エアプ、原作未プレイの二次創作が嫌われている理由とは



先日ツイッターのゲームオタクを中心に騒然となったこの話題。ネットに多数あった意見をまとめてみました。

ちなみにエアプというのはエアプレイ・エアプレイヤーの略で、ゲームをプレイしたことがないのにプレイしたかのような発言、行動をしていることをさします。あまりいい意味では使われません。

原作にお金を落としていないから

まず、エアプ二次創作が嫌われる最大の理由がこれです。原作にお金を払っていないのにも関わらず、他人の二次創作やネットに転がっている資料、実況動画などを見ただけで二次創作をしている。

お金を払っていないのにコンテンツを楽しんでいるという、いわば本屋で立ち読みだけして買わない人みたいな倫理的な問題です。容認されている行為ではありますが、褒められたものではありませんし、自分から声高に叫ぶものでもありません。

本屋での立ち読みはあくまで買うかどうかを吟味するための試し読みであり、そこで全ての情報を得ようとしたり、はなから買う気がないのに長々とお世話になるのは本屋にとって迷惑ですよね。

プレイ実況で済ませている

実況動画というのが当たり前にみられている時代になりましたが、ほんの数年前はだいたい違法で無許可、無断転載という立ち位置でした。

ところがちょっと前に任天堂やその他のメーカーが「うちで作ったゲームならプレイ動画アップしてもいいよ。指定のサイトに限り収益化してもいいよ」というガイドラインを出し、一気に合法のような空気になりました。あとゲーム機本体に動画シェア機能がついたりもしました。任天堂が合法化に踏み切ったのは、おそらくプレイ動画の宣伝力を見越して共存しようとしたからだと思います。

コンシューマーのゲーム会社はあくまで「動画を見た人がうちの会社を知ってくれる、あわよくばゲームを買ってくれる可能性があるから」合法化を進めているだけで、無料でコンテンツを全部見せてあげようみたいな考えではありません。

上で書いた本屋のたとえのように、はなから買う気がないのに実況動画だけで済ませようとする層が多いと、ゲーム会社は困ってしまいます。お金を払わないファンだけ増えても自分たちの利益にならないですからね。

ゲームが売れないと存続の危機

ネットで人気があるように見えても、実際買う人がいなければゲーム会社は赤字です。利益が大きく出てなければ次回作を作れないですし、もし作れても少人数で制作するので時間がかかるかもしれません。人をたくさん雇えないので、ムービーやシステムにバグや手抜きが増えてくるかもしれません。

もし好きなら、ゲームを買って応援するのがファンです。それか株をめっちゃ買うとかですかね。現実的ではないですが、お金持ちの方にはぜひオススメしたいです。

同人が盛り上がればゲームの宣伝になる!売り上げが上がる!という主張も見ますが、同人人気はゲームの売れ行きにそんなに関係しないと思います。一時期クッパ姫やテレサ姫というのが流行りましたが、あれでマリオの新作買いましたって人がどれくらいいたかを考えると、ゲームの同人にそれほどの影響力はないんじゃないかなと。

原作をプレイしないことを正当化する

このように、原作へお金を落とさないことがおもな非難対象となっています。それでも「エアプならバレないように完璧に取り繕ってくれればいいのに」「それかエアプですって潔く明言してほしい。潔いなら言い訳をするよりまだ良い」という意見が結構ありました。「原作をプレイしない言い訳」がイヤだという人も多いようです。

言い訳というのは、たとえばお金がない、時間がない、忙しい、怖くてホラーゲームができない、ゲームが下手だからできない、などがよくあがっていました。確かに最近のゲームは本体とソフトで結構なお値段がしますし、忙しい社会人なら時間がないのは当たり前です。

ですが、どんな人でも本当に好きなものなら頑張って稼いで買うのが普通ですし、時間は作るものです。ゲームとソフト合わせて数万円のものには払えないのに、コスメとかファッションとか旅行の写真をツイートしてばかりの人がいたら「お金ないって嘘じゃん」って思いますよね、周りの人は。

