同人誌が印刷所のミスで乱丁・落丁だったらどうすればいいの?



乱丁・落丁とは

同人誌が変な出来上がりをしたときにこう言います。例えばページが入れ替わっている、折れている、インクが張り付いていてひらけない、ページが抜け落ちている、などの状態のことです。

もともと同人誌の印刷には「余部」が付いてきます。発注した数より数冊多めに納品されるやつです。これは万が一折れや汚れなどのダメな本があった時、余部でまかなってくださいねという意味でつけられています。

しかしたまに納品数の半分とか全部が印刷ミスになっていることがあります。この記事ではそういった大きな乱丁落丁があった時に、どうすればいいかを解説しています。

イベント当日に気づいたら

もしあなたが直接搬入で発注していて、イベント会場で乱丁落丁に気づいた場合は、落ち着いてどうするべきか考えましょう。

乱丁落丁の程度をみて、一部の本だけなのか、それとも全部がダメになっているのかを確認してください。ダメになっているのが数冊だけなら、その他の無事なものだけを販売するという手があります。

また、乱丁の程度が大したことがない場合は、お客さんに説明してそのまま売ることも全然アリです。読めるレベルのミスであれば、少しくらいの落丁は気にしないという人も多いですから。

逆に全然読めないとか人に見せるレベルではないときは、残念ですがその日の頒布はあきらめましょう。イベント開始までに時間があり、印刷所が土日も営業しているなら、電話で一報入れておくのもアリだと思います。

印刷所に連絡するべきか

当日に印刷所へ連絡しても、その日に同人誌を刷りなおして持ってきてくれる訳ではありません。また、多くの印刷所は土日に営業していないことが多いです。せっかくのイベントが台無しになってとても悲しいですが、営業していなければその日の連絡はやめて週明けにしましょう。

乱丁落丁本の破棄と宅配

イベント会場でミスに気づいた同人誌。もし売れないほどにひどい状態なら、家に持って帰ってもしょうがないし、どこで捨てたらいいかわかんないですよね。30冊くらいならまだしも、100冊を超えたら手で運ぶのも厳しいですし。

印刷所が営業していれば電話して、乱丁落丁のことを説明し、責任が明らかに印刷所側にあるようなら破棄について質問しましょう。もし発注部数が多ければ印刷所の人が直々に謝罪と回収にくるかもしれません。少なければ、イベントに出張してきている宅配業者を利用して着払いで印刷所に送って、という対応になるかもしれません。印刷所のミスなら印刷所が破棄を担う責任があると私は考えています。

ただ、印刷所が営業していなくて相談できない場合もあります。こういう時は無断でイベント会場に捨ててはいけません。どうしても持って帰れない量なら、イベント主催者に相談してみましょう。もしかしたら今までの経験で「あの印刷所ならこうすればいいよ」「何冊までなら会場で破棄してあげるよ」などのアドバイスをもらえるかもしれません。同人友達がいればその人たちに聞いてみるのも良いです。

アドバイスがもらえなかった場合、または自宅に送らざるを得ない場合は、自宅か破棄業者へ宅配を手配しておきましょう。同人誌専門で古紙回収をしているところがあるので、ここへ送料負担で送ることができます。この時点で明らかに印刷所のミスだとわかっている場合は、伝票を取っておけばあとで宅配費用を請求できることがあります。


入稿データを確認

イベントから帰ったら、または自宅搬入で印刷ミスに気づいたら、自分の入稿データを確認しましょう。もしかしたら自分のミスが原因かもしれません。
  • ファイル名
  • ノンブル
  • データの向き、解像度、その他色々
データに問題がなければ、発注時の情報も確認しましょう。もしかしたら紙とインクの相性で起こる、印刷所に責任のない問題かもしれません。印刷所のホームページに注意書きが載っていなかったか目を通してみてください。

特に特殊な印刷をしている訳でもなく、自分にも非がないと明らかにわかったら、印刷所に連絡をしましょう。

印刷所に連絡

電話でもメールでも大丈夫です。もし急ぎなら電話で、急いでいないとか感情的になってうまく喋れないなと思ったらメールがおすすめです。普通はマイページからお問い合わせできるようなシステムがありますが、ない場合は総合連絡先にします。下の内容をまとめて相談してください。

  • 自分の同人誌のタイトルや注文番号など
  • 乱丁落丁の詳細な説明、何冊がダメになっているのか
  • 自分の入稿データをチェックしても問題なかった旨
  • 印刷所側のミスだと思うので確認してほしい
  • (同人誌が多すぎて自分で捨てられないなら)破棄してくれるのか

返事が来たら

印刷所も乱丁落丁の対応には慣れているので、すぐに回答が来るはずです。入稿データとミスを照らし合わせて確認し、どちらに非があるのが、それとも紙やインク、印刷方法の相性でそうなってしまったのかなどを説明してくれます。

