経過している場合
耐用年数=(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
【具体例】築14年木造戸建て住宅(耐用年数22年)の償却額
8年(木造の耐用年数22年-築年数14年)+2.8年(築年数14年×20%)=10.8年⇒10年(1年未満切り捨て)
償却率 10年⇒0.1 下記サイト参照
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340M50000040015#214
年間償却額 建物額800万円X0.1(償却率)=800,000円
耐用年数を超えている場合
この場合も減価償却は可能です。
耐用年数=法定耐用年数×20%
木造戸建て住宅(耐用年数22年)で耐用年数を超えている場合
木造の耐用年数22年×20%=4.4⇒4年(1年未満切り捨て)となります。
自己居住期間分の償却額計算
建物価額から自己居住期間中に償却(劣化)した分を引いた額が、賃貸開始時の簿価となります。
この場合の計算は特殊で耐用年数は1.5倍で計算することになります。
【具体例】取得時築14年の木造住宅(建物部分取得価額800万円)に3年4ヶ月間居住して、賃貸に出す場合の居住期間中の減価償却費と賃貸開始時の簿価
耐用年数22年X1.5=33年(1年未満切り捨て)
上記のサイトによると33年の償却率は0.031です。
ほかのサイトを見ると、自己居住期間分は旧定額法の数値で計算と載っていますが、僕は税務署でこの計算方法を教えられたので、このやり方で提出しています。
居住期間の計算
3年4ヶ月の場合は3年(6か月未満は切り捨て、6か月以上は切り上げ)となります
居住期間分の償却額
800万円(建物部分取得価額)X0.031(償却率)X3年(自己居住期間)=74.4万円
賃貸に出した時点の建物の簿価
800万円ー74.4万円=725.6万円
確定申告時の減価償却費
上記の例で引き続き計算すると、
【具体例】その年の5月5日まで居住し、翌日から賃貸に出した場合の確定申告時の減価償却費とその年末時点の簿価
確定申告時(初年度)の減価償却費(初年度の賃貸に出した期間の割合で計算)
800,000円(上記より年間の減価償却費)X8ヶ月(5/6~12/31 切り上げ)/12ヶ月(初年度の賃貸に出した期間の割合)=533,333円(四捨五入)
年末時点の簿価
7,256,000円(賃貸に出した時点の建物の簿価)ー533,333円(初年度の減価償却費)=6,722,667円(簿価)
翌年の年間減価償却費(それ以降も同額)
800,000円
翌年末時点の簿価
6,722,667円ー800,000円=5,922,667円
最終的に簿価が1円になるまで計上が可能です。
計上可能な最後の年(10年目)の減価償却費は、年初の簿価ー1円になります。
10年目は年初の簿価322,667円、減価償却費は322,666円で年度末は簿価1円となり、翌年以降は減価償却が出来ません。
まとめ
自宅を賃貸に出したときの減価償却費の計算方法
1、建物の価額を算出
2、耐用年数を算出
3、年間の減価償却費を計算
4、自己居住中の減価償却費を計算
5、その年の賃貸に出した期間の年間に対する割合で減価償却費を算出する
(確定申告で減価償却費とする額)
6、建物価額から自己居住中の減価償却費とその年の賃貸に出した期間分減価償却費を引いて年度末の簿価を算出する
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僕も翌年から利用しました。
自力でやるのはメチャクチャ時間が掛かり、効率が悪すぎるので絶対にお勧めしません!
(僕は使わなくて大失敗しました)
2020年2月16日に記事修正しています
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