時間がないも同様で、ゲーマーはみんな自分で時間を作って遊んでいます。時間がないからゲームはできないのに、ツイッター廃人だったり同人イベントに参加するくらいの余裕はある人も、言い訳してるだけじゃんと思われているようです。

怖くてホラーゲームができないなら、もうそれはそのコンテンツの対象者ではないので別のジャンルのゲームをした方がいいかもしれません。ゲームが下手でできないなら、もっと優しいゲームをするとか、ゲーム以外のジャンルを好きになる方がいいかもしれません。

このような理由から、ゲームにお金も時間も費やしたくないけど二次創作はしたいし動画を見て楽しみたいという意見は、多くのゲーマーから反感を買っていました

知ったかぶりをしてるから

エアプ二次創作者は原作を見ていないので、いわゆる知ったかぶりの状態になっています。知ったかぶりはゲームや漫画に限らず、どんな趣味でも嫌われたり避けられたりします。「この人本当はやってないのに何言ってるんだろう…」と思われているんですね。

キャラの見た目、一人称、口調、性格を間違って描写する

原作をよく見ていないので、キャラクターの設定を間違って覚えていることが多いです。よくあるのがカラーリングや服装の間違い、目の色が違う、口調が微妙に違うなどです。原作に触れているファンにとって、一人称違うとかは結構びっくりです。

本当のキャラクターを知らないなら、二次創作は一枚絵くらいにとどめておけば文句をいうような人はほとんどいません。ネットでエアプを嫌う人の中にも、「このキャラ可愛いね」とか「気になったからイラスト描いてみた」程度であれば全然問題ないでしょという人もいます。あとミリしらとかの、知らないことを前提にしたお遊びみたいなものも普及しています。

作品の人気を利用してるから

ここ10年くらいのネットでは、SNSでバズるのが正義になりました。当然流行りのキャラの絵を書けばRTファボが稼げますし、新しいフォロワーもじゃんじゃか増えます。しかし、自分のフォロワーを稼ぎたいという欲求で二次創作をする人は結構嫌がられます。

作品の知名度やキャラ人気を利用し、「自分の利益のために」二次創作をするのは一般的なファンとしてはいい気持ちがしません。しかも原作にお金払ってませんしね。

フォロワーを稼ぐ以外にも、ちやほやされたいとか、他人と盛り上がるためにエアプのまま語ってるとか、同人誌を作るなどの行為も同様に嫌がる声がネットには多かったです。

同人誌やグッズで儲けようとしている

ネットに絵や漫画をアップするだけなら二次創作やただのファンアートの域ですが、これがオフラインの同人活動となると話は別です。

インターネットがなかった時代のファンは、作品愛を発散できる場が同人誌即売会くらいしかありませんでした。その流れを組んで、いまだに同人誌は「ファン活動の一種」として企業側に黙認されている状況です。(今回は二次創作自体がグレーかどうかについては深く掘り下げません)

しかし今はネットという発表の場があります。にも関わらず営利目的に大量の同人誌やグッズを作る人がエアプの場合、同人ゴロやイナゴと呼ばれものすごく嫌われています。好きでもないのに好きだと偽り、ファンアートと称して海賊版みたいなものを作ってるわけですからね。

こういうのは作品愛がない上に営利目的で、人気に少しでも陰りが見えようものならすぐに別のジャンルへと移っていくような人間ばっかりなので、エアプの中でも相当に悪質です。

おわりに

エアプにも楽しむ権利がある

ここまで非難する意見ばかりまとめてきましたが、メーカーが許可をしていれば実況動画を楽しむ権利は誰にでもありますし、無理にゲームをしなきゃいけないわけじゃありません。

二次創作、ファンアートが悪いわけではない

ゲームをやっていないのに二次創作をすること自体は、犯罪でもなんでもありません。気になった作品を楽しく描くのはいいことです。

ただしエアプにも限度がある

一番最初に例として出しましたが、本屋の立ち読みのようにエアプで楽しむのにも限度があります。二次創作をするほど好きならぜひゲームを買ってほしいですし、時間を作ってプレイして、キャラクターや世界観を楽しんでほしいですね。