印刷所のミスだとわかればだいたい刷り直しになると思いますが、すでにイベントが終わってしまってもう印刷しても意味がない、などの理由であれば返金対応もありえます。その辺は印刷所によって違いますし、現金ではなくポイントでの返金になるところもあります。

もうその印刷所を使いたくないならポイントで返金されても意味がないので、現金での返金をお願いしましょう。ただしこれは自分に全く非がない場合に限ります。自分の指定した印刷方法が特殊でミスが起きやすいものだったり、注文時に免責事項として印刷所が説明していることが起こった場合は、こちらにも非があるので強く言えません。

破棄費用とイベント参加料

上で同人誌の破棄費用に付いて触れていますが、イベント参加料についても場合によっては返してもらいたいこともありますよね。例えば既刊が一冊もなくて、唯一の頒布予定の新刊が印刷ミスで売れなかったという状況です。イベント主催には返金できないので、印刷所に補償してもらえるか問い合わせることになります。

ネットにはここまでの体験談はなかなかないのですが、普通の会社同士のトラブルであれば納品できなかったことが原因で費用を負担してもらうのはありえないことではないです。他に売るものがなくて不参加と同じ状態だった場合は、イベントでとりあえず証拠写真を撮り、あとで請求してもいいと思います。

ただし、印刷に対する補償はするけどイベント参加料までは知らないよという印刷所もあります。もしかしたら利用規約に書かれているかもしれません。印刷費以上の補償は印刷所によってバラバラなので、印刷ミスの問い合わせの時に聞いてみましょう。

真摯に対応する印刷所はいいところ

一度ミスがあるとその印刷所を使いたくなくなるかもしれませんが、ミスが起きてもしっかり謝ってくれたり、連絡が早かったり、刷り直しや返金をきちんとしてくれるところは素晴らしい会社なんです。また何かあってもきちんと対応してくれることがわかっているので、逆に安心して使えます。もちろんミスが多発するところは避けたいですが。

逆に、明らかに印刷所に非があるミスでも責任を認めなかったり、発注した側をネチネチ責めるような電話をするところもたまにあります。ブラック企業で社員が足りず、接客業ができないアルバイトばっかり、みたいなところとかですね。もしそういうところに頼んでしまったら、金輪際使わないほうがいいです。

ネットの評判もよく確認

たまにツイッターで「好きな印刷所を語ろう」みたいなタグが流行ったり、そういう内容のトゥゲッターがまとめられてたりします。印刷所を選ぶときは、ミスがあった時にどう対応してくれるかも重要なので、ネットで評判を調べてみてください。

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分納で印刷ミスの早期発見

印刷した同人誌を全てイベント搬入にするのではなく、一部を自宅に送ってもらうこともできます。だいたい送料が追加でかかりますが、イベントよりも早めに送ってもらえば家で確認できるので安心です。

早割を使ってなるべく早く入稿しておけば、ミスが発覚しても印刷所は刷り直しの時間があるのでイベント当日に間に合うことも多いです。ギリギリ入稿だとどうしても印刷所も忙しくていつもよりミスが増えます。できるだけ早めの入稿を心がけると万が一の時もカバーしやすいですね。

印刷所が悪くない印刷ミスって?

上の方で「印刷の相性」「紙とインクの相性」みたいなことを何度か書いてます。具体的にどういうことか説明しますね。


本全体が少し波打っている

同人誌初心者の方が勘違いしやすいらしいのですが、本がゆるく波打ってるのは普通のことです。インクを吸って紙が湿気を帯びるので、どうしてもそういう形になってしまいます。適切な湿度の部屋で上から重しを乗せて整形するしかまっすぐにする方法はないみたいです。

リッチブラックを使うと紙によっては汚れが発生しやすい

リッチブラックとはK100%ではなくCMYを混合した黒色のこと。インクを重ねていくので水分量が多く、ゆえに乾くのが遅く、紙との相性も考えなきゃいけないので、色々扱うのが難しいと言われています。データを作るときもインクの総量を考えないといけません。リッチブラックを使うときは印刷所とちゃんと話し合い、確認をしましょう。

印刷所の助言を無視して強行

何年か前にネットで体験談を読んだ記憶があるのですが、印刷所に「その仕様は箔押しが剥がれるのでやめたほうがいい」と言われたにも関わらず強行して、結局箔押しが剥がれてきて大騒ぎ→炎上みたいなことがありました。

詳細な仕様は覚えていませんが、たぶん紙が特殊だったりボコボコのものなどは箔押しと相性が悪いんじゃないかと思います。印刷所がやめたほうがいいと言ったことは素直に従いましょう。

自分の確認不足

ほとんどの同人印刷所は「完全データ」の入稿を条件にしています。完全データとは校正(原稿チェック)も要らない状態でそのまま刷ってオッケーってことです。

これもちょっと前にネットで炎上してましたが、自分の確認不足にも関わらず印刷所のミスということにして騒いでいた人がいたようです。印刷所は断ち切りコマの確認もセリフの確認もしてくれないので、そういうミスがあっても返金や刷り直しはありません。